進学実績を見る際の注意事項

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公立の商業高校や「○○総合高校」などで、一見すると、大学への進学実績の高い高校があります。しかし、よく調べてみると、その高校に併設されている普通科の進学実績だったりする場合があります。地方の山間部などでは、周辺に他の公立高校が少ないため、職業高校や総合高校に普通科も併設している場合もあります。

職業高校では、卒業までの専門学科の単位数が25単位以上と定められているので、大学進学を一般入試で通貨するのは、かなり難しいです。(なお、進学校の文系コースの数学の3年間の単位数がおおよそ14単位の前後です)

進学校での文系コースでの数学・理科の単位数の合計(共通テスト対策も含む)に匹敵する時間を、職業高校ではその学科の専門科目に投入しますので、一般入試はかなりの難関です。

決して学校名だけ見て、大学進学実績を見て「職業系の学科なのにスゴイ!」との早合点を、しないようにしましょう。

学科選び

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高校は学校ごとの教育内容の差が大きい

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単に受験に受かることだけでなく、どの高校、どの学科に進学するべきかも、きちんと考えなくてはなりません。なぜかというと、高校は学校ごと、学科ごとに教育内容の差が大きいのです。

高校の転校は法的には可能ですが、中学よりも手続きが難しく、希望の高校に移れる保証も無いので、高校入学前に学校選びは慎重に考えてください。

高校は義務教育ではありません。しかも、近年では規制緩和という傾向があります。よって、高校の科目でも学校ごとに差が大きいのです。

工業高校・商業高校などは、高卒で就職する場合に、進路志望に応じて選ぶのが良いでしょう。高卒で就職する場合、普通科卒よりも、工業高校卒・商業高校卒の方が多くの企業では有利です。

高卒後に、理系大学または国公立大学への進学を志望する場合は、普通科または理数科を目指すのが良いでしょう。

私立大の文系に志望が限定して至る場合は、普通科または、そのような文系進学に対応した学科を目指すのが良いでしょう。


なお、法律上の問題で工業高校や農業高校など、その分野の学科を卒業しないといくつかの国家資格の取得が困難、または資格取得がやや難しくなる業界が、いくつかあります。

良く、工業系のいくつかの肉体労働の現場作業系の国家資格で「高校で理科系卒業後、○年以上の実務経験」とかの資格要件があり、その実務経験を満たすと国家試験を受験しなくても資格を認定してもらえる資格も一部にはありますが、ここでいう「理科系」とは、決して普通科高校の理系大学進学コースのことではなく、工業高校など職業高校での該当する学科(例えば機械科や電機科などの学科)のことですので、勘違いしないようにしましょう。

一応、それらの学校を出なくても筆記試験で受験すれば合格できます。しかし電気主任技術者試験2種など、資格によっては大分試験が難しくなる場合があります。

普通科高校に進学したい場合

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「進学コース」とかの意味

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まず、私立高校などでは、「特進コース」「進学コース」などのように成績順にコースが分かれている高校も多くあります。

後述の「文系コース」、「理系コース」とは、特進コース内の文系コース、特進コース内の理系コース、進学コース内の文系コース、進学コース内の文系コース、のようにコース内のコースのことです。

学校によっては、特進・進学の分けを「クラス」と呼んだり、あるいは文理の分けのことを「クラス」と呼んだりする場合もあります。


一般に、各学年の初めに学力順にコースが決まり、

(成績が良い) 選抜コース > 特進コース > 進学コース (成績が低い)


の順です。同じコースが決して3年間つづくわけではなく、進級のたびに再判定をされ、成績に応じたコースに分けられます。

選抜などのコース分けの成績の基準は、基本的にはその高校の定期試験、およびその高校で在学生むけの実施した模試(「校内模試」)で決まります。それ以外の自分で独自に受けた模試の成績がどんなに良くても、関係ありません。


「進学コース」はその名に反して、成績は普通または一番下のコースです。高校によっては「総合進学コース」のような名前の場合もありますが、学科は決して総合科ではない[1]ので混同しないのでください。

普通科の学科にある総合進学コースは、あくまで普通科の学校です。そのため、機械工学だの簿記だのの授業は、特に私立高校の普通科の「総合進学」コースの場合、基本的に無いでしょう。特に工学系の科目は設備の問題などもあるので、科目の実施は難しいと思います。

なお、特進コースや選抜コースなど上位のコースには一般に、アートクラスとかスポーツクラスは無いのが普通です。アートとかスポーツとか目指す場合、その高校のいちばん下のコースになります(つまり、「進学コース」とか「総合進学」コースになるのが普通)。


このように、コース分けでいう「進学コース」の意味合いは、一般の文系大学または理系大学を志望するコース、くらいの意味合いでしかありません。つまり、アートだとかスポーツだとかは、特に目指していない、という意味です

私立高校によってはSコースとかAコースとかありますが、高校ごとに意味合いが違うので、当ページでは深入りを省略します。Sコースがスーパーコースなのか、それともスタンダードコースなのかで、意味合いが大きく変わります。Aコースが、単にA,B,Cの最初のアルファベットの意味なのか(日本語でいうイロハのイの意味)、それともadvancedの意味かで、意味合いがだいぶ違います。思い込みをしないよう、志望校にSコースとかAコースとかあったら、きちんと資料で意味合いを確認しましょう。

文理のコース分け

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さて、普通科高校でも、高校では、文系コース/理系コース、といったコース分けをしている学校も多くあります。

なお、高校にも寄りますが、いちいち 音大志望コース/美大志望コース/体育大志望コース 、とかは無いのが普通ですので、その場合は文系コースなどで代用することになるでしょうか。音楽学科のある高校なら音大志望コースとかあるかもしれませんが、そもそも普通科ではないので、説明は省略します。


高校にも寄りますが、高校2年になる前に文系コースか理系コースかを決めなければならない高校もあります。そうでない学校でも、遅くとも、高校3年になるまでには、文系コースか理系コースかを決めなければなりません。


なお、別に文系コースでも理系コースでも、大学受験の資格は変わりません。つまり、文系コースからでも理系の学部学科の大学を受験できて高得点を取れば合格するし、理系コースからでも文系の学部学科の大学を受験できて高得点なら合格になります。


ですが、推薦などの際、推薦条件の科目の履修に、高校側でのコース選択が影響する可能性があります。

たとえば「地理探求で成績が5段階中で4以上のこと」という条件があったとして、理系コースの場合だと『地理探求』科目が時間割の制限で履修できない(なお地理探求は必履修科目ではない)、と言ったような場合も起こりえます。

詳しくは高校生活ガイドで説明します。


ほか、大学付属の高校を受験する際は、高校在学時のコース選択(文系コースか理系コースか)によって、併設大学の推薦をもらえる学科が、限られる場合もあります。

たとえば文系コースを履修していないと併設大学の文系学科に推薦をもらえない、同様に理系コースを履修してないと併設大学の理系学科に推薦をもらえない、などです。


ほか、私立高校では、名称は「普通科」でも、その高校の文系コースの実態がまるで文系学科のような私立高校もあります。たとえば、ある私立高校の普通科の文系コースでは、高校2年の数学II 以降を習わないまま卒業する高校もあります。周辺の公立高校の国際科ですら高校2年の数学IIを習うのに、私立の普通科にはそれを習わないまま卒業する私学もあります。

特殊な普通科

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地域と連携した普通科
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公立の普通科高校でも、地域の実情などに応じて、初歩的な福祉や農業などを学べる高校も若干ですが、あります[2]。ただし、あくまで普通科なので、教育される科目のほとんどは普通科のものです。

農業高校に併設された普通科というのもあり[3]、農業実習の科目で単位を取得することもできます(限度はあります)。

これら普通科内で農業や福祉などを学べる高校は、あくまで普通科です。国家試験などを受ける際の、出身学科による一次試験免除などの有無で、普通科の出身者として扱われる可能性が大ですので、一次試験などが免除されないかもしれません。(当wikiでは保証できませんので、ご自身でそれぞれの進路の場合についてお調べください)

