「高等学校化学I/物質と原子」の版間の差分

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分子やイオンの概略的な定義については、中学理科であつかってるため、削除。
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; 元素 : 原子の種類のことを元素(げんそ、element)という。
この元素は、現在では110種類ほどであり、これらのうち約90種類は天然に存在している。元素をあらわす記号には、ラテン語名などの頭文字から1文字または2文字をとった'''元素記号'''(symbol of element)で表される。元素記号の1文字目は必ず大文字であり、2文字目は必ず小文字である。代表的な元素の元素記号を右の表に記したので、参考にしてほしい。詳しい元素記号の表は、[[#関連項目|関連項目元素記号]](周期表)に掲載しておいた。
 
{{-}}
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*具体例
大理石に希塩酸をそそぐと気体が発生する。この気体を、水酸化カルシウム水溶液にそそぐと、白く沈殿する。このことから、大理石には炭素Cが含まれてることが分かる。なお、生じた白色沈殿は炭酸カルシウムである。
 
==== 沈殿 ====
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この沈殿反応を利用することで、ある水溶液中に銀 Ag または塩素 Cl が含まれているか否かを判別できる。
 
==== 参考:スクロースの成分元素の検出 ====
:(※ 未記述. 執筆協力者を募集)
 
== 物質の構成 ==
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混合物は、単体や化合物が混ざり合っている物質である。液体や気体が容易に想像できるが、固体にも混合物は多く存在する。多くの岩石は混合物である。火成岩にさまざまな鉱石が含まれていることは中学校で学習したことであろう。鉱石ひとつひとつは、一部には不純物が含まれることはあるものの基本的には純物質であり、それらが集まってできている火成岩は混合物である。ほかにも、塩酸は塩化水素(HCl)と水(H<sub>2</sub>O)の混合物であるなど、化合物は非常に多い。
 
<small>純物質と混合物の分類の定義自体に対しては、直観的な理解をしていればで、かまわない。しかし、ある物質が純物質か混合物かにつうことしっかりと把握する必要がべきである。</small>
 
=== 物質の構成による分類 ===
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|}
 
{{-}}
== 物質を構成する原子 ==
=== 原子の基本的な構造 ===
物質は元素から成り立っている。この、元素というものは、物質を構成する物の性質について言った言葉である。したがって、実際の「物質を構成している最少の粒」を言うものと元素とでは、言葉の意味が異なってくる。物質は原子という構造によって構成されており、元素という要素によって成立している。
[[File:Helium Atom jp.svg|frame|right|He原子のボーアモデル]]
原子(げんし)は、中心にある'''原子核'''(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの'''電子'''(electron,図では黄色)からなる。原子の形状は、球状の構造である(円状ではなく、球状である)。(※ 電子殻(でんしかく)については後述する。)
 
物質は右に示した図で言えば'''原真ん中の赤い粒が陽'''<small>( Atom ようし、proton)</small>と呼ばれる小さつか真ん中の黄緑色の粒が中性子(ちゅうせいし、neutron)。そを素、周りにある黄色い子と呼ぶ)集まった構造を持つ'''粒'''電子構成されている。物質全ての原子、このような「原子核の周りに電子」という小さな構造から作られをしていると考えることができられている。
; 原子 : 物質を構成する基礎的な構造を持った粒子。
原子が物質を構成する粒子であるのに対し、元素は物質がどんな性質のものの集まりであるかを示す。「水は水素元素と酸素元素からできている」というのは「水が水素という基本要素と酸素という基本要素から成り立っている」という意味である。この、基本要素とは原子の集合のことでもあるため、元素と原子は非常に意味が似ている。
 
==== 原子核 ====
意味が似ている上に、日本語では音が似ていることもあり、しばしば混同されるが、両者はまったく別の概念であり、英語にすると元素は「element」、原子は「atom」と、まったく異なる単語である。元素は世界を形作る要素のことであり、原子はそれ以上分割できない最小の単位である。元素は構成しているものの種類のようなものを指すのに対し、原子はそれ自体分類の意味を含まず、単に最小の粒の意味にとどまっている。これが、元素と原子の意味の違いである。
原子核は、何個かの'''陽子'''(ようし、proton)と何個かの'''中性子'''(ちゅうせいし、neutron)からなる。
 
