「高校化学 アルミニウム」の版間の差分

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=== アルミニウム ===
[[File:1JPY.JPG|right|200px|アルミニウムの利用例 - 1円硬貨]]
'''アルミニウム'''(Al)は周期表13族に属する。アルミニウムの原子は価電子を3個もち、3価の陽イオンになりやすい。
'''アルミニウム'''(Al)は銀白色の軽い金属である。展性や延性が大きく、薄く伸ばしたものはアルミホイルとして一般家庭でも用いられている。その他アルミニウムを含むものは身の回りに多く存在する。たとえば宝石のルビーやサファイアはアルミニウム酸化物が主成分である。アルミニウムやマグネシウムを主成分とする合金である'''ジュラルミン'''は軽量かつ強度が高く、航空機に用いられている。アルミニウム自体も、アルミ缶や1円硬貨に用いられている。
 
銀白色の軽い金属である。展性や延性が大きく、薄く伸ばしたものはアルミニウム箔(いわゆるアルミホイル)として一般家庭でも用いられている。また、電気伝導性も良く、熱伝導性も良い。熱伝導性が良いことから、鍋などにも用いられる。
 
アルミニウムの単体を空気中に放置すると、表面に緻密な酸化膜(酸化アルミニウム Al{{sub|2}}O{{sub|3}} )の被膜ができ、内部を保護する。
 
アルミニウムやマグネシウムを主成分とする合金である'''ジュラルミン'''は軽量かつ強度が高く、航空機に用いられている。アルミニウム自体も、アルミ缶や1円硬貨に用いられている。
 
== 製法 ==
[[File:Mineraly.sk - bauxit.jpg|right|200px|ボーキサイト]]
このようにアルミニウムの製法広く用いられているが、工業的には、鉱石の'''ボーキサイト'''(bauxite、主成分:Al2O3)処理して(濃い水酸化ナトリウム水溶液で処理した後水を加える)酸化アルミニウム(Al{{sub|2}}O{{sub|3}})にかえたあ、氷晶石(Na{{sub|3}}AlF{{sub|6}})を加えた上でとともに融解塩電解して製造される。
: Al{{sup|3+}} + 3e{{sup|-}} → Al↓
 
アルミニウムは3族の元素であり、価電子を3つ持つため、アルミニウムイオンを還元して単体とするために多くの電子が必要となる。したがって、アルミニウムの製造には大量の電力が必要となる。
アルミニウムの電解には、大量の電力が必要となる。
 
[[File:Cut Ruby.jpg|150px|right|ルビー]][[File:SaphirSynthetique.jpg|150px|right|サファイア]]
製造の過程で得られる酸化アルミニウム(Al{{sub|2}}O{{sub|3}})は水に溶けにくい白色の固体である。酸化アルミニウムは'''アルミナ'''とも呼ばれ、融点が非常に高いことから耐熱材として用いられる。氷晶石は、この融点を降下させるために用いられる。酸化アルミニウムの結晶のうち、ごく微量のクロムやチタンなどの金属が混入したものは、赤いルビーや青いサファイアといった宝石として知られる。
 
アルミニウムの粉末'''、空気中または酸素中で熱すると、激しく燃える。


* テルミット法'''により他の金属を得る際にも用いられる。
また、アルミニウム単体の粉末と、酸化鉄 Fe<sub>2</sub>O<sub>3</sub> など他の金属酸化物の粉末を混合して、加熱すると、アルミニウムが激しく酸化され、ほかの金属酸化物が還元され、金属単体が得られる。たとえば酸化鉄(Ⅲ)とアルミニウムを混合して加熱すると、鉄が得られる。
: 2Al + Fe{{sub|2}}O{{sub|3}} &rarr; Al{{sub|2}}O{{sub|3}} + 2Fe↓
 
これを'''テルミット法'''といい、レールの溶接などに用いられる。
 
* 両生元素
アルミニウムは両性元素であり、酸とも塩基とも反応して水素を生じる。たとえば、塩酸と反応して水素を発生しながら塩化アルミニウムを生じる。
: 2Al + 6HCl &rarr; 2AlCl{{sub|3}} + 3H{{sub|2}}↑
また、水酸化ナトリウム水溶液と反応して、水素を発生しながらテトラヒドロキソアルミン酸イオンを生じる。
: 2Al + 2NaOH + 6H{{sub|2}}O &rarr; 2Na{{sup|+}} + 2[Al(OH){{sub|4}}]{{sup|-}} + 3H{{sub|2}}↑
しかし、アルミニウムは濃硝酸に溶けない。これは、反応開始直後に金属表面に緻密な酸化被膜を形成し、反応が金属内部まで進行しなくなるためである。このように、緻密な酸化皮膜により保護されて、それ以上は反応が進行しない状態を'''不動態'''(ふどうたい)という。
 
