「民法第436条」の版間の差分

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[[法学]]>[[民事法]]>[[民法]]>[[コンメンタール民法]]>[[第3編 債権 (コンメンタール民法)]]
 
==条文==
([[w:連帯債務|(連帯債務者]]の一人対す[[w:相殺|相殺]]等)履行の請求)
;第436条
# 連帯:'''債務一人目的債権者に対して債権を有すその性質上可分である場合において、法令規定又は当事者の意思表示によって数人が連帯して債務者が相殺援用した'''負担するときは、債権は、すべての連帯債務者の利益一人に対し、又は同時に若しくは順次に全てため連帯債務者消滅対し、全部又は一部の履行を請求ることができる。
# 前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
 
===改正経緯===
2017年改正
#改正前の条項は以下のもので、修正を加えた上で[[民法第439条‎]]に移動。
#:[[w:連帯債務|連帯債務者]]の一人による[[w:相殺|相殺]]等
#:#連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、すべての連帯債務者の利益のために消滅する。
# :#前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分についてのみ他の連帯債務者が相殺を援用することができる。
#改正前、第432条に置かれていた「履行の請求」の条項を改正の上移動。
#:'''数人が連帯債務を'''負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
 
==解説==
本条は、連帯債務関係存続に関する規基本的効果を群の一つである。
 
*連帯債務の意義
===1項===
:[[w:連帯債務|連帯債務]]とは、数人の債務者が、同一内容の給付について、各自が独立に全部の給付をすべき債務を負担し(全部給付義務)、しかもそのうちの一人の給付があれば他の債務者も債務を免れる(給付一倍額性)多数当事者の債務をいう。
連帯債務者の一人が、債権者に対して有する反対債権を自働債権として相殺権を行使した場合、債権は対当額で消滅する。その効果は、他の連帯債務者も主張することができる。すなわち、[[w:相殺|相殺]]は弁済や免除と並んで絶対的効力事由となっている。
 
*連帯債務の成立
===2項===
:連帯債務は、意思表示又は法律の規定によって成立する。意思表示も法律の規定もなければ、性質上可分であれば[[w:分割債務|分割債務]]である。
連帯債務者の一人が、債権者に対して反対債権を有する場合に、その相殺権を行使しないときは、反対債権を有する債務者の負担部分を限度として、他の連帯債務者が「相殺を援用することができる」とする。
:*意思表示による連帯債務
::当事者の契約等により成立する。
:*法律の規定による連帯債務
::例として、日常家事債務に関する夫婦間の連帯債務([[民法第761条]])、商行為による連帯債務([[商法第511条]])、違法配当における取締役等の連帯責任([[会社法第462条]])などが挙げられる。
*一人に対する請求
:例えばA・B・Cの3人がDに対して60万円の連帯債務を負っている場合、債権者Dは、A・B・Cの誰に対しても、60万円全額(又は一部)の支払を求めることができる。
 
*全員に対する請求
「相殺を援用することができる」という文言の意味については争いがある。
:債権者Dは、連帯債務者A・B・Cの全員に対し、それぞれ60万円全額(又は一部)の支払を求めることができる。
 
:債権者Dが、Aに対し60万円全額の支払を求め、勝訴判決を得た場合でも、Dは更にBやCに対し60万円全額の支払を求めることができる。
;相殺権説
:文言通り、他の連帯債務者は相殺権を行使でき、その場合に債権は絶対的に消滅するのだという説。
:判例の立場(大昭和12.12.11)。
;抗弁権説(改正民法の立場)
:反対債権を他の連帯債務者が勝手に行使するのは私的自治のゆきすぎた制約になるとする立場からは、他の連帯債務者は反対債権に相当する額だけ弁済を拒絶できるに過ぎないという説。
 
:ただし、Aから、勝訴判決に基づく[[w:強制執行|強制執行]]で弁済を受けたり、任意の[[w:弁済|弁済]]([[w:代物弁済|代物弁済]]、[[w:供託|供託]]を含む)を受けた場合は、B・Cに対する関係でも債務は消滅する。
;改正民法第439条
#連帯債務者の一人が債権者に対して債権を有する場合において、その連帯債務者が相殺を援用したときは、債権は、全ての連帯債務者の利益のために消滅する。
#前項の債権を有する連帯債務者が相殺を援用しない間は、その連帯債務者の負担部分の限度において、他の連帯債務者は、債権者に対して債務の履行を拒むことができる。
 
==参照条文==
第2項について、次の例で考える。連帯債務者S1とS2が債権者をGとする債務を負っているが、S2がGに反対債権をもっている。しかしS2が相殺適状にあるにも関わらず相殺しないままGがS1に全額について請求した。
連帯保証
*[[民法第435454条]](連帯債務者保証一人と場合間の更改)特則)
*[[民法第439458条]](連帯債務者の一保証人について生じた事由の完成)力)
 
==判例==
この場合、もしS1が全額を弁済すると、S1はS2に求償する。S2は、S1に求償するぶんを調達するため、Gにもっていた反対債権を取り立て、S1に弁済する。確かに、これで妥当な結論が得られるが、まわりくどい。そこで、改正民法はS1がGからの請求に対して弁済を拒絶することができることを規定した。つまり、S1は、S2がS2自身の負担部分とS2がもっている反対債権でS2が相殺するまで、S1自身の負担部分だけを弁済すればよい。
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=54861&hanreiKbn=02 貸金請求](最高裁判決 昭和34年06月19日)[[民法第427条]],[[民法第898条]],[[民法第899条]]
 
*[http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53326&hanreiKbn=02 所有権確認等](最高裁判決 昭和55年07月11日)[[民法第768条]]
==参照条文==
*[[民法第433条]](連帯債務者の一人についての法律行為の無効等)
*[[民法第434条]](連帯債務者の一人に対する履行の請求)
*[[民法第435条]](連帯債務者の一人との間の更改)
*[[民法第437条]](連帯債務者の一人に対する免除)
*[[民法第438条]](連帯債務者の一人との間の混同)
*[[民法第439条]](連帯債務者の一人についての時効の完成)
*[[民法第440条]](連帯債務者についての破産手続の開始)
 
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[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1|第1章 総則]]<br>
[[第3編 債権 (コンメンタール民法)#1-3|第3節 多数当事者の債権及び債務]]
|[[民法第435条の2]]<br>(連帯債務者の一人との間相対的効力更改原則
|[[民法第437条]]<br>(連帯債務者の一人に対する免除ついての法律行為の無効等
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