「高等学校物理/物理I/波」の版間の差分

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w:臨界角2013年3月24日 (日) 02:36‎ より引用。その他、いろいろと追記。
用語に英訳を追加。
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[[File:Wanderwelle (Animation-.gif|thumb|right|横波の伝わり方。]]
[[File:Longitudinalwelle Transversalwelle.png|thumb|right|縦波のイメージ。上図が縦波で、下図は疎密をグラフ化したもの。]]
実際には、この振動には2種類が存在する。まず一方は、振動が伝搬する方向と各点の粒子の変移の方向一致してい垂直である場合であり、る。もう一方は振動が伝搬する方向と各点の粒子の変移の方向垂直であ一致している場合である。

これらの波は、変移の波の伝搬方向に対する向きから区別され、伝搬方向と振動方向とが垂直の波を[[w:波]](たてよこなみtransverse wave)と呼び、もういっぽうの伝搬方向と振動方向とが同じ波を[[w:波]](よこたてなみ、longitudinal wave)と呼ばれる。一般には固体中を伝搬する縦波と横波の速度は、互いに異なっている。
 
 
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ここでは、波の性質とその記述法について一般的に扱う。これらは波を伝える物質がどんなものであっても、それが波である限り成立する性質である。
 
例えば海の波のように、ある物体を媒介にして遠くにエネルギーに伝えて行く現象を'''波'''(なみ、wave)という。波を伝える物質を'''媒質'''(ばいしつ、medium)という。海の波の例では、媒質は海水である。また、振動が伝わる元となった点を'''波源'''(はげん)という。媒質や媒質の上にある物体は波と共に進行することは無い。波の上にある物体を観察してみる(例えば水面にボールを浮かべて波を起こし、ボールを観察してみる)と、周期的な上下運動をしているはずである。
 
=====正弦波=====
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正弦波に関わらず、周期的な波を与えるには媒介物質の1点に周期的な振動を与える必要がある。このときこの振動は物質間の相互作用を通じて、周りの物体に伝搬される。このとき波の形は周期的運動の種類で決まる。正弦波を発生させたいときには、周期的運動として正弦関数で与えられる振動を与えればよい。正弦関数は周期的な運動であるので、これは周期的な振動の一種である。ここでは簡単のため、媒介物質は1次元方向に広がっているものと仮定する。
:周期的な振動の図
このとき正弦波について成り立つ事柄について述べる。実際にはここで扱う事柄は周期的な波には常に当てはまるが、ここでは正弦波しか扱わない。周期的な波を考えるときには、波が媒介されて来るいずれかの点で振動の様子を観察すると、その点での振動はある時間が経過するごとに、同じ値に至ることがわかるはずである。ここで、同じ値が現れるまでの時間を、[[w:周期]](しゅうき、period)と呼ぶ。周期は時間経過であるので、単位は [sec] である。また、周期はしばしば記号にTを用いて書かれる。
 
"T秒ごとに正弦波中の1点が現れる"が周期の定義であった。ここで、"1秒間にf回正弦波中の1点が現れる"によって[[w:振動数]](frequency)を定義する。振動数はしばしば記号にfを用いて書かれる。上の例では、T秒間に点が1度現れるのだから、1秒間には1/T回点が現れる。このことから、一般に正弦波については、
:<math>
f = \frac 1 T
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が成り立つ。振動数の単位はHz(ヘルツ)が用いられるが、この単位は1/secと等しい。
 
ここで、物質中を振動が伝わる速度をvと置く。物質の性質によって異なる定数であり、振動の性質にはよらない。例えば、音が空気中を伝わる速度は音の高低に関わらず一定である。波が伝わる速度と波の周期が与えられたとき、波が1周期のうちに進む距離を計算することができる。これは、例えば正弦波では波のある1点(例えば最も振動が正の向きに大きいとき)間の距離に対応する。この距離を波の'''波長'''(はちょう、wavelength)と呼ぶ。
:波長の図
[[File:wave.png|thumb|right|300px|変位量の最大値 ''y'' が波の振幅である(λは波長)。]]
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が成り立つ。
 
