「高校化学 金属と合金」の版間の差分

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銅について加筆
60 行
 
鉄の化学的性質として、鉄の単体および銑鉄や鋳鉄は、湿った空気中で酸化されやすく、さびやすい。
さびを防ぐため、合金として、鋼にクロム Cr やニッケル Ni などを混ぜた合金が'''ステンレス鋼'''(ステンレスこう)である。このステンレス鋼は化学的な耐食性が高く、さびにくいため、建築材や台所部材として用いられる。
 
=== 鉄の化学的性質 ===
103 行
* チオシアン酸カリウムKSCNとの反応
Fe<sup>3+</sup> をふくむ溶液に、チオシアン酸カリウム KSCN をふくむ溶液をくわえると、血赤色の沈殿を生じる。
 
== 強磁性体 ==
:(※ 高校の範囲内。チャート式化学の参考書で記述を確認)
鉄 Fe 、ニッケル Ni 、コバルト Co は、単体で磁性を帯びることができる金属である。
 
いっぽう、銅やアルミニウムは、磁化されない。
 
鉄、ニッケル、コバルトのように、磁石になることができる物質を'''強磁性体'''(きょう じせいたい)という。
 
銅の特徴として、銅は電気の伝導性がよく、また熱の伝導性も良い。なお、一般に純金属の熱伝導性と電気伝導性は比例する。このため、金属中の電子(自由電子)が、その金属内で熱を伝える作用があるという説が、定説である。
 
== 銅 ==
銅は天然にも単体として鉱石が産出されることがあるが、多くの場合は黄銅鉱CuFeS<sub>2</sub>などのように化合物として産出する。
銅の鉱石には黄銅鉱CuFeS<sub>2</sub>がある。精錬にはまず、黄銅鉱を溶鉱炉で溶かす。溶鉱炉にはコークスCおよびケイ砂SiO<sub>2</sub>を加える。
 
=== 性質 ===
:<math>\mathrm{ 2CuFeS_2 + 4O_2 + 2SiO_2 \rightarrow Cu_2S + FeSiO_3 + 3SO_2 }</math>
銅の単体の外観は、赤色の光沢をもつ。
 
また、銅は電気伝導性が大きい。このため、電線などの電気材料にも銅が用いられる。
 
銅はイオン化傾向が水より小さいため、酸には侵されにくいが、硝酸など酸化力の強い酸には侵される。酸化作用の強い酸には、硝酸のほか、熱濃硫酸がある。
 
銅は、しめった空気中で、緑色の さび である'''緑青'''(ろくしょう)を生じる。
 
=== 銅の精錬 ===
銅の鉱石には黄銅鉱CuFeS<sub>2</sub>がある。精錬にはまず、黄銅鉱など銅鉱石を溶鉱炉で溶かす。溶鉱炉にはコークスCおよびケイ砂SiO<sub>2</sub>を加える。
 
:<math>\mathrm{ 2CuFeS_2 + 4O_2 + 2SiO_2 \rightarrow Cu_2S + FeSiO_3 + 3SO_2 }</math> (おぼえなくて良いかも)
 
硫化銅Cu<sub>2</sub>Sは「かわ」とよばれる。この硫化銅は炉の下層に沈む。FeSiO<sub>3</sub> は上層に分離する。溶鉱で発生したFeSiO3<sub>3</sub>は「からみ」という。なおFeSiO<sub>3</sub> の式をFeOSiO<sub>2</sub>と書く場合もある。
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:<math>\mathrm{ Cu_2S + O_2 \rightarrow 2Cu + SO_2 } </math>
 
こうして転炉で作った銅を'''粗銅'''(そどう)という。粗銅の純度は98.5%程度である。
 
粗銅の純度を上げる目的で金属のイオン化傾向を利用した電気精錬が行われる。粗銅を陽極にして、純銅板を陰極にして硫酸銅CuSO<sub>4</sub>水溶液中で電気分解すると、陰極に純度が高い銅(99.97%程度)が析出する。一般に、こうして電気精錬で得られた純度99.99%程度の銅を、「純銅」(じゅんどう)と見なしており、検定教科書でも、そう見なしている。
転炉で作った銅を'''粗銅'''(そどう)という。粗銅の純度は98.5%程度である。
なお、このように電気精錬で得た銅を電気銅という。
 
粗銅の純度を上げる目的で金属のイオン化傾向を利用した電気精錬が行われる。粗銅を陽極にして、純銅板を陰極にして硫酸銅CuSO<sub>4</sub>水溶液中で電気分解すると、陰極に純度が高い銅(99.97%程度)が析出する。
このように電気精錬で得た銅を電気銅という。
この電気銅が、現在(西暦2013年に記事を執筆)、用いられている銅材料の原料である。
 
