今は昔、竹取の翁(おきな)と[いふ]ものありけり。 野山にまじりて竹をとりつつ、[よろづ]のことに[使ひ]けり。
[]で囲んだ部分が歴史的仮名遣い、または旧かなづかいですね。古文はこの仮名遣いで書かれます。今現在の仮名の書き方、現代仮名遣いに直すと、
いふ→いう
よろづ→よろず
使ひ→つかい
になります。歴史的かなづかいで書かれた古文は、平安前期以前の日本語の発音を示しています。その後日本語の口語の音が変化していった一方で、文章のかなづかいはそのまま使われていきました。
第二次世界大戦後に、文章のかなづかいが見直され、現代仮名遣いとして今現在使われているかなづかいが普通になりました。このかなづかいは今現在の日本語の音を的確に表現する書き方が選ばれたわけです。
歴史的仮名遣いの読み方
編集ルールを二つ指摘します。例外もあります。
1. は・ひ・ふ・へ・ほ が語頭以外にある時は、ワ・イ・ウ・エ・オと読む。
例
河 かは → 「カワ」 と読む
歌う うたふ → 「ウタウ」 と読む
多し おほし → 「オオシ」 と読む
(但し)
二つ以上の語が合わさってできた語で、下の語のは行かなづかいはそのままハ行で読む(語頭扱い)
朝日 あさひ → 「アサヒ」 と読む
二本 にほん → 「ニホン」 と読む
2. 母音「ア・イ・エ」がつく文字に「う、(または)ふ」がついた場合「オー・ユー・ヨー」と読む。
例
郎等 らうだう → 「ロード―」 と読む
下郎 げらふ → 「ゲロー」 と読む
美しう うつくしう → 「ウツクシュ―」 と読む
墨汁 ぼくじふ → 「ボクジュー」 と読む
謡曲 えうきよく → 「ヨーキョク」 と読む
今日 けふ → 「キョー」 と読む
(但し)
扇ぐ(あふぐ)は「オーグ」ではなく、「アオグ」と読む。危ふし(あやふし)は「アヨーシ」ではなく「アヤウシ」と読む。aふ が 「オー」ではなく、 「aオ」や 「aウ」になる場合がある。
幾つかの指摘
編集字音かなづかい
編集漢字の音を仮名で書く方法で、古文としては、歴史的かなづかいと似たかなづかいで示される。
京都 古文では「きょうと」ではなく「きやうと」
古文では促音(っ)、拗音(ゃ,ゅ,ょ)は小さく書かない
編集八方 はつぱう
修行 しゆぎやう
古語辞典
編集古語辞典は歴史的かなづかいで引く