原子の大きさは、だいたい半径 10<sup>-8</sup> cm である(= 100億分の1メートル 、つまり 10<sup>-10</sup> m )。原子核はさらに小く、原子核の大きさは半径 10<sup>-15</sup> m である。
実際には、元素は原子の種類を表す語であるという認識が普通である。また、発見当初は最小単位だと思われていた原子は、素粒子と呼ばれるさらに小さな粒から出来上がっていて、最小の単位ではないことがわかっている。しかし、通常の化学反応や物質の性質を見ていく中で、素粒子のことまで考える必要はないので、ここでは扱わない。原子がどのような構造をしているかということについては、次のセクションで解説していく。
 
比喩(ひゆ)として、原子をドーム球場の大きさに例えると、原子核の大きさは1円玉やビー玉の大きさに相当することになる。
<small>高等学校では、素粒子については[[高等学校理科 物理II]]で扱う。</small>
 
原子はあまりに小さいため、電子顕微鏡などを用いなければ形状を観察することができない。原子核は、正の電荷(charge)を持っている。基本的に原子核は壊れない(※ 高校化学の段階では、とくに断りのないかぎり、原子核は壊れない、として扱ってよい)。
<small>この、原子と元素の言葉の違いについては、できるだけしっかりと理解しておくことができれば、後々の内容で混乱しないと思われる。どうしてもイメージがつかめないのなら、読み飛ばしてもかまわない。</small>
 
==== 原子の電荷 ====
基本的に<!--単原子分子の存在を加味して-->、原子がいくつか結びつきあうことで'''分子'''が生じ、原子や分子が電荷をもつことで'''イオン'''が生じる。これらの語について簡単に説明しておく。この、分子やイオンも、物質を構成する単位であるが、詳しくは後述する。
陽子が持つ電荷は、電子が持つ電気と大きさが同じで、符号が反対である。化学式などでは一般に、電子の電荷の大きさを最小単位として表す。つまり、電子の電荷を -1 として表す。このため、陽子の電荷を +1 として表す。
; 分子 : 分子は複数の原子が結びついた、原子と比較して大きな粒。
; イオン : イオンは、原子や分子がある条件のもとで電荷を持った粒。
 
中性子は電荷を持たない。中性子の電荷は 0 である。
== 原子の構造 ==
原子とは、物質を構成する粒子一粒の呼び名である。膨大な数の原子が相互に結び付きあって、私たちの体や、他の様々なものは形作られている。原子そのものも、素粒子と呼ばれる粒が構造的に結びついて構成されているが、化学では、原子を基本単位としてその性質を分析していく。
 
原子に含まれる陽子の数を'''原子番号'''(げんしばんごう、atomic number)という。元素ごとに、陽子の数は決まっているので、つまり元素が決まれば、原子番号も決まる。たとえば水素は陽子を1個持つので、水素の原子番号は1である。
<small>元素と原子の違いについては[[#物質を構成する実体|物質を構成する実体]]を参照。</small>
 
:※ ちなみに、電子1個の電荷は、物理学的には、-1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕である。単位 c はクーロンと読む。陽子1個の電荷は、物理学的には、1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕である。この 1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕の大きさを、化学では計算を簡単化するため、単位1として扱っているわけである。なお、1.602×10<sup>-9</sup>〔C〕の大きさのことを「電気素量」(でんきそりょう)という。
原子はあまりに小さいため、特殊な電子顕微鏡などを用いなければ観察することができない。その直径は約100億分の1メートル<small>( 1&times;10<sup>-10</sup>m = 0.1nm )</small>である。つまり、原子をだいたい1億個くらい並べればやっと1cmである。原子がどれほど小さいか、想像することができるだろうか?
 