過去に職業高校だった「普通科」
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過去に職業高校だった「普通科」の公立高校は、その歴史に引きずられたカリキュラムになっており、また男女比も過去の学科に引きずられている場合もあります。

過去に商業高校だった場合の「普通科」では、文系コースでは数学IIを履修できない場合があります。「物理基礎」も履修できないかもしれません。

常識外れな「普通科」
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ごく一部ですが、日本の公立高校には、教育の多様性の確保のためか、まったく常識外れなカリキュラムの「普通科」があります。

普通科の公立高校なのに、文系クラスではなぜか商業科目の「簿記」(ぼき)とほかの商業専門科目が必修で、合計10単位の商業科目が必修という、少し日本の大学進学の常識では考えづらいカリキュラムの公立高校すら存在します。(高校名は伏せます)公式サイトなどでは一言も「国立大学進学には強い」とか言ってないので、ウソはついてないのですが、とにかく受験生は気を付ける必要があります(理解した上で行くなら、自己責任で、どうぞ)。

たとえば、もし「商業科」として作ってしまうと、法規制上、商業の専門科目を25単位以上も(上記の特殊な普通科高校の10単位の2倍以上という)大量にカリキュラム上に配置しなければなりません。そこで、10単位だけ必修で教えたい場合は、法規制に反しないよう「普通科」を名乗っているのでしょう。

そういう特殊な普通科があっても良いですし、そういう特殊な高校だと理解した上でその高校に入る必要があります。

なので、受験生は、志望校の志望学科の公式サイトなどをきちんと確認しましょう。そういう簿記の必修の特殊な公立高校の公式サイトを見ると、きちんと、「就職に強いコースです」とか高卒就職する人のための学科だと説明をしてあります。

総合科を名乗るわけにも行きません。

私立だと「普通科 総合コース」というのがあって部活との両立コースの意味で使ってますが、しかし本来、公立でいう「総合科」というのは、専門音楽(ソルフェージュとかある科目)とか、専門美術(ビジュアルデザインとかある科目)とかから、ドイツ語とか中国語とかある学科のことです。

普通科の「総合コース」

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私立高校などで、一部の普通科高校に「総合コース」というのがあります。

これは実態は、次の2つのパターンのどちらかです。

  • 商業高校の科目の一部、または工業高校の科目の一部が学べる普通科です。
  • スポーツまたは芸術に専念する普通科高校。
  • 福祉や介護などの実習などが学べる高校

どのコースも、大学進学については苦手なコースです。これらのコースは、高卒で就職するか、専門学校に進学することを前提にしている事がほとんどです。

「コース」は各学校の教育方針により異なるため、詳しく知りたければ各校のパンフレットなどの資料を請求して確認するなどが必要になるでしょう。また、ネット上では情報公開していな高校も、これらのコースをもつ高校では多いです。そのため、


※ 下記の出典については、高校側の名誉のため、出典をひかえます。また、他の編集者も、出典の追加のさいには学校や高校生の名誉棄損にならないように注意してください。
商業または工業を学べる高校の場合

まず、商業・工業などを学べる高校の場合について説明します。、

注意点として、決して商業高校や工業高校のすべての学科が総合コースでは学べるわけではありません。高校によっては、普通科高校の科目のほかは、商業高校の科目しか学べない、といったような高校もあります。

「それは『総合』ではなく『統合』(とうごう)では?」というような気がしないでもないですが、昭和時代の総合科設立などの歴史的経緯からでしょうか、「総合コース」という言葉が使われています。

注意点として、商業系の総合コースの場合、「物理基礎や専門『生物』などの理系の高度な科目が履修できない」という点です。なので、少しでも理系を考える人は、総合コースではなく進学コースに進みましょう。数学II は商業高校では3年次に選択科目として履修できる場合があります。

また、商業や工業などの科目に時間をさかれるので、大学進学にもあまり強くなく、難関大学の現役合格などは難しいと思います。大学進学を考える人は、注意が必要です。

基本的に、「総合コース」は高卒で就職するか専門学校に進学する人のためのコースです。

「総合進学コース」とは別

大学進学に対応するコースとしては、「総合進学コース」というのを持つ高校がいくつかあります。有名な高校を例に出せば、ときどき甲子園に出る花咲徳栄(はなさきとくはる)高校です(w:花咲徳栄高等学校)。ネット上ではカリキュラム公開されておらず、詳細は不明です。

ほか、大学付属校でいくつか「総合進学コース」をもつ私立高校がありますが(東海大学付属熊本星翔高等学校、八戸工業大学第二高等学校、土浦日本大学高等学校、岡山理科大学付属高等学校、など)、ネットの公式情報だけでは詳細不明です。

さて、「総合コース」の普通科の科目の傾向として、高校1~2年の選択芸術が『音楽I』に固定されている高校が比較的に多そうです。カリキュラム公開をしている高校を見た感じ、チラホラと音楽Iに固定している高校もあります。

芸術または体育を中心とした高校の場合

題名通り、芸術または体育などを中心としたコースですが、基本的に文科系のコースです。理系科目はあまり履修できません。商業高校なみに、専門生物や物理基礎などは、履修自体が不可能な可能性が高いでしょう。

また、けっして一人の学生がスポーツと芸術の両方を履修するのではなく、おそらくコース内でさらに「体育クラス」または「アートコース」などに分かれていると思います。

専門学科の「体育科」高校や「音楽科」高校などを設立するほどには単位数が多くないが、しかし他の普通科高校よりも体育や音楽科などの科目が多い、という高校です。


普通科の専門的コース

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ビジネスコースなど
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多くの地域で、商業科に「情報ビジネスコース」というのがある地方がチラホラあるのですが、ごく一部の公立高校ですが普通科に「情報ビジネスコース」を持っている高校もあります[4]

商業科ビジネスコースとの違いは、普通科ビジネスコースの場合、数学IIや数学Aが必修の場合が多い(なお調査時のサンプル数が一桁)という点です。

体育コース・美術コースなど
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ほか、私立高校の普通科「美術コース」とか「スポーツコース」とかあります。ただし、普通科だからといって数学IIが必修とは限らない事例が、私立のカリキュラムの場合には見受けられます。

偏差値

なお、これらの学校の受験には実技試験がありますので、高校の偏差値は必ずしも学力を反映するとは限りません。たとえば「偏差値55」といっても、平均より勉強のできる集団とは限りません。

たとえば、偏差値60越えの私立で「普通科」のスポ-ツコースなのに、公民科目の「政治経済」も履修できない、日本史探求も世界史探求も履修できない、数学II以降は無い(当然、数学Bや数学IIIは無い)、といった「普通科」の偏差値60越えのスポーツコースも実際に日本にはあります。

偏差値の付け方として体育コースなどの実技試験のある特殊なコースの場合、あくまで高校の偏差値はその高校の入試倍率などから機械的に決めるので、体育コース・美術コースなどでは、高校偏差値はあまり在学生の5教科の学力を反映しません。


事実上の学科

学科名の名称だけは「普通科」ですが、ほとんどの私立で、カリキュラム表の単位数などを見ると、まるで公立の「美術科」高校や「体育科」高校といった専門高校のような単位数です。

このため、事実上の美術科・体育科といった専門高校の学科だと考えられます。よって、これらの私立の美術・体育などのコース制での探究活動(科目「総合的な探究の時間」)のテーマは、コースに関連したものに限定される可能性がとても高いと予想されます。(たとえば工業高校では、工業に関連した製品づくりが探究活動として義務化されています。同様、「美術コース」では、美術に関するテーマしか、探究テーマとして認められないと思います。)