なお、電気精錬の際に、銅中に銀Agや金Auなどの不純物が混ざっていると、電気精錬の際に、銀や金はイオン化傾向が銅よりも低いのでイオン化せず、金や銀が陽極の下に沈殿する。この沈殿を'''陽極泥'''(ようきょくでい)という。
 
* 参考(※ 範囲外なので、覚えなくて良い。)
電気銅は、まだ水素や硫黄などの不純物が含まれており、それらの不純物を取り除くため電気銅のあとにも精錬は続く。
 
電気銅は、まだ水素や硫黄などの不純物が含まれており、それらの不純物を取り除くため電気銅のあとにも精錬は続く。
特に、銅への水素の混入は、水素脆性(すいそぜいせい)という金属材料が脆くなる原因になるので、取り除かなければならない。
 
=== 銅の合金 ===
銅の特徴として、銅は電気の伝導性がよく、また熱の伝導性も良い。なお、一般に純金属の熱伝導性と電気伝導性は比例する。
:(※ 高校の範囲内)
 
亜鉛との合金である黄銅、スズとの合金である青銅、ニッケルとの合金である白銅など、銅は合金としても、よく用いられる。
 
なお、一般に、金属は合金化によって硬さを増し、そのぶん展性・延性などは減る。
 
銅の合金も同様に、単体よりも硬いが、展性・延性などは減っている。
 
※ くわしくは、合金に関する節で、説明する。
 
=== 銅の化学的性質 ===
==== 銅の化合物 ====
* 酸化銅
銅を空気中で加熱すると、1000℃以下では黒色の酸化銅(II) CuO を生じ、1000℃以上では赤色の酸化銅(I) Cu<sub>2</sub>O を生じる。
 
* 硫酸銅
銅が熱濃硫酸に溶解した溶液から、硫酸銅の溶液が得られる。
 
この溶液から、結晶を析出させると、青色の硫酸銅の結晶が得られる。
 
硫酸銅の結晶の硫酸銅(II)五水和物 CuSO<sub>4</sub>・5H<sub>2</sub>O は、青色の結晶である。
 
 
硫酸銅(II)五水和物を熱すると、水和水を失って、無水物の硫酸銅 CuSO<sub>4</sub> になり、白色の粉末になる。
 
この硫酸銅の粉末は、水を吸収すると、青色の水和物に戻る。なので、水の検出のさい、硫酸銅が活用されることがある。
 
==== 銅イオンの反応 ====
* 硫酸銅の水溶液
硫酸銅水溶液に、水酸化ナトリウムまたは少量のアンモニア水を加えると、青白色の水酸化銅 Cu(OH)<sub>2</sub> の沈殿が生じる。
:Cu<sup>2+</sup> + 2OH<sup>-</sup> → Cu(OH)<sub>2</sub>
 
この水酸化銅の沈殿に、アンモニア水を過剰に加えると、沈殿が溶けて、深青色のテトラアンミン銅(II)イオン [Cu(NH<sub>3</sub>)<sub>4</sub>]<sup>2+</sup> の水溶液になる。
 
:Cu(OH)<sub>2</sub> + 4NH<sub>3</sub> → [Cu(NH<sub>3</sub>)<sub>4</sub>]<sup>2+</sup> + 2OH<sup>-</sup>
 
 
* 水酸化銅の沈殿の水溶液
水酸化銅(II)の沈殿をふくむ水溶液を加熱すると、黒色の酸化銅(II) CuO に変化する。
:Cu(OH)<sub>2</sub> → CuO + H<sub>2</sub>O
 
* 硫化水素との反応
銅イオンをふくむ溶液に硫化水素を通じると、黒色の硫化銅(II) CuS が沈殿する。
 
:Cu<sup>2+</sup> + S<sup>2-</sup> → CuS
 
== アルミニウム ==
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Cu=60%~70%, Zn=10%~40%
 
Cu と亜鉛 Zn の合金。
ちなみに銅Cuが60%程度で亜鉛Znが40%程度の黄銅を六四黄銅(ろくよんおうどう)という。
銅Cuが70%程度で、亜鉛Znが30%程度の黄銅を七四黄銅(ななよんおうどう)という。
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* 青銅
組成
:Cu Sn
Cuとすずスズ(錫)Snの合金。亜鉛などの第三元素を加えた場合も青銅と呼ぶ場合がある。第三元素を添加せず、銅とすずスズのみを主成分とする青銅を、すず青銅という。
青銅はブロンズ(bronze)ともいう。