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ウィキバーシティ三角関数の学習教材があります。

本項は高等学校数学IIの三角関数の解説である。

復習編集

180°までの三角比については、数学Iで既に習っている。

180°まででは、下記のように定義した。


xy 座標平面上に、原点を中心にして半径 1 の円を取る。P(x, y) を円上の点とする。このとき、Pとx軸の成す角をaとすると、
 
である。


一般角編集

右図のように、定点Oを中心として回転する半直線 OP を考える。このときの回転する半直線 OP のことを動径という。

半直線 OX を角度の基準とする。この基準となる半直線 OX のことを始線という。

動径が時計回りに回転した場合、回転した角度は負であるとし、動径が反時計回りをした場合、回転した角度は正であるとする。

負の角度や360°以上回転する角度も考えに入れた角のことを一般角という。


弧度法編集

ラジアン編集

いままでは角度の単位として一周を 360° とする度数法を使ってきたことだろう。ここで、弧度法による角度の表し方を学ぶ。

半径1 の扇形において弧の長さが 1 のときの中心角を 1 rad、同様に弧の長さがθのときの中心角をθ radと定義する。この定義より 180° =π rad、360° = 2π rad 、さらに

 

となる。また弧度法の単位(rad)はしばしば省略される。

弧度法を用いると、三角関数の微積分を考える際に便利である。(このことは数学IIIで学ぶ)

扇形の弧の長さと面積編集

扇形の半径をr 、弧度法で定義された角度をθとするとき、弧の長さl と面積S

 

と表せる。

象限編集

xy座標で第1象限(しょうげん)から第4象限までの位置を、図のように定義する。

位置と象限の番号の対応の覚え方は、x軸の正方向を基準に、反時計周り(左回り)に番号が大きくなっていくと覚えればいい。

それぞれの象限と、X、Yの値との関係は、左図のとおり。


一般角をつくる動径OPが原点Oのまわりを回転をする場合、一般角とそれぞれの象限の位置関係の例は、図のようになる。


公式編集

このとき、

 

が成り立つ。実際、180°足されたときPは、Q(-x, -y) に移動し、Q を表す角がa + 180°で表されるからである。

  • 問題例
    • 問題
  • :: 
    を計算せよ。
    • 解答
    角θに対応する点を P(x, y) とする。このとき、角 θ + 90°に対応する点を P'(x', y') とすると、この点の座標は、P'(-y, x) に対応する。このことから、P'について sin, cos を計算すると、
     
    が得られる。
    同様にして、90°- θ に対応する点を P' '(x' ', y' ') とすると、
     
    となる。よって、
     
    が得られる。

三角関数のグラフ編集

sin と cos のグラフ編集

角θの動径と単位円との交点を P(x,y) とすると、右の図のように

sinθ=y、  cosθ=y

となる。

このことを利用して関数

y=sinθ、 および y=cosθ

のグラフを書くことができる。


cos θ のグラフは sin θ のグラフを θ軸方向に  だけ平行移動したものである。

y= cos θ や y= sin θ の形をした曲線のことを 正弦曲線 (せいげんきょくせん)という。


tan のグラフ編集

右図のように 、角 θ の動径と単位円との交点をPとして、 直線OPと 直線x=1 との交点を T とすると、 Tの座標は

T (1, tan θ)

になる。

このことを利用して、 y=tan θ のグラフをかくことができる。


y=tan θ のグラフは、下図のようになる。
 

y=tan θ のグラフでは、θの値が   に近づいていくと、 直線   に限りなく近づいていく。

このように、曲線がある直線に限り無く近づいていくとき、近づかれる直線のほうを 漸近線 (ぜんきんせん)という。

同様に考え、次の直線も y=tanθ の漸近線である。

 

は y=tanθ の漸近線である。


一般に、

直線     (nは整数)

はy=tanθのグラフの漸近線である。


周期関数編集

sin(θ+2π)=sinθ 、 cos(θ+2π)=cosθ

というふうに、これらの関数は 2π ごとに同じ形が繰り返される。

また、tanθも

tan(θ+π)=tanθ

というふうに、 π ごとに同じ形が繰り返される。


一般に関数 f(x)について、ゼロでない定数pが存在してすべてのxに対して

f(x+p) = f(x)