つまり、20単位以上が、専門科目、またはコース名の科目の合計になっています。

なお、「美術コース」の場合、たとえば美術Iが6単位、美術IIが6単位、美術IIIが8単位、みたいに(なお合計20単位)、進学コースにもある「美術」科目に表では、まとめたりしています。(なお、一般の進学校では美術Iの2単位だけで高校の芸術教育は終わり。つまり、この例だと美術コースは他の進学校の10倍の美術の授業数。)


なお、普通科ではなく「美術科」にした場合は、法律上、美術の単位数が25単位以上でなければならないと、文科省の学習指導要領で定められています(専門学科では専門科目が合計25単位以上でないといけない)。上記の例である「美術Iの6単位、美術IIの6単位、美術IIIの8単位」という合計20単位だと、あと5単位が足りません。ちょうど、探究科目の単位がピッタリと5単位だったりするので、おそらく探求テーマが美術のテーマに限定されると思います。

またなお、私立の「美術コース」などの専門コースのカリキュラム表の特徴として、公立の美術科・体育科などのカリキュラム表に見られるような専門科目(たとえば専門美術なら「ビジュアルデザイン」や「素描」(そびょう))などの一覧が見られません。

理由はおそらく、併設している進学コースのカリキュラム表と合わせて教員が管理しやすいように、美術コースの専門的な授業をぜんぶ美術I~IIIにまとめて時間割を組んでいるのだろうと思います。ただし、実際の授業は、進学コースと美術コースとで、別々のクラス、別々の授業内容だと思います。

実際には、美術コースの教科書には、おそらく専門科目「美術」の教科書を(普通科の美術Iなどのものとは別です)、美術コースでは用いているのだろうと思います。


学科名を「普通科」にしているのは、べつに普通科の進学校に準じた教育をしているわけではなく、単に、教職員がカリキュラム表を進学コースとまとめて管理しやすいからでしょう。教職員だって労働者だし人間ですので、管理しやすい表が好きなのです。いちいちエクセル表とかを美術コースだけ別々に作りたくないんです。

理数科や国際科など

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普通科以外にも、「理数科」「国際科」「国際人文科」などのように、職業高校とは別に、特定の分野への進学に特化した学校もあります。

これら普通科でない学科は、法律上、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます[5]。また、商業高校も理数科・国際科も、指導要領では法律上は同列であるので、専門科目の履修を25単位以上を要求されます[6]

この単位数の制約のためか、理数科・国際科などには、普通科の3年次に見られるような自由選択科目群は、無いです。

また、芸術IIは基本、理数科・国際科には、無いです。家庭科も、家庭基礎以外(たとえば「フードデザイン」とか「保育」とか)は、履修不可能です。

また、国際科をのぞき、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は基本的に、理数科や人文系学科には無いです。

理数科

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理数科であるかどうかの判定基準は、カリキュラムにおける数学・理科の科目数の合計数であり、25単位以上が必要です。実験設備の高度さなどは基本、関係ありません(よほど設備が劣悪でない限りは)。

理数科の専門科目の内容は、数学・理科とほぼ同等です。なので、大学受験の推薦基準で要求される科目(数学IIIの履修など)としては問題ないでしょう。


スーパーサイエンスハイスク-ルは必ずしも理数科とは限りません。地域によっては「理数科」ではなくともスーパーサイエンスハイスク-ルの場合もあります。

東京都立戸山高校や立川高校のようにスーパーサイエンスハイスク-ルの「普通科」が理数科相当の教育内容の場合もあれば[7][8]、他校ではスーパーサイエンスハイスク-ルの理数科の場合もあります。それぞれ高校ごとに異なるので、確認してください。

普通の理数科とスーパーサイエンスハイスク-ルのカリキュラムはほぼ同じですが、スーパーサイエンスハイスク-ルには実験などをする研究的な科目が3年次あたりにあるのが特徴です。

本節の解説では、スーパーサイエンスハイスク-ルではなく主に理数科について述べます。


理数科も普通科も、資格試験などでは、決して「工業高校」や「商業高校」のような職業高校とはみなされません。

たとえば和歌山県は、理数科と国際科をともに「普通科系専門学科」というのに分類しています[9]

おそらくスーパーサイエンスハイスク-ルも同様、資格試験などでは職業高校とはみなされないでしょう。


  • 高卒就職の場合

高卒で就職する場合、「国際科」卒や「理数科」卒などは、「普通科」と同等の学科卒として扱われます。工業高校卒や商業高校卒などの実業高校卒とは扱ってもらえません。なので、例えば工業高校卒を優先的に採用している製造業などへの就職などへは、普通科同様に不利になります。

また、資格試験などでも、「国際科」や「理数科」は特に優遇されません。(一方、工業高校だと、工業系の資格で経験年数などの条件で優遇される場合がある。)

例え理数科を卒業しても、技術者としては扱ってもらえません。例え国際科を卒業しても、国際通・語学通とは扱ってもらえません。

  • 理数科に無い科目

日本史探求・世界史探求は、無いのが通常です。地理総合をすっとばして、いきなり地理探究があります。しかしその地理探究は、それは公民分野の「政治経済」との選択必修であり、地理探究・政治経済のうち、どちらか片方しか履修できないです。

理数科だからといって、地学もふくめて理科4分野の全部は、履修できないのが通常です。また、たとえ地学履修できる理数科高校でも、生物との選択必修であり、どちらか片方しか履修できなくなる可能性があります。

国際科と国際教養科と外国語科

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「国際科」は事実上は文系の学科であり、しかも、私立大・国立大の文系学科に特化した学科です。理系や国公立大学を志望する場合は、普通科または理数科に進学した方が良いでしょう。「外国語科」は同様、文系に特化した学科であることが多いです。

最近は、「国際教養科」という学科も出てきました。

一部、下記のように数学IIIなどの履修できる理系コースもある「国際教養科」の高校もありますが、しかし基本的には文科系の高校が多いです。

数学IIIや専門「物理」を選択科目として履修できる高校もあります。『千葉県立松戸国際高等学校(全日制) 国際教養科 教育課程表』 令和5年度入学者 ,pdf『愛知県立千種高等学校 令和4・5年度 入学生 国際教養科』


しかし、数学IIIを履修できない「国際教養科」もあります『★国際教養コース 「カリキュラムと時間割例」 - 京都府立西乙訓高等学校 学校案内』

どうやら学校ごとにカリキュラムは大きく違うので(たとえば芸術科目の多い国際教養科の公立高校もあれば、そうでない国際教養科の公立高校もあります)、詳しくは各高校の公式サイトなどを確認してください。

どうやら最近は(2024年に本文を記述)、理系コースにも対応した国際系学科も出てきているうようです。


なお大阪では、文科系進学に特化した国際系学科を「国際文化科」としているようです『国際教養科・国際文化科 - 大阪府立花園高等学校』

地域の実情に応じて、国際教養科は色々とアレンジされます。商業高校にある国際教養科なんていうのもあり、簿記を履修できる国際系学科もあります『国際教養科 - 熊本県立球磨商業高等学校』(さすがに数学IIIは無理だけど、数学IIには対応)。なおこの高校カリキュラム、よく見たら第二外国語が無い。

どうやら、既存の「国際科」「外国語科」の指導要領が、もはや21世紀の令和では各地の地域の実情に合わなくなってきているようであり、国際系の高校が新しい学科に改組されていっているようです。


第二外国語は、必ずしも新共通テストの4言語「ドイツ語」「フランス語」「中国語」「韓国語」があるわけではありません。ドイツ語の無い国際系学科の高校もあるし、そもそも第二外国語の無い国際系学科の高校もあるし、中国・韓国語といったアジア系言語しかない高校もあります。

ほか、国際高校の(国際科ではなく)「普通科」というパターンもあり、これには理系コースのある公立高校もあります『学科案内 - 埼玉県立和光国際高等学校』,pdf『兵庫県立国際高等学校 令和5年度実施教育課程表』 なんと理系コースでは、第二外国語があるのに数学IIIと 物理または生物 の2科目を確保しています。ただしカリキュラムをよく見ると、高校3年に「政治経済」が無い。

