高等学校国語総合/漢文/山行
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概要
編集秋の物寂しい山を行く作者が道中で、つい見とれた楓林の美しさを詠んだ詩。
本文
編集白文 訓読文
編集山行 山行
遠上寒山石径斜 遠く寒山に上れば石径斜めなり
白雲生処有人家 白雲生ずる処 人家有り
停車坐愛楓林晩 車を停めて坐ろに愛す楓林の晩(くれ)
霜葉紅於二月花 霜葉は二月の花よりも紅なり
現代語訳
編集- (起句)遠く秋の物寂しい山を登ると、石の多い小道が斜めにつづいている。
- (承句)ずっと向こうの白雲がわき起こるように見える辺りに人家がある。
- (転句)車を止めて周囲の楓の林の夕暮れを、そのまま眺めている。
- (結句)赤く色づいた木の葉は、二月に咲く桃の花などより紅く美しい。
鑑賞
編集晩唐の詩人、杜牧の七言絶句。
詩の前半では、秋の山の寂しさと特に見るべきものがない単調な風景を描写している。
詩の後半、転句で作者は夕日に映える紅葉した楓の林に気付き車を止め、しばらく眺めている。
結句では深紅に染まる楓の葉は、春に咲く桃の花などよりも美しいと詠じている。
遠景と近景との対比、モノトーンとカラフルさとの対比描写が見事な詩である。
押韻
編集- 斜・家・花