最後に、(減衰が無ければ)波が与える振動の大きさは波源で起きた振動の大きさと等しい。ここで、振動の大きさを波の'''振幅'''(しんぷく、amplitude)と呼ぶ。振幅はしばしば記号がAで書かれる。
 
ここまでである1点で生じた周期的な振動が持つ性質を見て来た。ここまでを用いて、振動が始まってからt秒後の波源からの距離xでの振動について記述することができる。位置x=0のとき、その振動は
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上の例は波がある1点から始まる場合である。波が複数の点から始まる場合には生じる波は既に述べた重ね合わせの原理から、これらの重ね合わせになるはずである。このことは例えば、波面が直線になる場合('''平面波''')のように、波源が連続的に存在する場合にも同様である。
 
しかし、波源が連続的に存在する場合には、得られる波面が簡単な形になることがある。波面の各点が波源と考えると、その波源からの距離が等しい点は[[w:包絡線]]を持つことがある。この場合には、この線が新たな波面と考えることができる。'''包絡線'''については[[w:包絡線]]などを参照。また、このことを[[w:ホイヘンスの原理]](Huygens' principle)と呼ぶ。
 
ホイヘンスの原理を用いると波面の進行についていくつかの事柄を述べることができる。これらは個別に実験的に確認できる。
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====== 反射 ======
平面波が壁などにぶつかったとき、壁の各点を波源とした包絡線は、壁と平面波の波面の角度を保って、方向を反対にした平面となる。これは、[[w:反射]](はんしゃ、reflection)の法則を表す結果である。
:作図
:[[画像:Reflection angles.svg|200px|反射]]
 
====== 屈折 ======
平面波が[[w:屈折率]](くっせつりつ、refractive index)の異なる2つの物質の間を通過したとき、その波面は物質の屈折率の比に応じて[[w:屈折]](refraction)する。このことも反射の場合と同様の理由で示される。ただし、屈折率の違いに応じて、物質中の波の速度が異なることを用いる。
:作図
また、屈折率に応じてある反射角に対する屈折角は変化するが、その大きさを表す式を[[w:スネルの法則]](Snell's law)と呼ぶ。
:<math>
n _i \sin \theta _i = n _r \sin \theta _ r
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[[画像:Doppler_effect_diagrammatic.png|right|500px|ドップラー効果の図]]
 
波源や観測者が動くと、振動数が変化する現象が見られる。これを、'''ドップラー効果'''(Doppler effect)という。
 
以下、波の速さを''V''[m/s]、波の振動数を''f''[Hz]、波源の速さを''v<sub>s</sub>''[m/s]、観測者の速さを''v<sub>o</sub>''[m/s]、観測される振動数を''f' ''[Hz]として考える。
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==== 光の回折と干渉 ====
光はせまいスリットを通すと、広がって行くように伝搬することがある。これを'''回折'''(かいせつ、diffraction)と呼ぶ。
 
[[File:Two-Slit_Diffraction.png|thumb|300px|二重スリットの実験。]]
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[[File:Light dispersion of a mercury-vapor lamp with a flint glass prism IPNr°0125.jpg|thumb|left|200px|プリズムによる光の分散]]
 
振動数が低いものから光の色は赤から紫へと変わって行く。これ以上に振動数が大きくなると、光は人間の目には見えなくなる。このように振動数が可視領域より高くなった光のことを紫外線(しがいせん、ultraviolet)と呼ぶ。
 
さらに振動数が高いものをX線(エックスせん、X-ray)、 &gamma;線(ガンマせん、Gamma ray)と呼ぶ。いっぽう、赤い光よりもさらに振動数が少ない光も、また同様に、人間の目では見ることが出来ない。このような可視領域よりも振動数の低い光を赤外線(せがいせん、infrared)と呼ぶ。
 
== 波に関する探求活動 ==