* イオン
アルミニウムイオン(Al{{sup|3+}})の水溶液は無色透明である。これに水酸化ナトリウム水溶液を少量加えると、水酸化アルミニウムの白色ゼリー状沈殿を生じる。
: Al{{sup|3+}} + 3NaOH &rarr; 3Na{{sup|+}} + Al(OH){{sub|3}}↓
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: Al(OH){{sub|3}} + NaOH &rarr; Na{{sup|+}} + [Al(OH){{sub|4}}]{{sup|-}}
テトラヒドロキソアルミン酸イオン水溶液に塩酸を加えると、逆に水酸化アルミニウムの白色沈殿を生じ、過剰に加えれば塩化アルミニウムを生じる。塩化アルミニウムは潮解性のある白色の固体であるが、水に溶けやすく、電離してアルミニウムイオンを生じる。
 
: [Al(OH){{sub|4}}]{{sup|-}} + HCl &rarr; Al(OH){{sub|3}} + H{{sub|2}}O + Cl{{sup|-}}
 
== 水酸化アルミニウム ==
アルミニウムイオンを含んだ水溶液に、塩基を加えると、水酸化アルミニウム Al(OH){{sub|3}} の白色ゲル状の沈殿が生じる。
水酸化アルミニウムを熱すると、酸化アルミニウム Al{{sub|2}}O{{sub|3}}が生じる。
 
このように、水酸化アルミニウム(Al Al(OH){{sub|3}} は酸とも塩基とも反応して溶けることのできる、両性水酸化物である。
: Al(OH){{sub|3}} + 3HCl &rarr; AlCl{{sub|3}} + 3H{{sub|2}}O
: Al(OH){{sub|3}} + NaOH &rarr; Na[Al(OH){{sub|4}}]
このように、水酸化アルミニウム(Al(OH){{sub|3}})は酸とも塩基とも反応して溶けることのできる、両性水酸化物である。
 
 
== 酸化アルミニウム ==
酸化アルミニウム Al{{sub|2}}O{{sub|3}} は、'''アルミナ'''(alumina)とも呼ばれ、白色の粉末で、水に溶けない。また、融点が高い(融点:2054℃)。
 
酸化アルミニウム Al{{sub|2}}O{{sub|3}} は、酸にも強塩基にも溶ける両性酸化物であるが、アンモニア水には溶けない。
 
: [Al(OH){{sub|42}}]O{{supsub|-3}} + HCl6HCl &rarr; Al(OH)2AlCl{{sub|3}} + H3H{{sub|2}}O + Cl{{sup|-}}
: Al{{sub|2}}O{{sub|3}} + 2NaOH + 3H{{sub|2}}O → 2Na[Al(OH){{sub|4}}]
 
また、たとえば宝石のルビーやサファイアは、酸化アルミニウムが主成分の結晶である。酸化アルミニウムの結晶のうち、ごく微量のクロムやチタンなどの金属が混入したものが、赤いルビーや青いサファイアであり、ともに、かなり硬い。また、酸にも塩基にも、ルビーやサファイアは溶けない。
なお、ルビーにはクロム Cr が、サファイアには鉄 Fe やチタン Ti が含まれている。
 
== ミョウバン ==
[[File:Alun.jpg|right|200px|ミョウバンの結晶]]
硫酸カリウム水溶液と硫酸アルミニウム水溶液と含む化物の一つにして濃縮して得られる結晶は、硫酸カリウムアルミニウム十二水和物(AlK AlK(SO{{sub|4}}){{sub|2}}・12H{{sub|2}}O)がO の結晶でる。広く一般にはり、この硫酸カリウムアルミニウム十二水和物を'''ミョウバン'''と呼ばれ、結晶は無色透で正八面体形をしている。これを焼く礬)、無水物である焼きミョウバンが得られる。ミョウバンは温度による溶解度の変化が激しく、低温の水には少量しか溶けなが、温度を上げるとよく溶けるよになる
 
ミョウバンの結晶は無色透明で正八面体形をしている。
ミョウバンを水に溶かすと、Al<sup>3+</sup> 、K<sup>+</sup> 、SO{{sub|4}}<sup>2-</sup> の各イオンに電離する。
:AlK(SO{{sub|4}}){{sub|2}}・12H{{sub|2}}O → Al<sup>3+</sup> + K<sup>+</sup> + 2SO{{sub|4}}<sup>2-</sup> + 12H{{sub|2}}O
 
ミョウバンのように、2種類以上の塩が結合して物質を'''複塩'''(ふくえん、double salt)という。
 
ミョウバンを得るには焼くと硫酸カリウム溶液と硫酸アル物である焼きム水溶液とを混合して冷却すバンが得らばよいこのようにミョウバンは複数温度による溶解度変化が激しく、低温の水には少量しら作られ溶けないが、温度を上げ'''複塩'''であとよく溶けるようになる。