==== 原子の基本構造質量 ====
原子核中での、電子の数と陽子の数は、同じである。よって原子核は、全体としては電荷をもたない。よって原子核は電気的に中性である。
[[Image:Atom.svg|frame|right|He原子のボーアモデル]]
また、陽子の質量と中性子の質量は、ほぼ同じである。
原子は、中心にある'''原子核'''(atomic nucleus)と、その周り(電子殻、electron shell)を飛び回るいくつかの'''電子'''(electron,図では黄色)の構造である。原子の構造は簡単には説明できないが、高等学校の化学においては一般的に、ボーアの原子模型と呼ばれるモデルを使って理解する。右に示した図は、ヘリウム原子(He)のボーアモデルである。ボーアモデルでは、原子の化学的な性質を全て説明することはできない。その意味でこのモデルは不十分ではあるが、高等学校の化学の範囲ではこのモデルでも十分にイメージをつかめる内容を扱っているため、紹介した。原子の構造について記述するときは、基本的にこのモデルを用いて行う。
 
電子の質量は、陽子の約 <math>\frac{1}{1840}</math> 倍である。よって原子の質量は、ほぼ原子核の質量になる。そして、陽子1個の質量と中性子1個の質量はほぼ同じである。ある原子1個での、陽子数と中性子数との和を、'''質量数'''(しつりょうすう、mass number)という。
まず、原子の構造の要素である原子核と、陽子・中性子・電子について知ろう。これらは高等学校化学で扱う最も小さな粒である。
 
つまり、ある元素の原子1個あたりの質量は、原子核1個中の陽子と中性子の質量数の和に、比例する。
; 原子核(atomic nucleus) : 陽子と中性子の巨大な塊である。正の電荷を持っている。基本的に壊れない。
 
; 陽子(proton) : 原子核を構成する素粒子の一つ。陽子一粒が、+eの電荷を持っている。
具体例として、通常の水素 H の質量数は1である。通常の水素の原子核は、陽子1個のみである。
; 中性子(neutron) : 原子核を構成する素粒子の一つ。ただし、中性子だけでは原子核にはならない。電荷は0である。
 
; 電子(electron) : 原子核の周りを回る軽い粒子。-eの電荷を持っている。軽いので、簡単に移動する。
通常のヘリウム He の質量数は4である。なぜなら通常のヘリウムの原子核は、陽子2個と中性子2個からなる。
右に示した図で言えば、真ん中の赤い粒が陽子、おなじく真ん中の黄緑色の粒が中性子。それから、周りにある黄色い粒が電子である。全ての原子は、このような「原子核の周りに電子」という構造をしていると考えられている。
 
*参考
:中性子だけでは原子核にはならない。いっぽう、水素原子のように、陽子だけでも原子核は成り立つ場合がある。
 
:原子の構造は、高等学校の化学においては一般的に、ボーアの原子模型と呼ばれるモデルを使って理解する。
 
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ある元素記号の質量数を表す場合、 <math>^{4} \mathrm{He}</math> のように、原子の左上に小さく書いて示す(例ではヘリウムを例にした)。
原子番号も書く場合は、 <math>_{2}^{4} \mathrm{He}</math> のように、左下に原子番号を書き、左上に質量数を書く。
 
: かりに質量数をMとして、その元素記号をXとすると、<sup>M</sup>X のように書き表す。
 
質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。
 
:※ 単元『[[高等学校化学I/物質量と化学反応式]]』のページで、ある質量数の原子の個数と実際の質量との関係について解説する。
 
==== 同位体 ====
ある二つの原子について、原子番号が同じでも質量数が異なることがある。言い換えると、原子番号は陽子の数であるため、陽子の数が同じ二つの原子であっても、その原子核に含まれる中性子の数が違うことがある。
このような、同じ元素でも質量数のことなる原子を互いに'''同位体'''(どういたい、isotope)と呼ぶ。あるいは'''アイソトープ'''(isotope)と呼ぶ。
なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので、混同しないように読者は注意のこと。
 
炭素Cの代表的な同位体には、<sup>12</sup>C と<sup>13</sup>C がある。
 
炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。
<sup>14</sup>Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を'''放射性同位体'''(ほうしゃせいどういたい、ラジオアイソトープ,radioisotope)という。
これに対して安定して存在できる同位体を'''安定同位体'''(stable Isotope)という。
 
