「中学校技術/材料と加工に関する技術を利用した製作品の設計・製作」の版間の差分

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作りたい工作物の形を図示した図を'''構想図'''(こうそうず)という。
構想図に適した図法には、等角図(とうかくず)、キャビネット図(キャビネットず)がある。
 
キャビネット図では奥行きの方向は、水平線に対して斜め45度の方向に傾けて右斜め上に描き、奥行きの長さは2分の1に縮めて書く。
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等角図では、手前側の2面が水平線に対して30度の傾きになる。
 
製作図には、原則的に '''第三角法'''(だいさんかくほう) という図法を用いる。
製作図には寸法を記入する。
工作物が複数の部品から成り立っている場合は、部品図を書く。
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[[File:Mech draw 1.svg|thumb|400px|第三角法による製図の例。]]
 
図面の書き方には、国が定めた'''日本工業規格'''(「にほん こうぎょう きかく」。英訳を略して「'''JIS規格'''」ともいう。)という工業のために設けた共通のルールがあるので、図面は工業規格にしたがって書く。
 
第三角法で書かれた各面の図のうち、正面から見た図を '''正面図'''(しょうめんず) という。側面から見た図を '''側面図'''(そくめんず) という。右側から見た側面図を右側面図といい、左側から見た側面図は左側面図という。
 
 
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* 外形線
'''実線'''(じっせん)に分類され、外形線は、つながった'''太線'''で書く。破線や曲線などでは書かない。
 
* 寸法線
実線に分類され、寸法線はつながった'''細線'''(さいせん、ほそせん)で書く。
 
寸法の数値は、ミリメートル単位で書き、数値だけを記入する。寸法値は、矢印の上に書く。
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* かくれ線
見えない部分は破線(はせん、やぶれせん)で書く。破線とは「-----」、← こういう線。
 
* 中心線
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;ノウハウ
* 承認印の欄があり、承認員を確認することで、たとえば、誤って未完成の構想図が、完成図面として出回ったりすることを防げる。
* 製品名の決定では、特に規則は無いが、できれば、なるべく製品の機能が名前からも分かるように命名するのが良い。<br>たとえば本立てを設計するなら、製品名を「本立て」とか「本いれ」とかみたいに機能が分かるように命名したほうが、設計者や加工者や部材の発注者などにとって分かりやすくて都合がいいことが多い。
* 図面の訂正版を出す場合は、どこを訂正したかを分かるように書く。<br>たとえば、寸法値をまちがえて、本来は25mmにしたい寸法を、間違って、「17」と書いたとしたら、17は一本線や二本線などで上書きして、近くの余白に正しい寸法の「25」を併記する。 間違った寸法を、けっして、塗りつぶさないようにする。また、修正液などで、間違った寸法を<big>消してはいけない。</big>

なお、会社では、手書きで寸法を訂正をする場合は、その数値の近くなどに訂正印(ていせいいん)を押す。訂正印は承認印とは別である。
図面の訂正では、訂正用の製図記号がある。
 
 
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[[File:Elementos-de-acotado.svg|thumb|この図の場合、図の左端の端面が基準面であることが、図面での寸法線のとり方から読み取れる。(丸1とか丸2とかは、元画像の説明用の追加画像なので、無視してください。)]]
* 寸法を書くときは、基準線や基準面からの寸法を意識して、その基準からの寸法線を描くようにするとよい。じっさいの制作作業では、加工寸法を測る時に、かならず基準の線や面がある。
 
* 図面を描くときは、じっさいに加工ができるように、寸法などを決めて、設計する。実際に、組み立てられるように、図面を描く。検討段階でのラフ画などは、あまり、こまかい加工や組み立てまで考える必要はないが、最終的に図面を仕上げるときは、きちんと加工法や組み立て方を考えて、寸法などを決める。
 
もし、図面をかいて、材料を手配したあとに、その図面では「加工が出来ない構造だった。」「組み立てが、出来ない構造だった。」ということが分かると、せっかくの材料や手間を、無駄にしてしまう。なので、図面を描く段階で、きちんと加工法や組み立て方を考える必要がある。
 
企業では、こういった事情もあるので、もし加工や組み立ての能力が無いと、図面を描く仕事には、つかせてもらえないことすらも、ある。
 
 
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=== 縮尺について、 ===
:実物よりも、図面上の長さが小さくなるように書く場合の尺度を'''縮尺'''(しゅくしゃく)という。
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=== 部品表 ===
製作に必要な部品の一覧を表にしたものを '''部品表'''(ぶひんひょう) といいます。
 
部品表には番号、部品名、材質、寸法(外形の大きさ)、数量を書きます。番号は、設計者が部品ごとにつけます。番号を付けるさいには、なるべく大きな部品から順に1番、2番と番をつけると良いかもしれません。ネジやクギなどを購入したままそれ自体は加工せず、そのまま部品に使う場合は、ネジやクギには部品番号をつけない場合もあります。
部品の寸法は、板材の場合は、 '''厚さ×幅×長さ''' を書きます。ネジを用いる場合は、呼び径と長さが分かるように部品表に書いてください。
 