を満たすときに、pを 周期 (しゅうき)といい、また、このような関数f(x)のことを「pを周期とする周期関数」のように言う。


pが関数f(x)の周期の場合には、2p や 3p や -p も関数f(x)の周期になるが、ふつう「周期」といえば正の周期のうちで最小のものを指す。


この「周期」や「周期関数」という用語を使って sinθ や cosθ や tanθ を説明するなら、

関数 y=sinθ は周期を2πとする周期関数である。
関数 y=cosθ は周期を2πとする周期関数である。
関数 y=tanθ は周期をπとする周期関数である。

のように言える。

単に、

sinθ の周期は 2π である。
cosθ の周期は 2π である。
tanθ の周期は π である。

と言う場合もある。

偶関数と奇関数編集

cosθのグラフは、y軸に関して対称である。

三角関数でなくても、 y = x2 や y = x2+1 のように、y軸に関して関数のグラフの対称な関数は存在する。

これらの関数では、

cos(-θ) = cosθ
(-x)2 = x2
(-x)2+1 = x2+1

のような関係式が成り立っている。


関数 f(x) が、任意のxに対して

f(-x) = f(x)

を満たす場合、その関数 f(x) は 偶関数 (ぐうかんすう)であるという。


一方、sin θ や y = x2 や y = x2+1 のグラフは、原点に関して対称である。

関数 f(x) が、任意のxに対して

f(-x) = -f(x)

を満たす場合、その関数 f(x) は 奇関数 (きかんすう)であるという。

sinθ は奇関数である。

y=xは奇関数である。


例題

tanθは偶関数かそれとも奇関数か調べよ。

(解法)

f(θ)=tanθ として、f(-θ)を調べればいい。

 

なので、よって tanθは奇関数である。


問題

y=4x は奇関数であるか、偶関数であるかを調べよ。

いろいろな三角関数編集

関数   のグラフは、 のグラフを θ軸方向に   だけ平行移動させたものになり、周期は   である。(平行移動しても、周期は変わらず、sinθと同じく周期は   のままである。)



関数 y=2sin θ のグラフの形は y=sin θ をy軸方向に2倍に拡大したもので、周期は y=sin θ と同じく 2π である。

ー1 ≦ sin θ ≦ 1  なので、

値域は  ー2 ≦ 2sin θ ≦ 2  である。




関数 y=sin2θ のグラフはy軸を基準にθ軸方向に   倍に縮小したものになっている。

したがって、周期も   倍になっており、y=sinθ の周期は   だから、y=sin2θ の周期は   である。


基本的な性質編集

sin と cos は似た性質を持つ。実際、

 

が成り立つ。これは、点 (x, y) を原点を中心にして 90°回転させると、(y, -x) となることによる。

図のように、sin, cos はそれぞれ 360°、tan は 180°を周期とした周期関数である。

  • 問題例
    • 問題
    (i)  sin 2θ
    (ii)  sin 4θ
    (iii)  sin (3θ+60°)
    (iv) tan 2θ
    の周期 をそれぞれ答えよ。
    • 解答
    それぞれについて、θ→θ+aa は何らかの実数)の置き換えを行い、得られる値が元の値と等しくなるようにa の値を求めればよい。
    (i)については、
     
    となるが、これはa = 180°×nn は整数)のときに、
     
    となって元に戻ることが分かる。
    結局、この場合は 180°周期で変化することが分かる。
    より一般的には、同じ計算を行うことで sin bθ (b は実数) は、360°/ b の周期を持つことが分かる。
    (ii) 上の話から 360°/ 4 = 90°の周期を持つことが分かる。
    (iii)  sin (3θ+ 60°) は、θ' = θ+ 20°と置き換えると、sin 3θ' と表すことが出来るが、これは sin のグラフでいえば、原点を右に 20°だけ動かしたことに相当する。原点を動かすことはグラフの形を変えないので、sin (3θ+ 60°) の周期は、sin 3θ' の周期と等しく、360°/ 3 = 120°となる。
    (iv)  tan 2θ についても(i)のときと同じような議論が出来る。ただし、tan θ の周期は 180°であるので、tan bθ (b は実数)に対する周期は、180°/ b となる。よって、tan 2θ の周期は、180°/ 2 = 90°となる。

