初級システムアドミニストレータ/情報化と経営

お知らせ

初級システムアドミニストレータ試験(初級シスアド)は2009年(平成21年)度春期の試験を最後に廃止されました。ただし、初級シスアドの後継であるITパスポート試験基本情報技術者試験にも、情報化と経営に関する問題が出題されています。(現在は主にストラテジ系の問題として出題されています。)

ITパスポート試験や基本情報技術者試験の合格を目指される方はしっかり学習してください。

情報化と経営

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情報戦略

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経営管理
ポートフォリオ分析(PPM)
自社の製品は、果たして市場においてどのような地位にいるのか?を調べたい場合の手法です。たて軸に市場全体の伸び率、横軸に市場占有率をとったグラフを作成します。そこに、自社の製品がどのポジションにいるかをあてはめていきます。一般には、「花形」や「金のなる木」の商品で得た利益を、問題児に投入(販売のテコ入れ)する形がとられます。
企業組織
CEO(Chief Executive Officer)
最高経営責任者と訳されています。いわゆる社長のことを表す事が多いです。全社的な意思決定の責任者であり、中・長期的な経営戦略を立てるのが主な役割です。
CIO(Chief Information Officer)
情報担当役員と訳されています。CEOの策定する中・長期的な経営戦略に基づいて、その実現を目指すための情報システムや情報化戦略の統括を行います。


ピラミッド型組織
偉い人から順(社長-取締役-部課長-係長-主任-社員)のピラミッド型組織は、上の命令が効率的に下まで行き渡る、などの管理上のメリットがあります。ですが組織が硬直化しやすい等のデメリットもあり、近年は以下に挙げるように様々な企業組織の形態が取り入れられています。
  • 事業部制
    • 一つの会社の中に、事業部長を長とした“事業部”と呼ばれる組織を複数個作ります。ひとつの事業部は、あたかも一般的な会社ひとつ分のように振舞います。そのため、いわば一つの会社の中に複数の子会社があるイメージです。全社としてみた場合、市場ごとの対応をとりやすく、事業部ごとに業績を競うことでのメリットもありますが、企業全体での統率がとりにくく、事業部間での人材の移動が少ない等のデメリットもあります。大手家電メーカによく採用される形態です。
  • SBU(Strategic Business Unit)
    • SBUは、戦略的事業単位とも訳されます。今日のように新市場の入れ替わりが激しい世の中で、ピラミッド型組織や事業部制をとる会社組織だと、たとえば“PC事業部”“家電事業部”両方のノウハウが必要となる“情報家電”市場への参入が、部署や事業部の壁に邪魔され、素早い対応がとりにくくなります。そこで経営者は、狙った市場に柔軟に対応するため、市場を単位としたSBU(今回の場合“情報家電SBU”)を策定し、経営者の特命を受けたSBU担当者がPC事業部と家電事業部を結びつけて情報家電事業を統率します。
  • プロジェクト制
    • 以前NHKで放送されていた「プロジェクトX」のイメージです。SBUと同様、ある目的に向けて、経営者からの特命を受けた担当者が各部署を結びつける役割を担い、各部署から人材が集められます。ですがSBUと違ってプロジェクト制は数ヶ月から数年という限られた期間で作業を行い、作業の区切りがついたらそのプロジェクトは解散されます。
  • マトリクス組織
    • ピラミッド型組織の弊害を解消するために、SBUやプロジェクト制などが登場しました。このように部署間をいわば、横に“串刺し”する組織と、従来のタテ型組織を同じ図に表すと、ちょうど格子状の図になることから、これらを総称して“マトリクス組織”と呼びます。
  • コラボレーション
    • 協業(きょうぎょう)とも訳されます。ミュージシャンが行っているコラボレーション(複数のミュージシャンが集まって、一緒に作業を行う)と同じ意味ととらえて下さい。


意思決定の手法
ブレーンストーミング
複数人で集まって、アイディアをひねり出すための手法です。せっかくのアイディアをムゲに否定してしまっては話がしぼんでしまいますので、突拍子もないアイディアや、前の提案者の付け足し案を歓迎する雰囲気を作り出していきます。これは漫才で言う「ボケとツッコミでいえば、ボケにはボケで返す」イメージです。ブレストと略す事もあります。
KJ法
アンケートや聞き取り調査で集めたデータや、ブレーンストーミングで得られたアイディアを、体系立てて分類するための手法の一つです。これは文化人類学者の川喜多二郎氏が、調査データを分類するために考え出した手法で、大まかには以下のよう行います。
  1. 得られた項目をカードに書き出していく
  2. 類似・関連した内容のカードを寄せ集めて「島」を作っていく
  3. 「島」同士の関連を模造紙などに書き出していく
  4. 離れた島が出来ても、それは全体の問題解決のヒントに使える


