高等学校古文/漢文の句法

ここでは句法について解説を行う。

これまでに述べた「漢文の読み方」「返読文字」「再読文字」で述べたことを繰り返すところもある。

本ページは非常に長いので、例文は別ページに置く。

• 高等学校古文/漢文の句法/例文集

受身

• 見^(ル)～(同義の字に被・為・所)
  • 読み方:～る・らる
  • 意味:～される。
• 為_三^ルA^ノ所_一レ^トB^スル
  • 読み方:AのBするところとなる
  • 意味:AにBされる。
  • 「Aノ為二Bセらル」とも読める。
  • Aと「所」は省略される場合もある。
• A_二^セラル於(＝于・乎)B_一^ニ
  • 読み方:BにAせらる
  • 意味:BにAされる。
  • 於・于・乎の助字はいずれも場所・目的・対象を表し、受身を示す。この場合、これらの助字は読まない。
• 文意から受身をとる。
  • 特に「封^ゼラル」「任^ゼラル」「叙^セラル」は受身に読む。「封^ゼラル」は王侯になるなどして領地をもらうこと、「任^ゼラル」は役職に付くこと、「叙^セラル」は功績に応じて栄典を与えられることである。
  • 受身の意を含む動詞として、他に「謫^セラル・族^セラル（地方に流される）」「授^ケラル（与えられる）」「補^セラル（官職を授けられる）」「用^ヒラル（官吏として取り立てられる）」「禄^セラル（俸禄を与えられる）」「流^サル（流罪にされる）」「左遷^セラル（低い官職に落とされる）」「誅^セラル（罪を責めて殺される）」がある。

使役

• 使_二^ム(=令・教・遣・俾)A^ヲシテB_一^セ
  • 読み方:AをしてBせしむ
  • 意味:AにBさせる。
• 使役の意味を持つ動詞を用いる。
  • 命_二^ジテA_一^ニB(セ)シム
  • 召_二^シテA_一^ヲB(セ)シム
  • 遣_二^ハシテA_一^ヲB(セ)シム
  • 教_二^ヘテA_一^ニB(セ)シム
  • 勧_二^メテA_一^ニB(セ)シム
  • 説_二^キテA_一^ニB(セ)シム
  • 任_二^ジテA_一^ニB(セ)シム
  • 挙_二（=擧）^ゲテA_一^ニB(セ)シム
  • 招_二^キテA_一^ニB(セ)シム
  • 勧_二^メテA_一^ニB(セ)シム
• 文脈から使役をとる。
  • 動詞の下が動作を受ける対象である場合は使役になることがある。

否定

単純な否定

• 不(=弗)_二～_一^セ
  • 読み方:～せず
  • 意味:～しない。
  • 主に用言(動詞・形容詞・形容動詞)を否定する。
  • 「不」から下の言葉をすべて否定するので口語訳のときには注意が必要である。例えば「見_レ木^ヲ不_レ見_レ森^ヲ」も「不_二見_レ木^ヲ見_一レ森^ヲ」も書き下し文としては「木を見(、)森を見ず」となるが、「見_レ木^ヲ不_レ見_レ森^ヲ」は「木は見たが森は見ない」の意味になるのに対して、「不_二見_レ木^ヲ見_一レ森^ヲ」の方は「木も森も見ない」あるいは「木を見ずに森を見る」の意味になる。曖昧さを避けるには、「不見木而見森」「不見木不見森」に言い換える必要がある。なお、この「不」の特徴を知っておくと後述する部分否定と二重否定の違いを理解するうえで助けになる。
• 非(=匪)_二^ズ～_一^ニ
  • 読み方:～にあらず
  • 意味:～でない。
  • 主に体言(名詞・代名詞)を否定する。
• 無(=莫・亡・勿・毋)_二^シ～_一^{(コト・スルコト)}
  • 読み方:～(こと・すること)なし
  • 意味:～ない・～することがない
  • サ変動詞は「連体形（スル）＋コト」、他の動詞は「連体形活用語尾＋コト」を送り仮名とする。
• 未_二^ダ～_一^セ
  • 読み方:いまだ～せず
  • 意味:まだ～しない。
  • 再読文字である。

※再読文字「蓋・盍」は常に反語の意味を表す。

禁止

いずれも意味は「〜してはいけない」である。

• 勿（=毋・無・莫）₂^カレ〜_一^{（スルコト）}
  • 読み方:〜（すること）なかれ
  • 禁止は否定的な命令であるため、「なし」を命令形にする。
• 不（=弗）_レ可^カラ
  • 読み方:〜べからず
  • 不可能としての意味もある。