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'''ダイス'''がおねじを削りだす工具であり、'''タップ'''がめねじを削り出す工具である。
 
<big><big>タップは折れやすいので注意すること。</big></big>

もし加工途中にタップが折損すると、工作物の中に折れたタップが残ってしまい、工作物とタップを使えなくしてしまう。
 
ダイス回しには、ダイス固定用ねじがある。
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== リベット接合 ==
リベットとは、2枚以上の板を接合するときに、板に開けた穴(「'''リベット穴'''」という。)にリベットをとおしてから、リベット先端をハンマで叩いて広げることで抜けないように固定する、締結(ていけつ)のための道具である。
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* 接合の順序
# まず、接合する部材の表面の油やサビや汚れを拭き取る。
# 接合する部分に、はんだ用の'''フラックス'''という融剤(ゆうざい)を塗る(ぬる)。フラックスを塗る理由は、あとで溶かすハンダを流れやすくするためなど。
 
 
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* 材料の注意
過去にハンダの材料として多く使われた材料の鉛(なまり)は、人体に有害であり、環境問題にもなる。現在では、鉛を用いない、害の少ないハンダが開発されている。鉛を用いないハンダを '''鉛フリーはんだ'''(なまりフリーはんだ) と言う、あるいは '''無鉛はんだ'''(むえん はんだ) などという。
はんだには、なるべく無鉛はんだを用いるべきである。
 
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** 合成ゴム系 :合成ゴムを作る際の化学反応を応用し、接着剤として応用したもの。さまざまな種類がある。使用上の注意などは、接着剤の取扱説明書を、お読みください。
** シアノアクリレート系 :いわゆる瞬間接着剤である。接着力が、かなり強いので、皮膚への付着などに注意する。接着の原理は、接着剤が空気中の湿気と化学反応して硬化する仕組みである。<br>(参考:成分は、2-シアノアクリル酸エステルモノマーを主成分とする接着剤である。シアノアクリレートの成分については、中学の技術科では、まだ覚えなくて良い。)
 
== その他の接合 ==
 
うすい金属板の板金(ばんきん)どうしの接合では、板金をおったり曲げたりする,「まきしめ」(巻き締め)や「はぜ組み」(はぜくみ)で接合することもある。
 
たとえば、缶ジュース・缶詰などの、缶のフタと側面との、つけねの部分に、まきしめが用いられていることがある。
 
 
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保健体育などでシンナーの人体の害について習うように、揮発性の成分は人体に害があるので、換気をおこなう。換気を行う。場所が、換気が行えない施設の場合は、そもそも塗装作業を行うべきではない。
 
;注意。 塗料には引火性があるものもある。火気(かき)は厳禁(げんきん)である。
 
塗料を容器から取り出し終わったら、フタを閉める。閉めないと塗料が内部で固まってしまう。
 
* 木材への塗装
# 必要に応じて、塗装したい面を、研磨紙(いわゆる「紙ヤスリ」)で磨く '''素地磨き'''(そじみがき) をする。研磨紙は番号が大きいほど目が細かい。
# 木材への塗料のつけかたは、「はけ」(刷毛)を用いた '''はけ塗り'''(はけぬり) が一般である。
 
* 金属への塗装
# 必要に応じて、塗装したい面を、研磨紙(いわゆる「紙ヤスリ」)で磨く '''素地磨き'''(そじみがき) をする。研磨紙は番号が大きいほど目が細かい。
# 塗装したい面を、洗浄用のアルコールなどを染み込ませた布や紙などで拭き、洗浄する。皮脂などの油分が残っていると、塗装をはじいてしまうので、油分が残らないようにアルコールやベンゼンなどで洗浄する必要がある。
# はけ塗りの他に、スプレーを用いた '''吹付け塗装'''(ふきつけとそう) や、 '''ひたし塗り'''(ひたしぬり) などがある。ひたし塗りとは、塗料を入れた容器の中に工作物を入れることで工作物を塗装する方法である。
 
 
== けがき ==
木材や金属を削るときや加工するときに、鉛筆や '''けがき針'''(けがきばり) などで目印を付けることがある。このような作業を '''けがき''' という。
目印をつけずに加工作業や切削作業をすることは、少ない。
 
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;予備知識
* こば
木の板の断面で、木の繊維方向と平行な断面を、 '''こば''' という。
 
* こぐち
木の板で、木の繊維方向と平行な断面を、 '''こぐち''' という。
 
 
木材のけがきでは、寸法をはかるには、一般に '''さしがね''' を使う。鋼尺や直角定規を活用する場合もある。
 
木材に限らず、工業で加工物の寸法を測る際には、一般的に、位置の基準になる線や面を用意する。
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=== 金属のけがき ===
[[File:Scribers.jpg|thumb|400px|right|色々な けがき針]]
金属のけがきでは、 '''けがき針''' を用いる場合がある。
 
