特許法第127条

訂正審判請求の際の専用実施権者、質権者、一部の通常実施権者の承諾について規定する。本条は、実用新案法で準用されているが、同法では平成5年改正で訂正審判が廃止され、代わりに明細書等の訂正において準用するようになっている。

条文

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第127条 特許権者は、専用実施権者、質権者又は第35条第1項、第77条第4項若しくは第78条第1項の規定による通常実施権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、訂正審判を請求することができる。

解説

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訂正審判無効審判の請求(現実に請求されるか否かは問わない)、侵害訴訟・仮処分事件における相手方の権利行使制限の主張への対抗策として請求されるものであり、訂正の範囲は限定されている(126条1項ただし書各号)。しかし、特許権者が訂正により必要以上に特許権の技術的範囲を減縮したり、本来訂正を請求する必要もないのに請求したりすることも考えられる。その場合、専用実施権者、質権者または職務発明にもとづく通常実施権者(35条1項)もしくは許諾にもとづく通常実施権者(77条4項、78条1項)は、訂正審判の確定により必要以上に特許権の技術的範囲が減縮されることにより(128条参照)、実施の権能を失ったり本来であれば侵害者となる者に対し権利行使することができなくなったりすることにもなりかねない。そこで、これらの者の承諾を得なければ訂正審判の請求をすることができないこととした。なお、職務発明にもとづく通常実施権者、許諾にもとづく通常実施権者以外の通常実施権者は、特許権の技術的範囲が減縮されても何ら影響を受けないため承諾を求める必要がない。


本条に違反して訂正審判を請求した場合に、審判官がそのことに気づいたときは、133条2項2号の規定により審判長による補正命令がなされ、それでも承諾書を提出しないときは、審判長が決定をもって審判請求書を却下する(同条3項)。

改正履歴

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  • 平成15年法律第47号 - 審判名称付与に伴う修正
前条:
126条
特許法
第6章 審判
次条:
128条