漢文で主に使用される11の否定語はそれぞれ、「不・弗」は用言の否定、「非・匪」は体言の否定、「無・莫・亡（稀に勿・毋も）」は存在の否定、「無・莫・勿・毋」は否定的な命令（禁止）、「未」は已然の否定（未然）、「蓋・盍」は反語、として用いられる。

参考：「ベシ」が推量の助動詞「ン（ム）」に続く場合、未然形は「ベケ」であり、「ベケン」と読む。「ベケ」は奈良時代に用いられた活用で、平安時代には既に漢文訓読でのみ用いる化石的な存在であった。

不可能

いずれも意味は「～できない」である。

• 不（=弗）_レ能^ハ
  • 読み方:あたはず
  • 意味:(能力が無くて)できない。
• 不（=弗）_レ得
  • 読み方:えず
  • 意味:(機会が無くて)できない。
• 不（=弗）_レ可^カラ
  • 読み方:べからず
  • 意味:(状況を熟慮して)できない。
  • 禁止の意味もある。
• 不（=弗）_ニ敢^テ～_一^セ
  • 読み方:あへて～せず
  • 意味:強い否定の意味もあるため、「決して～できない」と訳したほうがよい。また、単に強い否定にとすることもでき、その場合は「決して～しない」の意味になる。

全部否定と一部否定

「不」の説明のときにも述べたが、「不」は下に続く言葉をすべて否定する。そのため、ここで述べるような違いが生じる。全部否定（全否定）と一部否定（部分否定）では以下のような形になる。

• 全部否定:副詞＋不＋用言
• 一部否定:不＋副詞＋用言

要するに全部否定は否定の部分を副詞が強調している形であるが、一部否定は副詞の部分も否定しているため結果的に否定が限定的になっているのである。また、全部否定と一部否定とでは送り仮名も異なるので注意したい。

• 常^ニ不_二～_一^セ
  • 読み方:つねに～せず
  • 意味:いつも～しない。
  • ニュアンス的には「～しないのがいつものこと(常)だ」というのである。
• 不_二常^ニハ～_一^セ
  • 読み方:つねには～せず
  • 意味:いつも～とは限らない。
  • 「いつも～だ」を否定しているので、「いつも～と限らない」となっているのである。
• 必^ズ不_二～_一^セ
  • 読み方:かならず～せず
  • 意味:きっと～しない。
• 不（未）_二必^ズシモ～_一^セ
  • 読み方:（いまだ）かならずしも～せず
  • 意味:（まだ）必ず～とは限らない。
• 復不_二～_一^セ
  • 読み方:また～せず
  • 意味:今度もまた～しなかった。
  • 「前回も今回もしなかった」というニュアンスになる。
• 不_二復～_一^セ
  • 読み方:また～せず
  • 意味:それきり二度としなかった。
  • 「今回はしたが、それ以降はしなかった」というニュアンスになる。
  • 否定の強調として「決して〜しない」と訳す場合もある。
• 倶^ニ不_二～_一^セ
  • 読み方:ともに～せず
  • 意味どちらも～しない。
  • 「両方とも行動をしない」のである。
• 不_二倶^ニハ～_一^セ
  • 読み方:ともには～せず
  • 意味:どちらも～とは限らない。
  • 「両方ともその行動をするとはかぎらない」ので、片方だけが行動することも両方とも行動することもありうる。
• 尽^ク不_二～_一^セ
  • 読み方:ことごとく～せず
  • 意味:全部～しない。
• 不_二尽^クハ～_一^セ
  • 読み方:ことごとくは～せず
  • 意味:全部～とは限らない。
• 甚^ダシク不_二～_一^セ
  • 読み方:はなはだしく～せず
  • 意味:ひどく～しない。
• 不_二甚^ダシクハ～_一^セ
  • 読み方:はなはだしくは～せず
  • 意味:それほど～しない。

