行政手続法第42条
条文
編集(提出意見の考慮)
- 第42条
- 命令等制定機関は、意見公募手続を実施して命令等を定める場合には、意見提出期間内に当該命令等制定機関に対し提出された当該命令等の案についての意見(以下「提出意見」という。)を十分に考慮しなければならない。
解説
編集本条は、提出された一般の意見に対する取扱いの適正を確保するため、命令等制定機関に対し、提出された一般の意見全てを十分に考慮すべき義務を課すこととしたものである。
意見公募の手続きを実施しただけで、提出された一般の意見が不当に扱われたのでは、命令等を定める過程における公正の確保と透明性の向上を図ることは到底不可能であるからである。
提出意見を、定めようとする命令等に反映すべきかどうか、反映するとしてどのように反映すべきかについての、命令等制定機関の判断は合理的なものでなければならず、この判断の適正を制度的に担保し、意見公募手続の実効性を確保するため、第43条第1項第3号及び第4号において、提出意見、提出意見を考慮した結果及びその理由を公示すべきことを命令等制定機関に義務付けている[1]。
- ^ 「十分に考慮しなければならない」とは、提出意見の内容をよく考え、定めようとする命令等に反映すべきかどうか、反映するとしてどのように反映すべきかについて適切に検討しなければならないということである。
命令等制定機関における「考慮」は、提出意見の内容に着目して行われるものであって、提出意見の多寡に着目するものではないし、まして、これらの意見による多数決を導入するものではない。
また、命令等制定機関には、提出意見の内容を「十分に考慮」する義務が課せられるにとどまり、提出意見の内容を定めようとする命令等に反映すべきかどうか、反映するとしてどのように反映すべきかは、命令等制定機関の権限と責任において判断すべき事柄である。したがって、当該提出意見の内容を必ず、定めようとする命令等の内容に反映しなければならない義務までが課せられるわけではない。また、個々の提出意見に対し個別に回答すべき義務を負うものでもない。
参照条文
編集判例
編集引用文献
編集- ^ 「(提出意見の考慮)第四十二条」『逐条解説 行政手続法』 行政管理研究センター(IAM)、ぎょうせい、2016年5月20日、改正行審法対応版、323 - 327頁。ISBN 978-4-324-10131-5。
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