「高等学校生物/生物I/細胞とエネルギー」の版間の差分

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とりあえず「参考」としてInsanity案の科学史を、実験結果のあとに追加。
コラムとしての体裁を整え、フロギストン説についても軽く触れてみた。
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この実験から、生きている植物は、ろうそくの燃焼やねずみの生存に必要な気体、すなわち酸素を放出していることがわかる。
 
:・参考 プリーストリーの実験当事の考え<br />
:プリーストリーの実験当時、酸素は知られていなかった。
:彼の実験前の予想では、密閉された容器の中では、動物が生きながらえることができないのと同様、植物は生育できないと考えていた。だが、ミントを水上置換の要領で空気を閉じ込めたガラスびんの中にいれたところ、数カ月にわたって成長できることを観察した。このびんの中では、ろうそくを燃焼させることができ、またマウスが生育するのに問題がなかった。とくに長期間放置したびんの中では、ろうそくが勢い良く燃えた。
:また、ろうそくを燃やしたあとの空気の中でもミントは成長でき、10日後に、びんの中でふたたびろうそくを燃やすことができた。
:一方で、空キャベツの葉を空気を閉じ込めたガラスびんに一晩おいておくと、翌朝そのびんのなかではろうそくを燃焼させることはできなかった。死んだ葉は、空気を「悪くする」と考えた。
:これらのことから、プリーストリーは、植物が成長するときに、呼吸や燃焼で生じた「悪い」空気を元に戻し、「良い」空気を作ることができると考えた。
:実験結果からわかるように、「良い」空気とは酸素を多く含む空気である。したがって、彼は生きた植物が酸素を放出していることを発見したといえる。
 
*インゲンホウスの実験 (1779年ごろ)
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光合成は葉緑体で行われることを発見した。
 
{{コラム|科学史コラム 化学の黎明期を生きたプリーストリー|[[Image:Priestley Joseph pneumatic trough.jpg|thumb|400px|right|プリーストリーの実験器具。陶器の容器に水をいれ、ガラス瓶を逆さに立てて使った。ビールグラスやカップの受け皿など身近な用具を使ったものもある。]]
イギリスの自然哲学者であったプリーストリーは、気体の性質について調べる実験をしていた。当時、気体に関する知識は多くはなく、大気からはっきり区別されていた気体は、炭酸カルシウムを加熱分解すると発生する「固定空気」(二酸化炭素)程度のものであった。<!--このいいかたはまとめすぎていて不正確な気がするなあ…すっきりまとめられないからこそ、考え方ごと打ち捨てられたとも言うことができ難しい-->また、物質が燃焼するのは酸素と結合するためではなく、物質のなかの燃素(フロギストン)が大気に放出されるためと考えられていた。
 
:の実験前の予想では、密閉された容器の中では、動物が生きながらえることができないのと同様、植物は生育できないと考えて実験した。だが、ミントを水上置換の要領で空気を閉じ込めたガラスびんの中にいれたところ、予想に反して数カ月にわたって成長できることを観察した。さらに、このびんの中ではの気体を調べると、ろうそくを燃焼させることができ、またマウスが生育するのにさせても問題がないことがわかった。とくに長期間放置したびんの中では、ろうそくが勢い良く燃えた。
 
:また、ろうそくを燃やしたあとの空気の中でもミントは成長でき、10日後に、びんの中でふたたびろうそくを燃やすことができた。
:一方で、空キャベツの葉を空気を閉じ込めたガラスびんにキャベツの葉を切りとったものを入れて一晩おいておくと、翌朝そのびんのなかではろうそくを燃焼させることはできなかった。このことから、死んだ葉は、空気を「悪くする」と考えた。<!--これは干からびたために彼の言うとおり光合成ができなかったのか、キャベツの白い部分に葉緑体が少なかったためなのかはよくわからない-->
 
これらのことから、プリーストリーは、植物が成長するときに、呼吸や燃焼で生じた「悪い」空気を元に戻し、「良い」空気を作ることができると考えた。現在の知識では、この「良い」空気とは酸素の割合の多い空気であることがわかるが、彼はそう考えなかった。のちに、酸化水銀の分解によって純粋な酸素を生成しておきながら、たんに「燃素がふくまれていない非常に良い空気」(脱フロギストン空気)と考え、独立した酸素という物質があるとは考えなかった。酸素を初めに正しく理解したのは同年代を生きたラヴォアジェであった。
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=== 光の強さと光合成速度 ===