二重否定

否定形を否定することで強い肯定とすることが多い。

• 非_レ^ズ不_二^ルニ～_一^セ
  • 読み方:～せざるにあらず
  • 意味:～しないのではない。
• 非_レ^ズ無_二^キニ～_一
  • 読み方:～なきにあらず
  • 意味:～がないのではない。
• 無_レ^シ不_二^ル～_一^セ
  • 読み方:～せざるなし
  • 意味:～しないものはない。
• 無_レ^シ非_二^ザル～_一^ニ
  • 読み方:～にあらざるなし
  • 意味:～でないものはない。
• 無_三^シA^トシテ不_二^ルハB_一^セ
  • 読み方:AとしてBせざるはなし
  • 意味:BしないAはない。どんなBでもAしないこと(もの)はない。
• 無_三^シA^トシテ無_二^キハB_一
  • 読み方:AとしてBなきはなし
  • 意味:BなしにAはない。どんなAでもBがないものはない。
• 不_三敢^テ不_ニ^ンバアラ～_一^セ
  • 読み方:あへて～せずんばあらず
  • 意味:～しないではいられない。
• 未_三^ダ嘗^テ不_二^ンバアラ～_一^セ
  • 読み方:いまだかつて～せずんばあらず
  • 意味:今までに～しなかったことはなかった。(いつも～したものだ。)
• 不_レ可_レ^カラ不_二^ル～_一^セ
  • 読み方:～せざるべからず
  • 意味:～しなければならない。～しないことがあってはならない。
• 不_レ為_レ^サ不_二^ト～_一^セ
  • 読み方:～せずとなさず
  • 意味:～しないとはいえない。
• 不_レ得_レ不_二^ルヲ～_一^セ
  • 読み方:～せざるをえず
  • 意味:～しないわけにはいかない。
• 不_レ能_レ^ハ不_二^ル～_一^セ
  • 読み方:～せざるあたはず
  • 意味:～せずにはいられない。

二重否定と混同しがちな表現

否定語が並んでいるが、これらは二重否定ではない。ポイントは否定の部分が二つの節に分けられる、すなわち読点をつけられることにある。

条件

• 不_二^ンバA_一^セ不_二B_一^セ
  • 読み方:AせずんばBせず
  • 意味:AしなければBしない。
• 非_二^ザレバA_一^ニ不_二B_一^セ
  • 読み方:AにあらざればBせず
  • 意味:AでなければBしない。
• 非_二^ザレバA_一^ニ勿_二^カレB_一^{(スルコト)}
  • 読み方:AにあらざればBすることなかれ
  • 意味:AでなければBしてはならない。

並列

• 無_二^クA_一^ト無_二^クB_一^ト、
  • 読み方:AとなくBとなく
  • 意味:AとBの区別なくすべて。

特殊な否定形

• 不_ニ敢^ヘテ～_一^セ
  • 読み方:あへて～せず
  • 意味:強い不可能「決して～できない」または強い否定「決して～しない」。
• 無_二^カレ敢^ヘテ〜_一^{（スル）コト}
  • 読み方:あへて〜（する）ことなかれ
  • 意味:無理に〜してはいけない
• 不_レ可_二^カラ勝^ゲテ〜_一^（ス）
  • 読み方:あげて〜（す）べからず
  • 意味:〜（し）きれないほど多い
• 不_レ^ル可_レ^カラ勝_レ^フ〜^（スル）
  • 読み方:〜（する）にたふべからず
  • 意味:〜（し）きれないほど多い
• 無_レ^クA^ト無_レ^クB^ト
  • 読み方:AとなくBとなく
  • 意味:A・Bの区別なく
  • A、Bには対比的な語句が入る。

他の句形となるもの

• 敢^ヘテ不_ニ^ランヤ～_一^セ
  • 読み方:あへて～せざらんや
  • 意味:反語「どうして～しないだろうか。いや、きっと～する。」
• 君不_レ^ヤ見（聞^カ・知^ラ）
  • 読み方:君〜ずや
  • 意味:反語「知っているはずだ」
• 不_二亦^タ〜_一乎
  • 読み方:また〜ずや
  • 意味:詠嘆「なんと〜ではないか」

限定

終尾詞を用いる

• ～耳（爾・已・而已・而矣・也已・焉爾・乎爾・而已矣・則已矣・焉耳矣・而已耳）
  • 読み方:～のみ
  • 意味:～だけだ。

副詞を用いる

文末の終尾詞「のみ」と呼応する。終尾詞がない場合には修飾される語に送り仮名「のみ」をつける。

• 唯（惟・但・徒・只・直・祇）^ダA^ノミ
  • 読み方:ただAのみ
  • 意味:ただAだけ。
• 独（獨）^リA^ノミ
  • 読み方:ひとりAのみ
  • 意味:ただAだけ。