同位体であっても、安定な同位体の化学的な性質は、ほとんど等しい。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。
 
他の多くの元素にも同位体は存在する。
たとえば水素Hには、自然界には<sup>1</sup>H と<sup>2</sup>Hがある。<sup>1</sup>Hの存在比率は、およそ99.98%である。<sup>2</sup>Hの存在比率は、およそ0.02%である。質量数2の水素<sup>2</sup>Hのことを重水素(じゅうすい)あるいはジュウテリウム(deuterium)という。
原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''トリチウム'''(tritium)という。<sup>3</sup>Hは放射性同位体である。
 
なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。
Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。
 
<small>考えられている、というのは、原子があまりに小さく、直接観察することができないためである。科学者がさまざまな実験・考察を積み重ね、それらを総合的に判断した結果、「原子は中心に原子核、周囲には電子という構造をしている」ととらえるのが最も妥当だと考えられている。このことについては、ウィキペディアの[[w:原子|「原子」項の「歴史」セクション]]や[[w:ラザフォード散乱|ラザフォード散乱]]に記事があるので、興味のある人は参考にすると良いだろう。</small>
 
=== 電子殻と価電子 ===
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=== 原子の分類 ===
原子の化学反応的な性質は、その原子の原子核に含まれる陽子の数で決まる。これはなぜなら殻上性質そのも電子が、化学反応では媒介(ばいかい)になるが、電子や周囲殻上その電子の数は、原子に対してど核中ように結びつきあうか陽子の数とということと同じだからであるからだプラス電荷はしりぞけあうため原子核同士は容易に衝突はしない。しかし番号の定義をは原子核に引き寄せられる。電荷が0原子電荷が+eの原子があれば、電子は-eの電荷を持っ定義すのでことは+eの電荷を持つ原子に引き寄せられる。といった具理的である。
 
実は、元素の分類、つまり原子がどの元素に属するかという判断は、その原子の原子核に含まれる陽子の数によって行われている。例えば、水素(H)に属する原子の場合、それに含まれる陽子の数は必ず1個である。同じように、炭素(C)に属する原子の原子核には、必ず6個の陽子が含まれている。逆に、ある原子の原子核に陽子が6個含まれるなら、その原子は炭素である。
 
このように、ある原子の原子核に含まれる陽子の数がわかれば、その原子がどの元素に属するかも分かる。逆に、ある原子がどの元素に属するのかがわかれば、その原子の原子核に含まれる陽子の数がわかる。よって、ひとつひとつの元素に分類される原子について、そこに属する原子の陽子の数を元に番号を付けることができる。こうしてつけられた番号を、'''原子番号'''(atomic number)あるいは'''元素の番号'''と呼ぶ。原子番号は <sub>6</sub>C のように、原子の左下に小さく書いて示す。原子番号は多くの場合において省略される。
 
<small>炭素に属する原子を炭素原子、あるいは単に炭素などと呼ぶ。よって、「炭素」という言葉が元素としての炭素を指し示す場合もあれば、原子一粒としての炭素を指し示す場合もある。一般的には、炭素と言えば原子の方を指す。これは、元素と原子が同一視されやすい原因の一つである。さらにいえば、元素の項目で解説した番号とは、この原子番号を指す。元素の番号は、その元素に属する原子の原子核に含まれる陽子の数と一致する。元素記号も、多くの場合では、原子の分類を示す時に用いられる。</small>
<div style="text-align: center;">
{|
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|}
</div>
 