国際科の基本
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具体的には、国際科のカリキュラムでは、その高校内では普通科の高校3年にある理系科目を履修できません。具体的には、数学IIIや専門「化学」や専門「生物」など高校3年の普通科にある数学や理科の科目が、国際科には無いです。たとえ偏差値がかなり高い公立高校の国際科でも、数学III(すうがくサン)や専門「化学」などの科目は無いです。

また、高校2年までの理科の4科目(生物・化学・物理・地学)もよく見ると、普通科高校より選べる科目が1つ減っていたりします。普通科高校では「生物基礎」・「化学基礎」・「物理基礎」・「地学基礎」のうち3科目を履修ですが、国際科では2科目までしか選べません。


語学以外の分野の授業進度は遅れるので、他分野への大学進学を志望する場合には、返って不利になります。なので、きちんと進路志望が固まってない限り「普通科」への進学が無難です。


「国際科」「国際人文科」などのように語学や文系に特化した学科の高校に入ると、高校によっては国際科のほかに普通科が併設されている高校も多いですが、しかし学科を移れません。このため、普通科の理系コースにある高校3年の数学IIIや高校3年の理科などは、国際科では履修が基本的に不可能です。

※ ただし例外的な国際科高校もあり、 pdf奈良県立国際高等学校の国際科・理系コース では数学IIIが履修可能。


同様に、「理数科」などの理系に特化した学科では、基本的には普通科には移れません。また理数科内には、そもそも文系コースは存在しません。

また、私立大学への推薦入試を考える場合、理系志望の場合などは、高校で数学IIIや物理・化学などの、普通科高学年の理系科目の履修を、推薦の条件の一つに加えている場合もあります。もし高校の学科が「国際科」などの文系特化型の学科だと、そもそも、これらの理系科目が履修できなかったり、もしくは推薦の要件の履修科目数・履修単位数に届かない場合があります。

なので、少しでも理系大学を志望してる高校受験生なら、たとえ中学時点で語学や社会科の世界史・世界地理などが好きであっても、なるべく「普通科」または「理数科」への進学をお勧めします。

特に理系学部の推薦では、文系学部の推薦よりもこのような履修科目の条件が多いので、注意してください。


「国際科」などでも、理系科目は高学年の選択科目として存在しますが、どちらかというと学科名の通り語学などの科目に重点が置かれますので、その分理系科目の履修時間は少なくなり、普通科よりも数学・理科の進度は遅れます。具体的には、「地学基礎」などを高校3年で習ったりします(専門「生物」や専門「化学」などは履修できない等[10])。

なので、理系志望者にとっては国際科は不利になります。たとえば普通科の理科では3年生で専門「物理」・専門「化学」を学びますが、しかし国際科では専門「化学」などは履修できないのが普通です。


もし国際科などから理系志望に移りたい場合、他校の普通科などに転校するなどの対応を取らなければならないかもしれません。同様に、理数科の人が文系コースに移りたい場合、他校の普通科コースに転校することになってしまうかもしれないのです。ただし理数科の場合の文系志望なら、わざわざ転学科せずそのまま理数科を卒業して、文系大学を受験することも、合理的な選択かもしれません。

一般に、理系の人が独学で文系の学問を学ぶのは割りと容易です。しかし、逆のパターン、つまり文系の人が理系を独学するのは困難です。

「国際科」「理数科」などから普通科に転校した場合、普通科での卒業要件の科目の履修のため、場合によっては卒業が1年ほど遅れる可能性も考えられます。


なお、国際科では、フランス語やドイツ語などの第二外国語が開講されている場合もあります。定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)のうち1つです。この4言語は、新共通テストで受験可能な科目です。(ただし志望先の大学が、英語の第二外国語への置き換え認めていない場合も多々あります。なので、英語も勉強しましょう。)

高校によっては、第二外国語のスペイン語やアラビア語が選択肢に加わる場合もあります。しかし、新共通テストには、スペイン語やアラビア語は無いので、共テ受験にはスペイン語などは使えません。


大学受験で入試科目の外国語としてドイツ語やフランス語が使えるかは大学によります。受験産業などのサイト情報だと、第二外国についての入試科目の情報が抜けているサイトもあり不正確なので、高校在学中にでも大学公式のサイトで確認してください。

ほか、国公立大学などで、大学個別の二次試験では独逸語などで受験できても、新共通試験(センター試験)は英語で受験しなければならない可能性もあるので、気を付けてください。

このため、高校時代の語学の勉強では、英語をすててドイツ語やフランス語などにだけ注力するのは、大学進学では、かなり危険です。


なお、基本的に、国際科以外の公立の普通科高校では、フランス語など第二外国語は開講されておらず、よって、ほとんどの公立の普通科高校では第二外国語を履修できません。

例外的に東京都には都立の偏差値トップ近辺の高校である日比谷(ひびや)高校には、普通科内に第二外国語のフランス語またはドイツ語などの選択科目がありますが[11])、しかしかなり例外的なカリキュラムの公立高校です。

都立の新宿高校にも第二外国語があり、フランス、ドイツ、中国語、ハングル(韓国)の外国語の科目があります。pdf※ 新宿高校 教育課程(R4入学生) 2024年03月31日に確認.


東京以外だと、神奈川でも千葉でも埼玉でも、公立の偏差値トップ高校でも、フランス語などは開講されていないようです[12][13][14][15]

このように都立の日比谷高校のカリキュラムはかなり例外的なので、他県の受験生は決して高校受験のさいの手本・見本にしてはいけません。


  • 国際科の高校入試の「外国語」

高校受験でたとえ「国際科」や「外国語科」などを受験する場合でも、基本的には高校入試での「外国語」教科の出題内容は英語だけです。たとえその高校の国際科に第二外国語の授業があって、たとえば仏(フランス)・独(ドイツ)・中(チャイナ)・韓(ハングル(文字名)、コリア)の言語のうち1つを選択できても、しかし高校受験の時点では外国語はあくまで英語のみです。誤解しないように。

人文系の学科

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「国際人文科」など、ごく少数ですが、人文系の学科があります。

カリキュラムの注意点として、数学IIが無いです。このためか、理科では物理基礎が無いです。

このため、進路がいちじるしく文系に片寄り、また新共通テスト5教科を要求するような国立文系は困難です。なので、少しでも数学・理科を普通科の文系コースのように勉強したいと思うなら、普通科にしましょう。

何度も言いますが、専門学科の学科名は、教育内容の高度さで決まるのではなく、単位数で決まります(25単位以上)。なので人文系の学科には、普通科の文系コースで見られる理系科目は無いのです。

また、第二外国語(ドイツ語や中国語など)は無いです。

文理探究科と文理学科

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文理探究科

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文理探究科には、2つのパターンがあります。どちらのパターンかで、まったくカリキュラムが違うので、入学前にパンフレットなどで確認してください。

文系でも数学を学ぶパターン
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私立の進学校の文系コースの中には、数学IIなどの理系科目をまったく履修しない高校もあります。

しかし、そういう風潮に反発して、文系でも数学IIなどを勉強しよう、という意識の高い学科として「文理探究科」を名乗る学科があります[16]

このパターンの場合、あくまで文系を志望する人のための学科です。理系志望の人はこのコースに進学しないでください。

数学IIIや専門「物理」が開講されません[17]

また、芸術II(美術IIや音楽IIなど)は無いです。

進学校のコース分けを学科にしたパターン
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「文理探究科」は、いわゆる、普通の私立進学校の、文系コースと理系コースを、学科として制度化したものです。

2年次から、文系コースは「国際探究コース」または「人文探究コース」[18]です。理系コースは「理数探究コース」です。2年生にあがるときに、どちらかのコースを選びます。つまり、私立進学高校の文理のコース分けを、公立でも制度化したものです。

