「高等学校古文/漢詩/桃夭」の版間の差分
削除された内容 追加された内容
節の順序を入れ替え |
編集の要約なし |
||
1 行
ここでは『詩経』(しきょう)に収録されている作品「桃夭」
「桃夭」を口語訳すれば、「若々しい桃」という意味。
== 事前の説明 ==
5 ⟶ 7行目:
== 現代語訳 ==
:桃(の花)は若々しい
:(その花のように若く美しい)この娘は今お嫁に行きます。 きっとその家の人とうまくいくでしょう。
:桃(の実)は若々しい
:この娘は今お嫁に行きます。 きっとその家の人とうまくいくでしょう。
:桃(の葉)は若々しい
:この娘は今お嫁に行きます。 きっとその家の人とうまくいくでしょう。
== 白文と書き下し文 ==
23 ⟶ 25行目:
之子于帰 宜其室家
<br /><br />
桃之夭夭 有蕡其実
之子于帰 宜其家室
<br /><br />
桃之夭夭 其葉蓁蓁
32 ⟶ 36行目:
之子于帰 宜其家人
|valign=top style="width:50%;background:#fcc;text-indent:1em"|
{{ruby|桃|もも}}の{{ruby|夭夭|ようよう}}たる<ref group="※">夭夭(ようよう)- 若々しい形容。「夭」(よう)とは、若いという意味である。</ref> {{ruby|灼灼|しゃくしゃく}}<ref group="※">灼灼(しゃくしゃく)- ここでは燃えるような花の様子を表す表現。</ref>たり{{ruby|其|そ}}の{{ruby|華|はな}}
{{ruby|之|こ}}の{{ruby|子|こ}}{{ruby|于|ゆ}}き{{ruby|帰|とつ}}ぐ<ref group="※">于き帰ぐ(ゆきとつぐ)- 「于」は「往」と同じ。ただし「ここに」と読む説もある。また、「帰」は「嫁」と同じ意味で、お嫁に行くことを指す。</ref> {{ruby|其|そ}}の{{ruby|室家|しっか}}<ref group="※">室家(しっか)- 嫁ぎ先の家。</ref>に{{ruby|宜|よろ}}しからん<ref group="※">宜し(よろし)- よい。好ましい。調和する。</ref>
桃の夭夭たる {{ruby|蕡|ふん}}たる<ref group="※">実がたくさんなる。または、実がはちきれんばかりに充実している様子。</ref>有り其の実▼
▲{{ruby|桃|もも}}の{{ruby|夭夭|ようよう}}たる {{ruby|蕡|ふん}}たる<ref group="※">蕡(ふん)- 実がたくさんなる。または、実がはちきれんばかりに充実している様子。</ref>{{ruby|有|あ}}り{{ruby|其|そ}}の{{ruby|実|み}}
之の子于き帰ぐ 其の家室<ref group="※">「室家」と同じ。押韻の関係からさかさまになっている。</ref>に宜しからん▼
▲{{ruby|之|こ}}の{{ruby|子|こ}}{{ruby|于|ゆ}}き{{ruby|帰|とつ}}ぐ {{ruby|其|そ}}の{{ruby|家室|かしつ}}<ref group="※">家室(かしつ)- 「室家」と同じ。押韻の関係(「実」「室」との)から、さかさまになっている。</ref>に{{ruby|宜|よろ}}しからん
桃の夭夭たる 其の葉{{ruby|蓁蓁|しんしん}}<ref group="※">葉が一面に茂る様子。</ref>たり▼
▲{{ruby|桃|もも}}の{{ruby|夭夭|ようよう}}たる {{ruby|其|そ}}の{{ruby|葉|は}}{{ruby|蓁蓁|しんしん}}<ref group="※">蓁蓁(しんしん)- 葉が一面に茂る様子。</ref>たり
{{ruby|之|こ}}の{{ruby|子|こ}}{{ruby|于|ゆ}}き{{ruby|帰|とつ}}ぐ {{ruby|其|そ}}の{{ruby|家人|かじん}}に{{ruby|宜|よろ}}しからん
|}
<references group="※"/>
== 古体詩(こたいし)とは ==
唐代に確立した「近体詩」(絶句・律詩など)よりも、以前の時代の形式を、'''古体詩'''(こたいし)という。
唐代以降にも、古体詩は作られた。
古体詩の形式は色々とあるが、近体詩と比べると、古体詩の形式は規則が緩やかである。
一句の字数によって、四言(しごん)・五言(ごごん)・七言(しちごん)・雑言(ざつげん)などに分類される。
押韻(おういん)には決まりがないが、偶数句末に押韻することが多い。
古体詩では韻を途中で変えてもよく、韻を変えた場合を'''換韻'''(かんいん)という。
古体詩の詩形には、'''古詩'''(こし)と'''楽府'''(がくふ)がある。
== 形式 ==
四言古詩(しごん こし)。
四言古詩。四句で1まとまり(1章)となっていて、3章立てになっている。▼
一句の字数が四字なので「四言」。
=== 押韻 ===▼
*「華」「家」▼
*「実」「室」▼
*「蓁」「人」▼
▲*「華」(か)・「家」(か)
▲*「実」(じつ)・「室」(しつ)
▲*「蓁」(しん)・「人」(じん)
各章の二句末と四句末が韻。
章ごとに韻が変わり、'''換韻'''(かんいん)である。
== 重言 ==
「夭夭」などのように、同じ字を重ねて状態を表す熟語のことを'''重言'''(じゅうげん)という。または'''畳語'''(じょうご)という。
「灼灼」も同様に、重言である。「蓁蓁」も重言である。
== 語彙 ==
夭(よう) - 「夭」とは「若い」という意味である。現代でも、若くして死ぬことを夭折(ようせつ)という。
== 解説 ==
同じ語句が繰り返されている、素朴な民謡調の詩である。
[[Category:高等学校教育_国語_漢文_漢詩|とうよう]]
|