1. 法学刑事法刑法コンメンタール刑法
  2. 法学コンメンタールコンメンタール刑法

条文

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(没収及び追徴)

第197条の5
犯人又は情を知った第三者が収受した賄賂は、没収する。その全部又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。

解説

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参照条文

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判例

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  1. 贈賄幇助、贈賄(最高裁判決 昭和29年08月20日)旧刑訴法248条,旧刑訴法360条1項,旧刑訴法410条19號,旧刑訴法291条1項,旧刑訴法410条18號,警察法49条,警察法附則19条,刑法198条刑法62条1項,刑法19条,刑法197条の4,旧刑訴法360条1項
    贈賄の現金を没収するに当り刑法第19条を適用すべきところ同第197条の4(現本条)を適用した擬律錯誤の違法
    原審が刑法第197条の4(現本条)を適用して「押収の現金二万円を没収する」と判決したのは違法であつて論旨は理由があり、この点において原判決は破毀をがれない。しかし刑法第197条の4は同法第19条を排斥するものではなく、問題の現金二万円は贈賄の「犯罪行爲ヲ組成シタル物」として刑法第19条により没収せられ得べきものであるからその処置を執るのを適当と認める。
    • 原審において被告は、贈賄罪(刑法198条)の幇助の判決を受け、同時に、刑法197条の4(現本条)が適用され没収が科されたが、刑法197条の4(現本条)は、収賄罪に必要的に適用するものであっても贈賄罪への適用は違法である。しかしながら、贈賄罪の幇助という犯罪行為を組成したものとして、刑法第19条により裁判所が裁量として科しうる没収は適用できる。
  2. 加重収賄(最高裁判決 昭和29年08月20日)
    いわゆる第三者収賄罪において第三者たる法人が賄賂を収受した場合の沒収、追徴の要件
    刑法第197条ノ2の罪において第三者たる法人の代表者が賄賂であることを知つて賄賂を法人のため受け取つたときは、その法人は同法第197条ノ4(現行:第197条の5)にいわゆる「情ヲ知リタル第三者」にあたり法人から右賄賂を沒収しまたはその価額を追徴することができる。
  3. 収賄、受託収賄、第三者収賄、贈賄(最高裁判決 昭和40年04月28日)刑法第197条の2
    1. 刑法第197条の2、第197条の5にいう第三者にあたるものとされた事例。
      農業協同組合の支部が、独立の会計を有していることなどにより、独立の団体としての実質を具えているものと認められる場合には、その支部は、刑法第197条の2、第197条の5にいう第三者にあたるものと解される。
      • 刑法第197条の2及び第197条の5にいわゆる第三者供賄罪に関して、没収又は追徴を命ぜられる第三者とは、必ずしも自然人に限られず、法人は固より、法人格を有しない団体であつても、代表者の定めある独立の団体として、財産を保有し得るものであれば足り、その団体が犯罪能力又は刑訴法上当事者能力を有するか否かは問うところではない。
    2. 刑法第197条の5に基づいて第三者から賄賂の価額を追徴するにあたりその第三者に対して実質上弁解防禦の機会が与えられたものとされた事例。
      前項の場合において、右支部の代表者が、その支部を第三者とする刑法第197条の2の罪について、被告人として弁解、防禦の機会を与えられているときは、同法第197条の5によりその支部から賄賂の価額を追徴するにあたり、同支部に対しても、実質上弁解、防禦の機会が与えられていたものということができる。
  4. 収賄、加重収賄、有印虚偽公文書作成、同行使(最高裁判決 昭和43年09月25日)
    没収に代えて追徴すべき賄賂の価額の算定基準時
    授受された賄賂が没収不能となりその価額を追徴すべき場合には、授受後においてその物の価額の増減があつたとしても、その物の授受当時の価額を追徴額とすべきである。
  5. 収賄(最高裁決定 昭和55年12月22日)
    1. ゴルフクラブ入会保証金預託証書がいわゆるゴルフクラブ会員権を表章する有価証券とはいえないとされた事例
      証書上からはいわゆるゴルフクラブ会員権の内容が明らかでないうえ、指図文句の記載もなく、会員権の譲渡にゴルフクラブの承認が必要とされている等の本件ゴルフクラブ入会保証金預託証書は、ゴルフクラブ会員権を表章する有価証券とはいえない。
      →従って、本件ゴルフクラブ入会保証金預託証書は追徴の対象物ではない。
    2. いわゆるゴルフクラブ会員権を賄賂として収受した場合における没収・追徴
      いわゆるゴルフクラブ会員権を賄賂として収受した場合には、会員権それ自体は没収の対象となるものではなく、これを収受した時点におけるその価額を追徴すべきである。
  6. 収賄被告事件(最高裁決定 平成16年11月08日)
    1. 収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂についての追徴の方法
      収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂については,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)197条ノ5の規定により,共犯者各自に対し,公務員の身分の有無にかかわらず,それぞれその価額全部の追徴を命じることができるし,また,収賄犯人等に不正な利益の保有を許さないという要請が満たされる限りにおいて,相当と認められる場合には,裁量により,各自にそれぞれ一部の額の追徴を命じ,あるいは一部の者にのみ追徴を科することも許される。
    2. 収賄の共同正犯者が共同して収受した賄賂についてその総額を均分した金額を各自から追徴することができるとされた事例
      収賄の共同正犯者2名が共同して収受した賄賂について,両名が共同被告人となり,両名の間におけるその分配,保有及び費消の状況が不明であるなど判示の事実関係の下においては,賄賂の総額を均分した金額を各被告人から追徴することができる。

前条:
刑法第197条の4
(あっせん収賄)
刑法
第2編 罪
第25章 汚職の罪
次条:
刑法第198条
(贈賄)
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