いくつかの公立高校にあります。ごく稀ですが、私立高校にも文理探究科があります[19]

この節では、公立の文理探究科について述べます。

まず、基本的には、大学進学に重点を置く学科です[20]

ほとんどの場合、2年生からコース分けがあり、文系コース(国際探究コース)か理系コース(理数探究コース)かを選びます[21]

2年に上がるときのコース決定後は、コースを変更できない点に注意。

基本的に進学校ですので、1年の文理共通の段階では、理系科目は、理系コースに合わせた内容・ペースになります。

たとえば、ある高校の文理探究科では、1年生の数学では、数学IIまで入ります[22]。おそらく、数学IIの三角関数の単元に、1年生の時点で入っているのでしょう。よく私立の進学校では、1年生のうちに三角関数に入ります。

あるいは、「理数数学」を文理共通の1年生のクラスで履修させられる方式の場合もあります[23]

どちらの場合とも、おそらく中身は、1年生のうちに数学IIの三角関数でしょう。

というか、文系コースが(普通は理数科むけの)「理数数学」を履修させられる公立高校という存在がある。


いっぽう、1年生では数学IAまでしか行わない公立高校の文理探究科もありますが、しかしその高校のカリキュラム表を読む見ると、『化学基礎』と『生物基礎』を1年生で教えている[24]。これまた、私立進学校あるあるを真似た公立高校のパターンです。

私立の進学校だと、1年生の『生物基礎』の授業で、化学基礎の有機化学の初歩の初歩とか、大気とか土壌成分の化学組成の授業のときに化学結合の基礎を教えるのです。


さて2年次以降。

国際探究コースでは、オンラインでの英会話などがあったりします。

さすがに語学研究の海外旅行とかは、無理。きっと、予算が足りないのでしょう。

仮に研究旅行の制度があっても、選抜されるのは学年で2~3名ていどでしょうか。


ドイツ語とかフランス語とかは無いです。国際探究コースは、「国際科」とは違うのです。つまり、第二外国語は無い。語学の授業は、英語の科目ばかりです。


3年次。

伝統的な公立高校の3年生にある「自由選択科目」が、無い事に注意してください。

このため、芸術II(美術IIや音楽IIなど)は、履修が不可能です。文系コースでも芸術IIは履修が不可能です。

私立の進学高校では、コース選択以外の科目選択の幅が小さい・無いのですが、それを公立でも制度化したものが「文理探究科」と言えます。


ほか。

家庭科は、「家庭基礎」の2単位のみ。フードデザインなど無い。

文理学科

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「文理学科」は、大阪府の公立高校に見られる、大阪独自の学科です。

現状(2024年)、まるで私立進学高校の特進コースの普通科のようなカリキュラムです。

大阪では入学試験に難易度が3段階のA,B,Cがあって、Cがいちばん難しく(Aがいちばん簡単)、文理学科の入試問題はその最難関のCです。

なお、入試において、内申点の高さは、他の公立高校と同様、要求されます。

高校カリキュラムの特徴は、ほぼ受験5教科(国数英理社)に特化していることです。

高校ごとに、かなりカリキュラムが違いますので、高校の公式サイトなどでカリキュラムを確認してください。

たとえば、数学II・Bを履修するかどうかは、高校によります。文系コースが数学II・Bを履修しない文理学科の公立高校もあります。

けっして、文系科目と理系科目をバランスよく勉強する学科ではないので、勘違いしないでください。

まだまだ新しい学科であり、大阪独自の学科ですので、高校ごとのカリキュラムの差がけっこう大きいです。

美術科・音楽科の高校

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美術科・音楽科など芸術系の高校への進学は、国際科以上に注意が必要です。

美術科・音楽科の高校カリキュラムは、まるで商業高校の専門科目をすべて芸術系科目に置き換えたようなカリキュラムです。(数学II とか物理基礎とか習わない、という意味です。けっして簿記(ぼき)とか教えるわけではないので、誤解しないよう)

実際、文部科学省の学習指導要領では、専門学科では、専門科目の必履修の単位数が25単位以上と定められてます[25]。また、商業高校も美術高校・音楽高校も、指導要領では法律上は同列にあつかわれており、商業高校だろうが美術高校・音楽高校だろうが専門科目の履修を25単位以上を要求されます[26]

このため、たとえ美術や音楽のように普通科高校にも同じ名前の科目のある学科であろうが、専門学科である以上は25単位以上を履修しないといけません。

25単位とはどれほどの量かというと、参考として、いくつかの進学校の私立高校の理系コースの国語の卒業までの単位数が14~16単位でした。「25単位」はさらにそれを約10単位も上回ります。

ほか、ある私立高校の国立文系コースでの数学・理科の単位数が30単位でした。25単位とは、ほぼこれに匹敵する量で、美術・音楽をやらされるわけです。


けっして、美術科・音楽科を「普通科から派生した学科」と見るべきではありません。法律上のタテマエはどうか知りませんが、カリキュラムの実態を見る限り、「美術・音楽系の高校は、商業高校の突然変異」みたいに見なすべきでしょう。じっさい文科省の指導要領などを見る限り、法律的にも商業科や工業科などと同等に、専門科目の単位数の基準(25単位以上)があります。

具体的には、美術・音楽系の高校では、公立高校ですら芸術系の学科になると、高校2年の数学IIが必修でなく履修できない高校が多数です(カリキュラム表を見ても数学IIが見当たらない公立芸術高校が多数あります)。


また、高校1年の理科は「生物基礎」ではなく「科学と人間生活」という横断科目になったりする高校も多くあります。別に「科学と人間生活」が悪いというわけではなく、音楽など分野によっては必要かもしれません。たとえば物理計算の練習を飛ばして音波などの勉強を出来るカリキュラムも組めるでしょうし、そういうカリキュラムも必要な高校もあるでしょう。ただし、あくまで普通科高校での一般的な教育内容とは大きく違う、という事は、覚悟しておいてください。

高校2年の理科は、多くの芸術高校では「生物基礎」が指定されています。つまり、「化学基礎」「物理基礎」「地学基礎」は履修できないのが大半です。

まれに、化学基礎を履修できる芸術高校もありますが[27]、あるいは地学基礎が履修できる場合もありますが[28]、物理基礎はハナっから履修できません。

たとえ、普通科高校の公立高校の高校3年によくある「自由選択科目」群で、数学IIまたは生物基礎・化学基礎などを履修しようとしても、そもそも、その自由選択科目群すら無い、というのが芸術系の公立高校です。たとえば美術系の学科なら、高校3年の国語・英語・社会科(地歴)のほかは、美術系の科目が高校3年でも学校必修であり、自由選択の余地がありません。

言い方を変えると、普通科高校で高校3年の自由選択科目で芸術IIを履修するような人とは、別人種を養成する教育システムです。


ほか、地味ですが文系科目でも、「古典探究」「政治経済」の両方は履修できないです(ほか、両方とも履修できない芸術高校もあり、その場合は論理国語などを習っていたりする)。まあ、古典探究が無くても「文学国語」のある芸術高校が多いのであまり国語に差は無いですが、しかし政治経済が無いとなると高校1年の「公共」が公民系科目の最後になります。「歴史総合」を習うのが高校3年からです。社会科は1年生のうちは「公共」だけ、2年生は「地理総合」、3年生で「歴史総合」というパターンが典型的です。


美術科・音楽科の高校について、ありそうな誤解は、ついつい中学校では「美術」・「音楽」を習うので、なんとなく美術・音楽高校も中学の延長上の普通科高校のように考えてしまうかもしれませんが(吹奏楽部のようなイメージ)、しかし、かなり普通科高校とは違います。