その他

• 自_レ^リハ非_二^ザル〜_一^二、
  • 読み方:〜にあらざるよりは、
  • 意味:〜でない限りは、

限定形は、「〜なのだ」という断定を表す場合もある。

比較・比況

比較級

• A^ハC_二^ナリ於(=于・乎)B_一^ヨリモ
  • 読み方:AはBよりもCなり
  • 意味:AはBよりもCである
  • 下の語に「よりも」と送る。なお、於・于・乎は前置詞。
• A^ハ不_レ如(=若)_二^カB_一^ニ
  • 読み方:AはBにしかず
  • 意味:AはBに及ばない。AはBするのが一番良い。AはBするに越したことはない。
• A^ハ無(=莫)_レ^シ如_二^クハB_一^ニ
  • 読み方:AはBにしくはなし
  • 意味:AはBに及ばない。AはBするのが一番良い。AはBするに越したことはない。

最上級

• 莫_レ^シ〜_二^ハ於A_一^ヨリ
  • 読み方:Aより〜はなし
  • 意味:Aより〜なものはない。
• 莫_レ^シ〜_レ^ハ焉^ヨリ
  • 読み方:これより〜はなし
  • 意味:これより〜なものはない。

比況

• A^ハ如（若）_二^シB_一^{ノ（スルガ）}
  • 読み方:AはBの（するが）ごとし。
  • 意味:AはBのようだ。AはBするようなものだ。

選択

• 寧^ロA^{ストモ（スルモ）}、無(=毋・勿)_二^カレB_一^スル
  • 読み方:むしろAすとも（するも）Bするなかれ
  • 意味:いっそAするとしても、Bしてはならない。
  • 選択の形をとる。前者Aを採って後者Bを捨てる形になる。なお、前者の送り仮名は終止形、後者の送り仮名は連体形であるので、変格活用や下二段・上二段活用の語の送り仮名に注意しなければならない。
• 寧^ロB^センカ、寧^ロA^センカ
  • 読み方:むしろAせんか、むしろBせんか
  • 意味:いっそBの方が良いか、それともAの方が良いのか。
• 与_二^リハ其^ノA_一^セン、寧^ロB^セヨ
  • 読み方:そのAせんよりは、むしろBせよ
  • 意味:AするよりはBのほうがよい。
• 与_二^リハ其^ノA_一^セン、不_レ如（若）_二^カB_一^スルニ
  • 読み方:そのAせんよりは、Bするにしかず
  • 意味:AするよりはBのほうがよい。
• 与_二^リハ其^ノA_一^セン、豈^二若_二^カンB_一^スルニ哉
  • 読み方:そのAせんよりは、あにBするにしかず
  • 意味:Aするよりは、Bするほうがよいのではないか。
• A^ハ執_二-与（若）^レゾB_一^スルニ
  • 読み方:AはBにいづれぞ
  • 意味:AとBではどちらが良いか
• 与_二^リハ其^ノA_一^セン、執_二-与（若）^レゾB_一^スルニ
  • 読み方:そのAせんよりは、Bするにいづれぞ
  • 意味:Aするよりは、Bするほうがよいのではないか。

願望

• 願（=幸）^ハクハ〜^セヨ
  • 読み方:願はくは〜せよ
  • 意味:どうか〜してください。
• 願^ハクハ〜^セン
  • 読み方:願はくは〜せん
  • 意味:意志「〜したい」、希望「なんとかして〜したい」
• 冀（=希・庶・庶幾）^ハクハ〜
  • こひねがはくは〜
  • 願望「どうか〜してください」、意志「どうか〜させてください」
• 請（=冀・乞）^フ〜
  • 読み方:こう〜
  • 意味:願望「どうか〜してほしい」、意志「〜したい」
• 欲_一^ス〜_ニ^ント
  • 読み方:〜ントほつす
  • 意味:願望「〜であってほしい」、意志「〜したい」
  • 人間以外が主語の場合は願望の意味はないので、「〜しそうだ」と訳す。
• 安^クンゾ得_ニ^ン〜_一
  • 読み方:いづくんぞ〜えん
  • 意味:なんとか〜できればなあ。

