「高等学校理科 生物基礎/免疫」の版間の差分

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RNA干渉の話題を追加し、生物IIのRNA干渉の説明にリンク。免疫との関連説が有名なので。こっちにもリンク。
MHC分子の話題をこっちにも反映なので、 『高等学校生物/生物I/生物の体内環境の維持』 2020年8月25日 (火) 08:57‎ から引用。というか、こっちに書くつもりのを、間違えて 生物I に書いてた。
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{{コラム|「MHC分子」や「MHC遺伝子」などの用語|
[[File:MHC molecule alias japanese.svg|thumb|300px|MHCとT細胞受容体]]
 
検定教科書には、あまり無い用語なのだが、入試過去問などでMHCについて、「MHC分子」および「MHC遺伝子」という用語がある。(※ 旺文社の標準問題精講あたりで発見。実は実教出版の検定教科書『生物基礎』に「MHC分子」だけ用語がある。)
 
この用語はどういう意味かと言うと、「MHC分子」とは、MHCの機能の受容体などに相当する、細胞膜表面のタンパク質のことである。
 
検定教科書や参考書のイラストなどで、細胞膜の表面にある受容体のようなものによく(※ 正確には、受容体ではなく、MHCの結合相手のT細胞受容体に結合する「リガンド」(※ 大学生物学の用語なので暗記は不要)だが)、単に「MHC」と明記してあるが、「MHC分子」とはその受容体っぽいものの事である。つまり、教科書イラストにある「MHC」が「MHC分子」の事である。
 
数研出版『生物基礎』の教科書では、「MHC抗原」と言ってる部分が、実教出版のいう「MHC分子」のことである。なお、東京書籍『生物』(専門生物)では、「MHCタンパク質」と言ってる部分でもある。
 
つまり、公式っぽくイコール記号で表せば
MHC抗原 = MHC分子 = MHCタンパク質
となる。
 
「分子」と言っても、けっして化学のH2O分子とかCO2分子のような意味ではない。
 
 
いっぽう、「MHC遺伝子」とは、MHC分子を作らせる遺伝子のこと。
 
 
歴史的には、「MHC」は用語の意味が微妙に変わっていき、もともとの「MHC」の意味は今で言う「MHC遺伝子」の意味だったのだが、しかし、次第に研究が進んだり普及するうちに、「MHC」だけだと読み手に混乱を起こすので、日本では意味に応じて「MHC分子」または「MHC遺伝子」などと使い分けるようになっている。
 
細胞膜のMHCのタンパク質部分の呼び名は英語が MHC molecule という言い方が主流なので、それを直訳すると「MHC分子」になるのだが(大学教科書でも「MHC分子」と表現している教材が多い)、しかしハッキリ言って、「分子」という表現は(少なくとも日本では、)やや誤解を招きやすい。(だから日本の高校教科書では、「MHC抗原」とか「MHCタンパク質」とか、いくつかの出版社がそういう言い方にしているのだろう。
 
なお、グーグル検索すると、 MHC antigen (直訳すると MHC 抗原)という表現も少々、出てくる。
 
 
さて、専門書だと、遺伝子のほうを単に「MHC」でゴリ押ししている書籍もあるが、しかし高校生むけの教材なら、遺伝子のほうを表すなら「MHC遺伝子」と説明するほうが合理的だろう。(だから旺文社の参考書でも「MHC遺伝子」表記になっているわけだ。)
 
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