一般大学受験に関すること

なお、大学受験に関していうと、国公立大学の文系学部(文学部や法学部、経済学部など)では、新共通テストに「数学II B・C 」という数学IIの発展した科目の受験、および理科の生物基礎・化学基礎・物理基礎・地学基礎のいずれかの受験が必要です(ただし県立大学とかは違うかもしれません。地域によるので説明を省略)。なので、もし読者の高校生が、少しでも国立大学の文系学部を一般入試で目指す人は、芸術科の高校ではなく普通科高校で美術・音楽に強いところを目指しましょう。


私立芸大受験に関すること

なお、そのような各地の芸術高校でも、進学実績を見ると、私立美大や私立音大に進学した卒業生は普通にいます。美大生や音大生の5教科の学力なんてそんなもんです。私立芸大の入試科目を見ると、新共通テスト利用入試でも入試科目が2~3科目だったりして、事実上、数学や理科などは捨てていると思われます(一応、共テ受験科目としては数学・理科を認めている)。ほとんどの私立芸大は、一般入試科目だと、最初から数学・理科が無く、国数英の3教科のうちの3教科選択の受験だけです。国語と実技試験だけ、という私立芸大もいくつもあります。

「卵が先か、ニワトリが先か」ではありませんが、ともかく公立の芸術高校と私立芸術大学はこのように、お互いを正当化するような高校カリキュラムおよび大学入試科目の構成になっています。

つまり、芸術学科の高校カリキュラムは事実上、私立芸大入試に特化したカリキュラムです。主目的か派生的な目的かは知りませんが、ともかく、そうなっていいます。

決して5教科の学習による全人格的な人間形成を目指すような学科に芸術も加えたようなカリキュラムではなく、教育学の、初等教育における「フンボルト理念」(5教科をバランスよく学ばせると人間形成に良い)の拡張(5教科に芸術・体育などを加えたもの)ではないです。また、近年流行のSTEAM探究(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics or Medical の頭文字)とか関係ありません。

また、芸術学科以外の学科を見ても芸術系は文系あつかいなのが日本の教育システムです。実際、多くの公立高校の普通科高校でも、芸術IIのある普通科高校のカリキュラム表を見ても、芸術IIなどは文系コースに組み込まれているのが大半だからです。よって、もはや21世紀のいまどきの音楽家は基本、東京大学とか千葉大学とか、一般の国公立大とかは入学できませんし卒業もしていません。ごく一部の人が、早慶マーチとかの文化活動推薦とかで行くくらいです。

世の中には、インチキ広告業者みたいなのがいて、まるで音大卒とかを、なんだか「5教科もできて、さらに楽器もできる優等生」(たとえばお金持ちのお嬢様が優等生でピアノもできる的なアレで吹奏楽部員のアレ)のように宣伝するインチキ宣伝マンもいますが、まったく実態とは違うデマですので、単なる大デマです。ナチスドイツの宣伝大臣であったゲッベルスは「ウソも100回言えば真実となる」と言いました。さしずめ広告業界の手法は「誇張気味のことでも、100人で言えば大丈夫」でしょうか。誇張でも100人乗れば大丈夫。

ごく一部には、東大とか出て音楽家の人も過去にはいますが、しかし統計的に、多くの私立芸大はそうではありません(日本の大学の多くは私立です。まして国公立の芸大はごくわずかです。美大・音大の多くは私立です)。

日本の広告業者がよくやる脱法行為として、宣伝されてる本人にウソをつかせると本人のブランドイメージが傷つくので、第三者の広告業者を利用して、その広告業者に「ウソ・大げさ・まぎらわしい」宣伝をさせるのです。 もしウソがバレても、トカゲのしっぽ切りとして業者だけ処罰を受けさせればいい、という発想です。まるでヤクザの鉄砲玉。

職業高校に進学したい場合

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大学進学は、工業高校や商業高校などの職業高校(今では専門高校と言う。)の卒業生でも、法的には大学受験が可能です。 ですが、現実的に考えると大学進学は普通科よりは困難です。

特に、高卒で就職しなければいけない経済的な事情や、職業高校への進学にこだわりが無ければ、普通科に進学したほうが大学進学をしやすいです。

また、商業高校に進学した場合、理系大学に進学するのは難しいです。(法的には、大学受験なら、商業高校卒から理系大受験も、一応は法的に可能です。)

工業高校で習う機械工学などの専門教育は、工業大学の入試には出ません。農業高校や水産高校の専門科目も同様に、大学入試には出ません。

また、専門科目以外の教育は職業高校ではあまり行いません。工業高校でも数学や物理の時間は少ないです。農業高校でも生物学や化学の時間は少ないです。

生物学者や化学者や農学者などを目指したいなら、農業高校では無く、普通科高校で理系進学の強い高校を志望したほうが良いでしょう。

科学者を目指したいなら、例え機械工学者などの工学志望であっても、工業高校では無く、普通科高校で理系進学に強い高校、もしくは工業系の高等専門学校を選んだほうが良いです。

工業高校では、多少は初歩の強度計算や電子工学なども学べますが、工業高校での教育の多くは工具の使い方などの職業訓練です。工業高校は、スパナやドライバーなどの工具の使い方や、はんだごての使い方、旋盤などの工作機械の使い方などの技能を練習する学校です。


農業高校では、多少は農学的なことや最近ではバイオテクノロジーなどのも学べます。しかし、農業高校での教育の多くは職業訓練です。バイオテクノロジーの基本なら、普通科の生物の参考書にも紹介されていますので、べつにバイオテクノロジーを教わるために、わざわざ農業高校に進学する必要は無いと思われます。


高卒で就職する場合は、多くの企業は普通科卒よりも職業高校卒を雇いたがるという現実があります。家庭の経済事情で、大学への進学が難しい家庭は、この事に注意してください。


職業高校というと「不良が集まる学校」という感じのイメージが世間ではありますが(特に工業高校など)、実際は就職指導を含めて生活指導が厳しめに行われるので、あまりにも素行の悪すぎる不良・非行生徒だと中退をせざるを得ない場合もあります。 (とは言え、普通科の難関高校など、教師から見ると優等生の集まる難関と比べたら、不良っぽい生徒は多いかもしれませんが・・・)

専門科目でも、実習のレポートなどが膨大な量だったりと、けっこうスケジュールが厳しいです。

「レポート」と言っても、けっして小学生・中学生のレポートのような数枚のレポートを学期に1回・2回ではなく、職業高校の実習レポートでは10数枚 - 20枚ほどの枚数のレポート提出を数週間おきぐらいに要求されます。しかもレポートの質が低ければ、書き直しを命じられることもあります。企業に就職した後の報告書の書き方の教育なども含めた教育なので、それだけレポート課題が厳しいのです。

職業高校は、入学するだけなら、普通科の中堅 - 難関高校よりかは入学しやすいのが一般です。しかし入学しやすさだけで職業高校に入学すると、入学後の意外と厳しい教育指導とのギャップに戸惑い、悩むことになります。

ともかく、上記のような事情もあり、職業高校から大学進学を目指すのは難しいのが現実です。

  • 工業高校の学科は複数ある。目指す就職先にあった学科を選ぶべき。

工業高校の学科は、機械科、電気科、建築科、土木科・・・などと複数に分かれています。異なる学科への転学科は、原則は出来ません。できたとしても、卒業時の年齢が遅れて、就職時に大企業などの設ける志望者の年齢制限などに抵触し、就職が不利になることがあります。

また、異なる専門分野への就職は(例えば土木科から電機業界への就職など。)不可能では無いですが、就職に不利になることが多いです。特に就職活動の際のアピールとして、資格(例えばボイラー技士など)の取得などを勧める学校が多いと思いますが、異なる学科の専門分野の資格を取得するのは、学習時間的にも困難です。

就職面接での自己アピールでも、学科と同じ業界への就職の方が、経験などをアピールしやすいです。

「総合高校」と「総合科」

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「総合高校」は、高校ごとにかなりカリキュラムが違います。詳しくは、各学校の公式サイトなどで確認してください。よく「総合科」と言われますが、実際にはそういう教科は基本的に存在しないし、学生が所属する学科も違います。