文末の結びが「未然形+推量のむ（ん）」ならば自分の願望、「命令形」ならば相手の願望を表す。

詠嘆

感動詞を用いる

• 嗚呼(=噫・嗟・嘻・唉・吁・于・烏・嗚乎・于嗟・嗟乎 etc.)
  • 「ああ」と読み、文の冒頭に置く。

感動の終尾詞を用いる

• 哉(=矣・乎・夫・与・也・歟・邪・那・矣乎・也夫・矣夫・也歟 etc.)
  • 「か」「かな」と読み、文末におく。

疑問・反語形による詠嘆

• 何^ゾ（其^レ）〜也
  • 読み方:なんぞ（それ）〜や
  • 意味:なんとまあ〜ことよ。
  • 「其」は詠嘆を強調する助字で、訳す必要はない。
• 豈^ニ不_二～_一哉
  • 読み方：あニ～ずや
  • 意味：なんと～ではないか。
• 不_二亦～_一乎
  • 読み方：また～ずや
  • 意味：なんと～ではないか。

倒置による詠嘆

• B哉A也
  • 読み方:BかなAや
  • 意味: Bなあ。Aは。

その他

• 已^ンヌル矣（乎）
  • 読み方:やんぬるかな
  • 意味:これまでだなあ。残念だなあ。
• 宜^ナル矣
  • 読み方:むべなるかな
  • 意味:当然だなあ。尤もであるなあ。

累加

物事を付け加える表現である。

限定形+否定形の場合

• 不_二唯^ダニ～_一^{ノミナラず}
  • 読み方:たダニ～ノミナラず
  • 意味:ただ～だけではない。
  • 「唯ダニ」ではなく「独リ」、「不」ではなく「非ズ」の場合もある。

限定形の前に否定語があるので、部分否定と同じ構文になる。

反語形+限定形の場合

意味はいずれも「どうしてただ～だけだろうか（いや～だけではない）。」

• 豈^ニ惟（=徒）^ダニ～^{ノミナランヤ}
  • 読み方：あニたダニ～ノミナランヤ
• 何^ゾ独^リ〜^{ノミナランヤ}
  • 読み方：なんぞひとり～ノミナランヤ

疑問

疑問詞+疑問の助字

• 何（=胡・奚・曷）^ゾ〜也（=乎・哉）
  • 読み方:なんぞ〜や
  • 意味:どうして〜か。
• 安（=悪・焉・烏・寧）^クンゾ〜也（=乎・哉）
  • 読み方:いづくんぞ〜や
  • 意味:どうして〜か。
• 安（=悪・焉・烏・寧）^クニカ〜也（=乎・哉）
  • 読み方:いづくにか〜や
  • 意味:どこに〜か。

疑問詞のみ

• 何（=奚）^ヲ（カ）〜^（スル）
  • 読み方:なにを（か）〜（する）
  • 意味:なにを〜か。
  • 何（=胡・奚・曷）^ゾ〜^（スル）
  • 読み方:なんぞ〜する
  • 意味:どうして〜か。
  • 述語として用いられる場合もある。
• 安（=悪・焉・烏・寧）^クンゾ～^（スル）
  • 読み方：いづクンゾ～（する）
  • 意味：どうして～か。
• 安（=悪・焉・烏・寧）^クニカ～^（スル）
  • 読み方：いづクニカ～（する）
  • 意味：どこに～か。
• 誰(=孰)^カ〜^（スル）
  • 読み方:たれか〜（する）
  • 意味:誰が〜か。〜するのは誰か。
• 孰（=奚）^レカ〜^（スル）
  • 読み方:いづれか〜（する）
  • 意味:どちらが〜か。

