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 地球の天気は常に変化しています。過去にどのように気候が変化したかを知るために、地質学的な記録が利用されてきました。

過去の気候 編集

 地質時代、地球の気候は大きく変化し、寒冷化と温暖化のサイクルを繰り返してきました。約23億年前と7億年前のように、世界中が凍りついた時代もありました。一方、白亜紀のように温暖で、極地でも氷河がほとんどない時代もありました。これらの過去の気候変動は、それぞれの時代に堆積した土砂の層や作られた化石、その層の厚さの変化から推測される海水面の変化などから復元されています。

安定同位体と過去の気候 編集

過去の正確な気温を把握するのは非常に困難です。しかし、地層や氷に含まれる安定した酸素同位体の比率から、第四紀にどれくらいの氷があり、どれくらいの気温であったかを突き止めました。

 有孔虫の殻には、有孔虫が生息していた海水の酸素同位体比が記録されています。この事実は、過去に水温や気候がどのように変化したかを知る上で重要です。有孔虫の殻に含まれる酸素同位体比から、約300万年前に気候が寒冷化し、第四紀の氷河期が終わるまでその状態が続いていました。

ミランコビッチ周期 編集

 太陽の熱は、地球表面の天候を支配する大きな要素となっています。太陽の働きや、太陽の周りを回る地球の動きが変わると、地球が受ける熱の量に影響が出ます。そのため、地球の気候に大きな影響を与えます。ケプラーの法則によると、地球は太陽の周りを10万年ごとに円や長い楕円に近づく楕円の軌道で回っています。地球の自転軸は公転面に対して傾いている。この傾きの角度は時間とともに約22度〜25度変化するため、太陽に対して傾きが変化します(歳差運動)。ミランコビッチサイクルは、このような変化に最初に気づき、数学的に記述する方法を考え出したセルビアの気象学者の名前にちなんで名づけられました。その後、有孔虫化石に含まれる酸素同位体比の研究から、この温暖化と寒冷化の周期は、極域に当たる太陽光の量が変化した結果、発生した現象だと確認されています。