「総合学科」と「総合高校」とは意味が違います。少なくとも、後述する3つのタイプがあります。

ほか、大学入試の「総合型選抜」と「総合科」・「総合高校」などは無関係です。私大の総合型選抜は、大学によって違いはありますが傾向として、英検やTOEICスコアなどの保有資格による足切りをして、そのあと自己アピール書と面接と、国語と英語の2教科だけ(文系志望の場合。理系志望は数学と英語の2教科)の若干の筆記試験などで大学入学の合否を決める方式です。(国公立大の総合型選抜は内容が全く違います。詳しくは省略。このページはあくまで高校受験の話なので。)

総合型選抜の英検などの足切りから分かるように、別に幅広い知識は日本の総合型選抜では求められないので、よって総合科や総合高校に進学したからって有利になる事は基本、無いです。また、深い思考力やアカデミックな思考力も求められないというか、二の次ですので、高校での探求学習も二の次です。(現代の高校の探究学習の元ネタは1990年代からの総合科の課題学習です。)

「総合高校」である場合

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複数の職業高校の合体タイプ
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例のひとつとして、高校に工業高校と水産高校が合わさって併設されているなど、複数の職業高校が合わさった高校が「総合」高等学校と名乗る場合もあります。

一般的な単科の工業高校では「機械科」「電気科」と学科がわかれますが、総合高校の工業系では「工業科(または総合技術科) 機械コース」「工業科 電機コース」のように分かれます。

工業科内の異なるコースの科目が履修できるかどうかは、基本、できなさそうです(詳しくは高校に確認してください)。

つまり、けっして一つの総合高校で、一人の生徒が、商業系・工業系・農業系の全部を履修できるわけではないかもしれません。

また、ドイツ語とか中国語とかは、このタイプでは学校にその教科が無いです。ソルフェージュとかの音楽高校の専門科目、ビジュアルデザインとかの美術高校の専門科目も無いです。


俗(ぞく)にいう、バイキング方式ではない。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ)

総合選択制のタイプ:普通科高校をベース
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さて、上記と別の例では、一例として普通科の高校のようなカリキュラムの高校が、選択科目として商業高校の科目と、美術専門科目(科目「ビジュアルデザイン」とか)とか音楽専門科目(「ソルフェージュ」とか)の選択科目、加えて第二外国語(どの言語かは高校による)を履修可能、というような高校もあります。


俗(ぞく)にいう、バイキング方式なのは、こちらのほう。(バイキングというのは、レストランみたいな料理屋で、入場料のお金さえ払えば、すでに出来上がっている料理を自由にとれる方式のアレ。よくホテルの朝食の洋食とかであるヤツ)

学科は、2つのパターンに分かれます。

  • 学科はあくまで「普通科」であり、選択科目がとても多い「普通科 総合選択制」というパターンが一つ。商業などの職業科目が履修できるかは高校によります。
  • もうひとつは、学科がもはや普通科ではなく「総合学科」という別学科であるパターンです。


職業系の科目が、元から高校に存在しない総合選択制もあります。総合選択制だからといって、商業科目・農業科目などが学べるとは限らないので、注意しましょう。

また、首都圏の総合高校の場合、工業・農業のような設備を使う専門科目を複数もつ高校は、基本的には無いです。理由のひとつは、たとえば、もともと農業高校だった学校を、改組(かいそ)して総合高校にした学校があるからです[29]

たとえば都立の葛飾(かつしか)総合は、もともと工業高校だったため、工業の選択科目はありますが、農業の選択科目は無いです。

このように、総合学科だからといって、工業・農業・商業・などのすべてを学べるわけではありません。

農業・工業などの実習用の大きな設備や土地を要求する科目については、もともとの高校の学科にあった範囲でしか選べないのが一般的です。

いっぽう、設備をそれほど有しない商業・福祉の2つを学べる総合高校なら、いくつかあります。(なお、医療設備などを有する専門科目は「福祉」ではなく「看護」という別科目になる) ただし、お住まいの都道府県に存在するかは知りません。


さて、音楽「ソルフェージュ」とか存在せずに音楽II、音楽III とかの総合選択制の高校もあります。この高校では美術も同様、普通科の美術II、美術IIIです。

総合選択制のメリットは、たとえば一般的な進学校では不可能な、文系・理系のハイブリッドなカリキュラムを自分で組めるかもしれない、という事です(ただし時間割が許すかどうかは不明です)。または、音楽IIIと数学IIIみたいに、通常の普通科高校では不可能な履修も、時間割が許せば可能かもしれない、という事などです。

実際には授業時間数の関係で、カリキュラム表(「教育課程」表)には存在している科目でも、履修を希望するすべての科目は履修できない可能性もあります(総合高校に限ったことではなく、一般的な公立の普通科の自由選択科目でも同様のことがあります)。なので、選択科目の自由が与えられたら、けっして「デザートをとっておく」のよう事はせずに、さっさと希望の科目から順に履修しましょう。

さて、この総合学科は、高校2年の初めごろから、選択科目が増えます。1年次は、在校生の履修科目は、ほぼ共通です。


校庭の広さなどに注意

なお、もし仮に工業・農業の2つの設備をもつ総合学科の高校があり、この2つの選択教科を履修できる総合高校があったとしても、もしかしたら「校庭がとても狭い」など別の制約というシワ寄せがある可能性も考えられますので、学校見学などは事前にしておいてください。校庭が狭い結果、運動部の数が少ない可能性があり、たとえば野球部とかサッカー部とかが存在しない可能性があります(スポーツの部活は体育館でやれる室内競技に限られている場合があります)。

第二外国語については、高校によっては、学校必修です。中国語・韓国語のうち一つが学校必修、という例もあります(たとえば都立の杉並総合高校)。

総合高校での第二外国語の定番は、ドイツ語・フランス語・中国語・ハングル(韓国)の4言語ですが、高校によっては、このうちの1つが科目設置されてない場合もあります。

ほか、総合高校の近くの私立高校で、たとえばドイツ語のある私学がある場合、公立の総合高校で仮に同じドイツ語をしても(総合高校が)競争に負けるだけなので、その総合高校ではドイツ語は設置されておらず、代わりにあるのはイタリア語だったりとか、そういう工夫があります。


総合学科の選択科目はジャンルごとに「系列」(たとえばアート系列、テクノロジー系列、福祉系列、など)と分けられますが、生徒は系列に所属するわけではなく、色々な系列の科目を履修できるのが一般です。

なお、「コース」と「系列」は意味が異なります。「コース」だと学科決めのようなもので、変更が不可能な場合があります[30](ただし、学校によって意味が異なる場合がある)。

高校2年に学科の分かれるタイプ
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高校2年の初めごろに、学科が決まるタイプの高校です。

ただし、工業科とか農業科とかは無理です。

そういうのではなく、スポーツ系学科とか、美術系学科とか、ああいう普通科高校の設備でも可能な学科を、入学後に選ぶ方式です。

形式上では普通科「スポーツコース」とか普通科「美術コース」とかの呼び方ですが、実質的には学科です。

もちろん、進学を希望する場合は、進学コースを選んでも構いません。

「総合高校」でない場合

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観光科

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地域や学校によって差が大きいです。やや、商業高校にカリキュラムが似ています。ある観光科では、「簿記」(ぼき)などの授業があります。しかし、「簿記」の授業が無い高校もあります。

地域の実情に応じて、家庭科「フードデザイン」や芸術IIなど、いろいろな授業があったりしますが、しかし内容が、もしかしたら普通科とは違う可能性があります。たとえば「美術II」では伝統工芸の実習とかするかもしれません。(革新的な創造性とかは求められてない)

第二外国語が存在する場合もありますが、中国語や韓国語などのアジア系の言語だったりします[31]