文末に疑問の助字

• 〜哉(=矣・乎・夫・与・也・歟・邪・那・矣乎・也夫・矣夫・也歟 etc.)
  • 読み方:〜か
  • 意味:〜か。

疑問詞+他の語

• 何^ノA^カ〜^（スル）
  • 読み方:なんのAか〜（する）
  • 意味:どんなAが〜。
• 何^レノA^カ〜^（スル）
  • 読み方:いづれのAか〜（する）
  • 意味:どのAが〜。
• 何^ヲ以^テ（カ）〜^（スル）
  • 読み方:なにをもつて（か）〜（する）
  • 意味:どうして〜か。どうやって〜か。
• 何^二由^リテ〜^（スル）
  • 読み方:なにによりて〜（する）
  • 意味:どうして〜か。どうやって〜か。
• 何^ノ故^二〜^（スル）
  • 読み方:なんのゆゑに〜（する）
  • 意味:どうして〜か。
• 何（=胡・奚）為^レゾ〜^（スル）
  • 読み方:なんすれぞ〜（する）
  • 意味:どうして〜か。
• 〜^ハ何^ゾ也。
  • 読み方:〜はなんぞや
  • 意味:〜はどうしてか。〜はなんなのか。
• 何^レノ所^ヨリ〜
  • いづれのところより〜
  • どこから〜か。
• 〜^ハ何（=悪）許。
  • 読み方:〜はいづこ
  • 意味:〜はどこなのか。
• 何^レノ日^カ〜
  • 読み方:いづれのひか〜
  • 意味:いつか〜。
  • 推量の「む」と合わせて願望・意志を表すことが多い。
• 何者^トナレバ〜
  • 読み方:なんとなれば〜
  • 意味:誰が〜。
• 幾A^ゾ
  • 読み方:いくAぞ
  • 意味:Aはどれくらいか。
• 幾何（=許）^ゾ
  • 読み方:いくばくぞ
  • 意味:どれくらいの数か。
• 幾時（=年）^ゾ
  • 読み方:いくとき（とし）ぞ
  • 意味:どれくらいの期間か。
• 幾人^カ
  • 読み方:いくにんか
  • 意味:どれくらいの人数か。

疑問の複合語

• 〜何如（=若）
  • 読み方:〜いかん
  • 意味:〜はどのようであるか。
• 〜如何（=奈何・若何）^セン
  • 読み方:〜いかんせん
  • 意味:〜をどうしたら良いか。
  • 「いかん」を構成する漢字の順番を逆にすると全く別の意味となる。
• 如_二A_一^ヲ何^セン
  • 読み方:Aをいかんせん
  • 意味:Aをどうしたら良いか。
  • 離れていても「いかん」と読む。

その他

• 〜^ヤ否（=不）^ヤ
  • 読み方:〜やいなや
  • 意味:〜かどうか
• （肯定形）^カ（否定形）^カ
  • 読み方:〜か、〜か
  • 意味:〜か､そうでないか。
• 〜^ヤ未^ダシヤ
  • 読み方:〜や、いまだしや
  • 意味:〜であるか、まだだろうか。
• 〜_レ^ヤ諸
  • 読み方:これ〜や
  • 意味:これが〜か。

反語

疑問詞や反語の副詞を用いる

• 安（悪・焉・烏・寧）^クンゾ～^ンヤ
  • 読み方：いづクンゾ～ンヤ
  • 意味：どうして～か、いや、～ない。
• 誰(孰)^カ〜乎
  • 読み方:たれか〜や(か)
  • 意味:誰が〜か、いや、ない。

疑問形の大部分が反語でも用いられる。

疑問の終尾詞を用いる

• ～^ン乎（邪・耶・也・哉）
  • 読み方：～ンや
  • 意味：～か、いや、～ない。

その他

• 豈^ニ〜^ンヤ（乎・哉）
  • 読み方:あニ～ンヤ
  • 意味:どうして～か、いや、ない。
• 何^ノ〜之有^ラン
  • 読み方:なんの〜これあらん
  • 意味:どうして〜あろうか。いや、ありはしない。

なんぞざるの形、なんぞ必ずしもの形

再読文字「盍・蓋」も反語で訳す。

仮定

• 若（=如・仮・向使）^シ〜^バ
  • 読み方:もシ～バ
  • 意味:もし〜ならば。

苟クモ

縦（=仮令）ヒ

雖モ

レバ則

しからずんば

今〜バ

微カリセバ〜

ずんば〜ず なくんば〜ず あらずんば〜ず ずんばなし なくんばなし

使めば

抑揚

漢文独特の表現で、前者を抑えて後者を揚げて強調する句法。

• A^ハB。（而^ルヲ）況^ンヤC^ヲ乎。
  • 読み方:AはB。（しかるを）いはんやCをや。
  • 意味:AはBだ。ましてCの場合はなおさら（B）だ。
• A^スラ且^ツ（=尚^ホ・猶^ホ）B。況^ンヤC^ヲ乎（=哉）。
  • 読み方：AスラかツB。いはンヤCヲや。
  • 意味：AでさえBだ。ましてCの場合はなおさら（B）だ。
• A^スラ且^ツB。安（=悪）^クンゾC^セン乎（=也）。
  • 読み方:AすらかつB。いづくんぞCせんや。
  • 意味:AでさえBだ。ましてどうしてCしようか。（いや、しない。）