=== 原子の質量 ===
原子は陽子、中性子、電子から構成されているため、これらの粒子の質量の総和が、原子全体の質量になる。電子の質量はとても小さい<small>(陽子の1/1836。9.1093826&times;10<sup>−31</sup>kg)</small>が、陽子の質量は1.67262&times;10<sup>-27</sup>gで、中性子も大体同じくらいの質量を持っている。しかし、このような桁の多い数字をいちいち用いて計算するのは無駄手間である。幸い、陽子と中性子はほぼ同じ質量であり、また電子の質量はそれと比べて無視できるほど小さいので、原子全体の質量は、おおざっぱには陽子と中性子の数の和で表す事ができる。これを'''質量数''' (mass number) と呼ぶ。陽子や中性子の質量を1として、その何倍であるかという比を用いて計算しているのである。質量数は <sup>12</sup>C のように、原子の左上に小さく書いて示す。
; 質量数 (mass number) : ある原子の原子核に含まれる陽子の数と中性子の数の和。
: 質量数をM、元素記号をXとすると、<sup>M</sup>X のように書き表す。
質量数はあくまで、陽子と中性子の個数の和であり、質量そのものではないことに注意が必要である。さらに言えば、これら質量数はあくまで指標であり、実際の質量は厳密には異なってくる。また、ある質量数の原子の個数と実際の質量との関係については、[[高等学校化学I/物質量と化学反応式|物質量と化学反応式]]のページで解説していくことになる。
 
具体的には、ある原子の質量数が16で、その原子に中性子が8個含まれている場合、
: 16 <small>( 質量数 )</small> - 8 <small>( 中性子の数 )</small> = 8 <small>( 陽子の数 )</small>
より、8個の陽子が含まれていることが分かる。8個の陽子が含まれている原子は、酸素(O)である。
 
;同位体
ある二つの原子について、原子番号が同じでも質量数が異なることがある。言い換えると、原子番号は陽子の数であるため、陽子の数が同じ二つの原子であっても、その原子核に含まれる中性子の数が違うことがある。
このような、同じ元素でも質量数のことなる原子を互いに'''同位体'''(isotope)と呼ぶ。あるいは'''アイソトープ'''(isotope)と呼ぶ。
なお、「同位体」という名前が「同素体」と似ているが、異なる概念なので混同しないように読者は注意のこと。
 
炭素Cの代表的な同位体には、<sup>12</sup>C と<sup>13</sup>C がある。
 
炭素Cの同位体には<sup>14</sup>Cも存在する場合もあるが、この<sup>14</sup>Cは不安定であり、すぐに崩壊して質量数が変わってしまう。原子核が壊れるとき、一般に放射線をだすので、不安定な同位体が壊れたときも放射線を出す。<sup>14</sup>Cも崩壊するときに放射線を出す。
<sup>14</sup>Cのような、すぐに崩壊して放射線を出す同位体を'''放射性同位体'''(ラジオアイソトープ,radioisotope)という。
これに対して安定して存在できる同位体を'''安定同位体'''(stable Isotope)という。
 
同位体であっても、安定な同位体の化学的な性質は、ほとんど等しい。なぜなら、原子核に含まれる陽子の数が同じだからである。
 
他の多くの元素にも同位体は存在する。
たとえば水素Hには、自然界には<sup>1</sup>H と<sup>2</sup>Hがある。<sup>1</sup>Hの存在比率は、およそ99.98%である。<sup>2</sup>Hの存在比率は、およそ0.02%である。質量数2の水素<sup>2</sup>Hのことを重水素(じゅうすい)あるいはジュウテリウム(deuterium)という。
原子力発電所の原子炉内では、質量数3の水素<sup>3</sup>Hも存在する。この水素<sup>3</sup>Hを'''トリチウム'''(tritium)という。<sup>3</sup>Hは放射性同位体である。
 
なお、すべての元素に、自然界で同位体が存在するわけではない。
Be,F,Na,Al,P,Sc,Mnなどには、天然には同位体は存在しない。
 
=== 周期表と周期律 ===
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<small>このセクションで用いられた「共有結合」「イオン結合」「金属結合」に関しては、詳しくは化学IIで扱う。そのため、ここではそのような種類がある、という理解に留めておいてかまわない。</small>
 
== 関連項目 ==
* [[高等学校化学Ⅱ/化学結合]]
* [[元素記号]](周期表)
* [[wikipedia:ja:元素|元素]]
* [[wikipedia:ja:元素の番号順一覧|元素の番号順一覧]]
* [[wikipedia:ja:原子|原子]]
* [[wikipedia:ja:分子|分子]]
* [[wikipedia:ja:イオン|イオン]]
 
[[Category:化学|ふしつとけんし]]