実習の授業があり、地域に応じてホテル実習[32]や山岳実習[33]などがあります。

進学志望の高校を選ぶにあたって

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高卒で就職する場合

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学科による差別

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  • たいていの企業の高卒採用では、出身の学科(工業高校、商業高校など)の方を気にします。偏差値よりも出身学科の方を気にすることが多いです。。
  • 普通科高校卒の採用以外では、企業はあまり高校の偏差値を気にしません。

普通科卒よりも、工業高校などの職業高校卒の方が、その専門分野の企業には採用されやすいでしょう。 例えば製造業に就職したい場合、普通科の偏差値の高い高校よりも、工業高校のほうが製造業には就職しやすいです。

世間の大人には、「社会に出たら学歴は関係ない。学歴よりも実力が大事だ。」と主張する会社員もいます。

しかし、その人達の勤める企業での新入社員の採用方法は、まぎれもなく学歴重視なのが日本での実態です。「学歴フィルター」と言われることもあります。

例え「有名大学卒」などの高学歴を要しない職種でも、(例えば製造業への工場作業員への就職など)高卒の専門職での就職の場合では、工業高校や商業高校などの学科などの経歴で選考をしています。

たとえば高卒後の進路で、工場作業員への就職希望でも、工業高校以上など所定の学校・学科を出ていないと就職活動で応募自体が出来ない企業も存在します。

特に、技術系の場合、学科による採用選考の ふるい落としが強くなります。 たとえば、もし高校卒業後に機械工場に就職したいなら、工業高校の機械科か電気科、電子科などに進学しないと、機械工場への就職には不利です。工業高校の建築科や土木科からでも機械工場に就職する例もありますが、不利です。

逆に、将来には土木関係の仕事などに就職したい場合は、工業高校への進学では土木科・建築科に進学しないと、高卒での土木系職種への就職は不利です。


あなた(おそらく中学生)の進路の最終目標は、社会に出て困らないような一人前の大人になることです。大学や高校は、社会に出るためのステップに過ぎません。あなたが気にするべきは、偏差値よりもその高校が自分にとって合っているか、自分の将来に役に立つかということです。

高卒での就職だけでなく、大学卒業生の就職でも、偏差値はもちろん重視されますが、理系学部か文系学部かを見られる場合もあります。 たとえば大企業での技術職の採用では、大卒の場合は理系学部の卒業で無いと対象外のこともあり、文系学部卒はエンジニアなどの技術職には募集対象外の場合があります。コンピュータのプログラマー以外の機械設計や電機設計などの技術職は、理系学部の卒業でないと募集対象にならないのが多いです。 こういう企業の採用での現実があるので、もし、高卒で技術職につきたいなら、なるべく工業高校などの職業高校に進学したほうが良いでしょう。

普通科高校の卒業後に、職業高校に編入学したりするという方法もありますが、不利なことが多いです。最初から職業高校に進学した人と比べて、普通科からの職業高校への編入は卒業時の年齢の高さなどで就職活動は不利です。つまり日本企業では、就職時の年齢差別が横行しています。大企業でもこのような年齢差別がなされている場合がありますし、そもそも差別だと自覚していないことが多いです。

また企業だけでなく役所でも応募条件に年齢制限があり、つまり日本国は国家ぐるみで、新卒の年齢差別を行っています。

なので、たとえ学業をサボったわけでなくとも、たとえば志望進路が変更したりするなどの理由で、普通科高校から工業高校などに入学しなおしたりすると、卒業時の年齢が高くなってしまい、それだけで就職には不利になってしまいます。

普通科高校卒の就職について

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私立高校卒の場合

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企業の多くは、他地域の高校の事情をあまり知りません。たとえば、もし千葉県にある中小企業なら、企業側が知ってるのは千葉県の公立高校・私立高校と、くわえて東京都の進学校および有名高校と全国の大学附属校と、甲子園強豪校みたいなスポーツ強豪高校と、あとはビジネス雑誌とかの教育評論の特集とかにも載るような偏差値70以上の全国的に有名な進学校のことくらいしか知りません。

なので、たとえば地方で偏差値55〜60くらいのそこそこ偏差値が高くて知名度のひくい進学校の私立よりも、仮にそれより偏差値が低い高校でも、たとえば日本大学の附属校などのほうが企業にとっては知名度は高いのです。 (ですがほとんどの大学付属高はそのまま付属大学へ進学するか、進学校ならば大学受験をするかなどいずれも大学へ進学する可能性が高いです。)

また、大学附属校で「○○工業大学付属△△高校」みたいな、「工業」みたいな名前を冠した高校を卒業してると、たとえ普通科の文系コースを卒業でも、企業側が理系に準ずる人材と勘違いするかもしれません。

逆にいうと、企業側は高校の選択科目が文系か理系かなんてろくに調べません。たとえ製造業に就職したい場合ですら、高校の選択科目で数学IIIや物理IIを勉強してるかとかも、企業側はあまり重視しません。企業の新卒採用時にも学力試験は行わないのが普通です。

(そもそも高校生が就職活動をする3年生1学期ごろの時点で、まだ数学IIIの履修が終わってません。)

資格の検定と受験資格

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各種の簿記(ぼき)検定などは(簿記の検定には、主催団体によって、いくつかの種類がある)、商業高校に進学しなくても法的には受験可能です。

高校パンフレットなどで「取得可能な資格」などとして各種の簿記検定などを紹介している商業高校も多くありますが、あれは単にそういう資格にも対応した授業をしている、という意味の紹介です。

別に大学の商学部や経済学部に進学しなくても、簿記の検定は受験可能ですし、合格すれば、その能力を認定されます。


いっぽう、工業系の資格試験の場合(ボイラー技士など)、工業高校の在籍・卒業が、実技試験などの免除の有無に関わってきます。

参考文献

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書籍

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なし(2024年03月31日の時点)

脚注

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  1. ^ 『総合進学コース | コース紹介 | 日本大学高等学校』 2024年02月04日に確認.
  2. ^ 『教育課程 - 埼玉県立大宮武蔵野高等学校』2024年03月31日に確認.
  3. ^ 普通科 | 愛知県立稲沢緑風館高等学校2024年03月31日に確認.
  4. ^ 普通科 香川県立高松南高等学校 令和5年度普通科教育課程(令和3年度入学者)、
  5. ^ pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5
  6. ^ pdf 文部科学省『高等学校学習指導要領解説 総則編』、平成21年7月、P.5
  7. ^ pdf 教育課程表_令和4・5年度入学生用.pdf
  8. ^ pdf R5教育課程表.pdf
  9. ^ pdf 『PowerPoint プレゼンテーション - 021012wakayamashi.pdf』
  10. ^ pdf千葉市立稲毛高等学校
  11. ^ pdf ※日比谷高校のはず 2024年03月31日に確認.
  12. ^ pdf神奈川県立横浜翠嵐高等学校『学校案内(全日制課程)』2023 2024年03月31日に確認.
  13. ^ pdf[1]
  14. ^ pdf千葉県立船橋高等学校 発行『船高教育ガイド2020』、令和2年7月6日、
  15. ^ - 埼玉県立浦和高等学校『浦高の学習支援・教育課程』、2024年03月31日に確認.
  16. ^ 『文理探究科 - 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校』
  17. ^ 『文理探究科 - 兵庫県立神戸鈴蘭台高等学校』
  18. ^ 『岩国高校学校案内.pdf - Google ドライブ』
  19. ^ 『文理探究科 | 相川学園 静清高等学校-静岡県藤枝市』
  20. ^ 長崎県庁『新しい普通科の設置』
  21. ^ 『文理探究科 | 学校案内 | 福井県立若狭高等学校』
  22. ^ 兵庫県立川西緑台高等学校『PowerPoint プレゼンテーション - 文理探究科パンフレット0416_02.pdf』
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  31. ^ 長野県白馬高校『(2)国際観光科 (令和4年度~令和5年度入学生適用)』
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