MBO(Management By Object)
「目標管理」と訳されています。定期的に評価者(上司)と面談しながら仕事上の目標を策定し、のちに目標の達成度を評価基準とするものです。広く用いられる手法ですが、評価者が人間である以上、評価にバラツキがでる、評価基準の全社的な統一が困難、などの問題点があります。
ベンチマーキング
他社や類似業務で成功している事例にならうことで、業務を改善しようという考え方です。システムの性能を測る指標「ベンチマーク」と綴りは同じですが、混同しないで下さい。

情報化戦略

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情報システム

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ERP(Enterprise Resource Planning)
ERPは、全社的に各部門の効率化を図るためのシステムです。部門ごとに個々に情報化を進めてきた会社の場合、それらを統合したシステムを構築するのはコストと手間がかかります。そこで、標準的な会社の全社システムを想定して予め作られたソフトであるERPを導入することによって、一気に全社的な効率化を図ろう、というものです。ERPを実現させるソフトウェアとして、SAP社のR/3が有名です。

またERPと似た用語で、MRP(Material Requirements Planning:資材所要量計画)があります。これは生産分野での効率化を図る際のシステムです。

POS(Point Of Sales)
スーパーやコンビニなど小売店のレジで見かける、商品のバーコードを読み取る「POSレジ」として有名なシステムです。POSは商品の会計だけでなく、いつ・どの製品が・どのような客層に売れたかを把握するシステムの総称です。POSの採用よってレジの打ち間違いが減るだけでなく、売れ筋商品の早期把握が可能となり、限られた店舗面積での売上最大化を目指すことが可能となります。
EOS(Electric Ordering System)
コンビニやスーパーなど小売店の、商品発注をサポートするシステムの総称です。売れて減った商品の自動発注や、店舗管理者が発注数を加減する際の指針となるデータを提供します。EOSは、POSとの連携が前提となっています。
SCM(Supply Chain Management)
「製販同盟」がIT化により強固になった形態、と考えて下さい。メーカから小売業者までの各流通段階をトータルにIT化することによって、無駄を省き、全流通段階での売れ筋把握が可能となる、などのメリットがあります。
CRM(Customer Relationship Management)
企業と顧客との信頼関係を作り、末永くおつきあいするための管理を、ITシステムの力を借りて行うことです。具体的には、顧客リストをもとに満足度を追跡調査し、その情報を新商品に活かしていくための管理を行う、などのシステムです。
SFA(Sales Force Automation)
企業の営業活動を、ITシステムの力を借りて効率化することの総称です。営業担当者にノートPCやPDAを持たせ、外出先からでも在庫状況を把握できるシステムなどが、これに当たります。

コンタクト管理

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顧客からの問合わせ(コンタクト)の対応処理を、ITシステムの力を借りて効率化することで、前記のCRMやSFAの一部として機能します。たとえばCTI(下記参照)を応用して、電話で顧客から問合わせがあった瞬間には発信者番号通知機能を利用して顧客を特定し、これまでの購入履歴や問合せ履歴・トラブル履歴を瞬時に画面に表示する、などのシステムが挙げられます。

CTI(Computer Telephony Integration)
ITと電話とを融合させた形態です。たとえば宅配便の再配送受付は、プッシュ電話で操作することができますが、プッシュ電話を操作して入力した値(再配送日時の指定など)は宅配便業者の情報システムに即座に反映されます。ほかにも、通信販売業者の受付担当者の端末と発信者番号通知(ナンバーディスプレイ)機能を組み合わせて、電話がかかってきた瞬間に電話番号をキーに顧客データベースを検索し、住所・氏名・過去の販売履歴を表示するシステムが挙げられます。