;注意
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[[画像:Centre punch.JPG|thumb|右|alt=センター・ポンチ|センター・ポンチ]]
穴や円の中心をけがく時は、中心位置の交線(ふつうは交線が十字に成る)をけがいたあとに、十字のまんなかに、後の加工で必要なくぼみをつけるため、 '''センタポンチ''' を用いる。
 
けがかれる工作物を水平に置き、センタポンチの先を穴や円の中心に合わせてから、ハンマでセンタポンチの尻を上から軽く、一回、たたく。
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=== 木材の切断 ===
まず、木材の切断では、直線上に大きく切るときや、直線上に切り抜くときは、'''両刃のこぎり'''を用いるのが一般である。
曲線上に切る場合には '''糸のこぎり'''(いとのこぎり) '''糸のこ盤'''(いとのこばん) を用いる。
 
[[ファイル:Japanese Saw Ryoba.jpeg|right|400px|thumb|両刃のこぎり]]
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=== 金属の切断 ===
;薄い板
薄い板を切るには、 '''金切りばさみ'''(かなきりばさみ) を用いる。金属の切り口は鋭利(えいり)なので怪我(けが)をしないように注意する。また板の縁でも怪我をする場合もあるので注意する。作業者は、保護のための手袋を着用する場合もある。
 
* 切断には、はさみの刃の中ほどまでを使う。刃先をつかうと、材料側に割れ目が入る。
 
* 切断後は、切断面を '''ヤスリがけ''' する。
 
[[ファイル:Ijzerzaag.jpg|right|220px|thumb|弓のこ]]
;棒材
金属の棒材をのこぎりで切る場合は、 '''弓のこ'''(ゆみのこ) で切断する。画像なしで説明が難しいので、学校教科書を読んでください。
 
[[ファイル:Pipecutter 20050728 001.jpg|thumb|200px|left|チューブカッター]]
;パイプカッタ
丸い管材なら、パイプカッタでも切断できる。管のけがきは、油性ペンと鋼尺で けがく。チューブカッタとも言う。
 
 
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;直角度の検査
'''直角度'''(ちょっかくど) を正確に図る場合には '''さしがね''' か、あるいは '''直角定規'''(ちょっかく じょうぎ) を使いう。直角定規は 「スコヤ」 ともいう。
直角定規の使い方は、学校教科書を参考にしてください。
[[File:Sashigane1.jpg|thumb|300px|left|さしがね]]
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[[File:Schraubstock groeßer.jpg|thumb|350px|right|万力の使用例。やすり加工のために、木材を挟み込んで固定している。]]
やすりには、目の細かいものと目の粗いものがある。目の粗いものは、一回の動作で削れる量が多いが、仕上がりが粗くなる。
目の細かいものは、一回の動作で削れる量が少ないが、仕上がりが細かくなる。仕上がりには、目の細かいものを使うことが多い。荒目(あらめ)、中目(ちゅうめ)、細目(ほそめ) などがある
 
やすりの種類を、必要に応じて使い分ける。
 
 
 
やすりの削り方では、押すときに力を入れて削るようにする。
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詳しい工具の使い方については、学校教科書を参照してください。
 
やすりのかけ方には、 '''直進法'''(ちょくしんほう) '''斜進法'''(しゃしんほう) とがある。
斜進法は荒削りに適する。直進法は仕上がりがきれいになるので、仕上げは直進法で行うのが一般である。
 
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* 紙やすり
[[Image:Schuurpapier2.JPG|thumb|紙やすり<br>色は、必ずしも、これと同じとは限らない。]]
目の荒いものと、目の細かいものと、種類がある。目のあらさの度合いを '''粒度'''(りゅうど) といい、番号が低いものほど目が荒い。
 
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== 穴あけ ==
まず事前に、穴をあけられる側の工作物に '''けがき''' をしておく。穴あけのけがきのさいは、 '''センタポンチ''' でくぼみをつけておく。
 
穴あけでは'''卓上ボール盤'''(たくじょうボールばん)を用いるのが一般である。
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== 折り曲げ ==
* '''金属板の折り曲げ'''
手作業での金属の板の折り曲げは、 '''折り台'''(おりだい) を利用する方法と、あるいは '''折り曲げ機'''(おりまげき) を利用する方法がある。板以外の物を曲げるときは、それに適した器具を用いる。
たとえばパイプを曲げるときは、パイプベンダーなどを用いる場合もある。ほかのパイプ曲げの方法では、万力で固定して曲げる場合もある。
 
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[[ファイル:HwacheonCentreLathe 460x1000.jpg|thumb|普通旋盤]]
;安全上の注意
旋盤(せんばん)は刃物を用いる自動機械なので、事故を起こすと、とても危険な事になる場合があります。注意して利用してください。