加法定理編集

三角関数の加法定理(かほうていり)

 

が成り立つ。

加法定理の幾何的導出も参照)

任意の実数   に対し、単位円周上の点   をとる。このとき、 線分   の長さの2乗   は余弦定理を使うことにより

 

である。次に三平方の定理を使って

 

これを整理して

 

を得る。

 

である。

以上をまとめて

 

を得る。

ここで、

 [1]

  • 問題例
    • 問題
     
    を計算せよ。また、その結果を用いて、
     
    を計算せよ。
    • 解答
    三角関数の加法定理を用いると、
     
    が得られる。
    一方、これらの最後の2式
     
    に対し、xx / 2 の置き換えをすると、
     
    が得られる。
    • 問題
    三角関数の加法定理を用いて、sin 75°、cos 75°を計算せよ。
    また、その値を用いて、sin 15°、sin 165°を計算せよ。
    • 解答
    75°= 45°+ 30°となることに注目すると、加法定理を適用して、
     
    が得られる。同様に cos 75° についても計算を行うと、
     
    が得られる。
    さらに、
     
    を用いると、
     
    が得られる。

さらに

 
 

が成り立つ。

さらに

 

が成り立つ。

今までの定理をまとめると、次のようになる。

三角関数の加法定理
 
2倍角の公式
 
半角の公式
 

和積公式と積和公式編集

三角関数の加法定理を用いると、三角関数の和積公式(わせきこうしき)、および積和公式(せきわこうしき)が得られる。それぞれ

積和公式
 
和積公式
 

となる。

導出
積和公式の最初の式の右辺に、三角関数の加法定理を用いると、
 
が得られる。
他の積和公式も同様に右辺に加法定理を適用することで示される。
また、積和公式の最初の式
 
に、x → (x +y )/ 2, y → (x -y )/ 2 の置き換えをすると
 
より
 
となり、和積公式の一番上の式が得られる。
残った和積公式の式も同様に積和公式のそれぞれの式に対し x → (x +y )/ 2, y → (x -y )/ 2 と置き換えることで得られる。

三角関数の合成編集

三角関数の和

 

において、a = b = 0 でないとき、

  であるので、点   は単位円周上にある点なので、

 

となるようなαをとることができ、このαを用いて次のような変形ができる。

 
  • 問題例
    • 問題
       の形に変形せよ。
    • 解答
     
    より
     

三角関数の基本公式編集

  • 周期性(n は整数)
 
  • 偶関数、奇関数
 
  •  
 
  •  
 
  •  
 
  •  
 
  • 問題例
    • 問題
    (i)  
    (ii)  
    (iii)  
    の値を求めよ。
    • 解答
    (i)
     
    (ii)
     
    (iii)
     


楽器の音と三角関数
※ 東京書籍、啓林館の教科書の章末に、関連する記述あり。

音も波の一種なので、三角関数で表現できる。

オシロスコープで おんさ の音を測定すると、正弦波に近い波形が観測される。

しかし、実際の楽器の音は、正弦波とは違う。オシロスコープでギターやバイオリンなどの楽器の音を測定すると、正弦波でない波形が繰り返されている。

これら実際の楽器の音の波形は、周期の異なる複数個の正弦波を重ね合わせた波形になっている。

(※ 範囲外 :) 大学などで習うフーリエ解析で、このような正弦波でない波形の解析について詳しく習う。三角関数以外の周期的な関数を、三角関数を介して表現する手法が知られている(※ 実教出版の章冒頭コラムに紹介あり)。


数学者オイラー
 
オイラー(Euler)
※ 啓林館の教科書の教科書の冒頭に、関連する記述あり。

高校の範囲では紹介しきれないが、虚数単位   と三角関数をあわせて使うことで、    (e=2.7188 で、「自然対数の底(てい)」という)となることが発見されており、発見者の数学者オイラーの名前を冠して「オイラーの関係式」と言われている。



脚注編集


演習問題編集

  1. ^ 「咲いた(sin)コスモス(cos)コスモス(cos)咲いた(sin)」「コスモス(cos)コスモス(cos)咲いた(sin)咲いた(sin)」という覚えかたがある