高等学校福祉 社会福祉基礎/生活保護の種類と基準

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保護の種類

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生活保護制度は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助、介護扶助の8種類の扶助から構成されています。実情に応じて、1種類の扶助もしくは複数の扶助を組み合わせ支給されます。2019年度の生活保護の総支出額は約3.6兆円に達しています。現金給付のイメージが強い生活保護ですが、各扶助の中で最も大きな割合を占めるのが医療扶助です。全体支出の50%で、次に生活扶助が39%、住宅扶助が17%の順になっています。

生活扶助

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 生活扶助は生活費に相当し、扶助の中でも基本的なものです。食費、被服費、光熱費、新聞・通信代、文化的費用、交通費などが含まれます。生活扶助は、第1類費と第2類費、さらに母子世帯、妊産婦、障害者などの特別な需要に対しての加算で構成されます。第1類費は、個人単位の飲食費、被服費など、第2類費は光熱費、家具什器などの世帯単位で消費される経費を想定しています。しかし、実際には家計の判断で支出出来ます。このほか、冬季の暖房費などを考慮した冬季加算もあります。

住宅扶助

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 住宅扶助は、借家などに居住する場合、居住地別に定められた家賃、地代などのために給付されます。住宅扶助は住まいを保障するもので、住宅改造、改築、住宅の取得は対象としていません。このほか、宿所提供施設を利用出来ます。住宅扶助の金額は、居住地の家賃実態に合わせ特別基準額が上乗せされています。

医療扶助

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 生活保護受給者は国民健康保険加入対象外としているため、医療扶助が給付されます。診察、投薬、医学的措置を受けるには、毎月発行する医療券を指定医療機関へ提出し、治療を受けます。給付は、現物給付で行われ、自己負担はありません。

そのほかの扶助

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 このほかの扶助として、教育扶助は、義務教育の修学に必要な費用を給付します。学用品費、通学用品費、学校給食費などが含まれます。なお、2005年度から高等学校の就学経費は生業扶助から支給されるようになりました。出産扶助は、出産前後の助産の費用を給付します。生業扶助は、自立を助長する狙いから、暮らしを立てる仕事をするための費用や技能の修得、就労準備に必要な費用を給付します。被保護者が死亡した場合、検案、遺体の運搬、火葬、納骨など葬儀に必要な費用を葬祭扶助で保障します。介護扶助は介護保険の自己負担分1割や施設介護の食費分を給付します。なお、40歳から64歳までの人は介護保険に非加入ですが、65歳以上は介護保険に加入し、保険料は生活扶助分で給付されます。

生活扶助の改定方式の変遷(教科書範囲外)

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 「健康で文化的な最低限度の生活」を支える生活保護制度ですが、その給付水準は厚生労働大臣が定めます。かつて生活扶助の水準は、絶対貧困水準に設定されていました。世帯人員別の標準生計費を算出する「標準生計費方式」で計算されました。また、食費と被服費、家具什器などを1つひとつ積みあげる「マーケット・バスケット方式」でも計算されました。その後、栄養所要量を満たす食費をエンゲル係数の除数で総生活費を算出する「エンゲル方式」に変更されました。

 高度経済成長に入っていた1965年からは、相対貧困水準の考えに従って、一般の生活水準とのバランスを考慮しました。生活保護受給世帯と一般世帯の格差を積極的に縮小を目標に「格差縮小方式」が設定されました。現在は、一般国民の生活水準の向上に応じて、基準を改定する方式である「水準均衡方式」で設定されます。おおむね一般標準世帯(親子3人世帯)の基礎的消費支出の6~7割程度をめどに設定されています。

 現在、生活扶助の水準は全国消費実態調査に基づきおおむね5年間隔で検証され、給付の見直しが行われます。一般低所得世帯の消費水準と均衡するために見直しするためです。