刑法第77条
条文
編集(内乱)
- 第77条
- 国の統治機構を破壊し、又はその領土において国権を排除して権力を行使し、その他憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として暴動をした者は、内乱の罪とし、次の区別に従って処断する。
- 首謀者は、死刑又は無期拘禁刑に処する。
- 謀議に参与し、又は群衆を指揮した者は無期又は3年以上の禁錮に処し、その他諸般の職務に従事した者は1年以上10年以下の拘禁刑に処する。
- 付和随行し、その他単に暴動に参加した者は、3年以下の拘禁刑に処する。
- 前項の罪の未遂は、罰する。ただし、同項第3号に規定する者については、この限りでない。
改正経緯
編集2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)禁錮
- (改正後)拘禁刑
解説
編集関係条文
編集判例
編集- 大審院昭和10年10月24日判決(刑集14巻1267頁)-五・一五事件(民間人)判決
- 「朝憲ヲ紊乱スルコトヲ目的トシテ(現行「憲法の定める統治の基本秩序を壊乱することを目的として」)」の意義
- 刑法第七十七条ニ所謂朝憲ヲ紊乱スルトハ,国家ノ政治基本組織ヲ不法ニ破壊スルコトヲ謂ヒ,政府ノ顚覆邦土ノ僣窃ノ如キ其ノ例示規定ナリト解スヘク,従テ政府ノ顚覆トハ,行政組織ノ中枢タル内閣制度ヲ不法ニ破壊スル如キコトヲ指称スルモノト解スルヲ相当トス。而シテ,集団的ノ暴動行為アルモ之ニ因リ直接ニ朝憲紊乱ノ事態ヲ惹起スルコトヲ目的トスルニ非スシテ,之ヲ由縁トシテ新ニ発生スルコトアルヘキ他ノ暴動ニ因リ朝憲ヲ紊乱スル事態ノ現出ヲ期スルカ如キハ,之ヲ以テ朝憲ヲ紊乱スルコトヲ目的トシテ集団的暴動ヲ為シタルモノト称スルコトヲ得ス。
- 破壊活動防止法違反(最高裁判決昭和42年7月20日)
- 破壊活動防止法第38条第2項第2号所定の文書頒布罪にあたらないとされた事例
- 原判決および同判決が是認する第一審判決が適法に認定したところによれば、被告人らは、日本共産党員もしくはその同調者であるが、これまで内乱の実行手段ないし準備行為を企図したことは全然なく、本件軍事文書についてもその存在さえ知らなかつたところ、党員のAに命令され、その使者としてこれを労働争議中のB鉄工所の工員に頒布するに際し、右文書の内容を一瞥し、あるいは相被告人より聞き、または臆測してこれを了知した程度にすぎず、被告人らの意図は、もつぱら同工員をして自発的に内乱に立ち上らせることにあつたというのである。さらに、右各判決は、B鉄工所の工員が日本共産党員もしくはその同調者であり、本件軍事文書の指令に服すべき関係にあつた事実は認められず、また右文書の頒布により内乱罪の実行されうべき可能性ないし蓋然性が客観的に存在していたことは認められないとしているのである。以上の事実関係のもとにおいては、被告人らの本件行為が、破壊活動防止法第38条第2項第2号の罪にあたらないとした原審の判断は、結局正当である。
|
|