その他の用語

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CSR(Corporate Social Resopnsibility)
企業の社会貢献と訳されます。情報技術との直接の関係は薄いですが、企業の社会貢献度の高さも企業価値を高めるという考えから、企業からの適切な情報発信も考えていく必要があります。
ASP(Application Service Provider)
ソフトウェアを、使いたい時だけ時間貸しするイメージです。ASP業者がサーバ上にソフトウェアを用意しておき、顧客は使いたいときにダウンロードして利用します。高速なインターネット回線が必要ですが、ソフトウェア導入の初期費用が削減でき、その時点での最新のソフトウェアを利用できる、などのメリットがあります。なお、ここでいうアプリケーションとは、応用ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア)のことで、人間がコンピュータにやらせたい作業に合わせて作られたソフトウェアのことを指します。たとえばコンピュータにウイルススキャンを行わせたいときは、ワクチンソフトが応用ソフトウェアにあたります。

業務改善・分析・設計

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BPR(Business Process Re-engineering)
一般には“リエンジニアリング”と呼ばれます。業務プロセスを改善するにあたっての着眼点を、「結局のところ、それでお客様が喜ぶのかどうか」を中心に考え、そこから、顧客へのメリットとなる業務プロセスとはどのような形がふさわしいのかを考えていくことで、アダム・スミス以来の「分業」によるタテ割り型業務プロセスの弊害を作り直していくものです。
SOHO(Small Office Home Office)
Small Officeとは、インターネットさえあれば会社の設備が大きくなくとも事業が出来ると割り切った形だと考えて下さい。Home Officeとはその名の通り、在宅勤務や自宅でインターネットを使っての事業を指します。

企業会計

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財務会計

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財務諸表(貸借対照表、損益計算書)

「資産=負債+資本」という有名な式(貸借対照表等式)があります。この式をもとに簡単な計算をさせる出題が多く出題されています。実際の出題例を見てみましょう。

【例題】初級シスアド平成14年度秋期午前問67
A社の貸借対照表の構成比は図のとおりであった。A社の自己資本に占める資本金の割合は何%か。
流動資産 75%負債 20%
資本金 10%資本
法定準備金 7%
任意積立金 47%剰余金
固定資産 25%
当期末処分利益 16%
  • ア 12.0
  • イ 12.5
  • ウ 13.3
  • エ 15.9


【考え方】
総資本=他人資本+自己資本、という式があります。他人資本とは「負債」の別名で、この表では一番右上の20%がそれにあたります。そのため自己資本は「資本」と書いてある幅の部分のトータル(80%)になります。「自己資本に占める資本金の割合」は、80%に占める10%なので、イの12.5%と求まります。


減価償却(定額法・定率法の計算問題)

パソコンなど何年も使い続けるものを企業が買い、それを会計的に処理する(いわゆる「経費で落とす」)場合、その金額によっては、減価償却と呼ばれる形で何年かに分けて計上することになります。モノを何年も使い続けると、だんだん価値が下がってくるという考え(通常は、古いほどプレミアムがつくとは考えません)で、その減った価値の分だけを、毎年経費として計上していきます。減価償却の計算方法には、定率法定額法の2種類があり、初級シスアド試験には定率法がよく出題されます。

【例題】初級シスアド平成14年度春期午前問64
100万円で購入した機械装置の減価償却を6年の定率法で実施すると,1年目の減価償却額は約32万円である。2年目の減価償却額は約何万円か。

ア 10  イ 22  ウ 32  エ 68

【考え方】
毎年“同額”ずつ資産価値が減ると考える「定額法」と違い、定率法では毎年“同じ割合ずつ”価値が減る、と考えます。
【解答】
価値が減った分だけを減価償却として計上するのですが、100万円のものの価値が1年目で32万円減ったことから、32%減ったことがわかります。そして68万円まで価値が減った(100万円-32万円)モノが、2年目も同じ割合ずつ(32%)価値が減ることから、2年目は68万円×32%≒22万円を計上することになります。そのため、答はイになります。

管理会計

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損益分岐点(損益分岐点売上高の算出)

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損益分岐点売上高を求める公式

損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ ( 1 - 変動費率 )
                = 固定費 ÷ ( 1 - ( 変動費 ÷ 売上高 ) )
【例題1】第一種情報処理技術者平成9年度春期午前問93
固定費200千円,変動費率0.7のとき,利益10千円が得られる売上高は何千円か。
  • ア 300
  • イ 633
  • ウ 667
  • エ 700 


公式を忘れた人は、中学の数学の、 で考えましょう。横軸に“売上”、縦軸に“出ていく費用”をとり、変動費率を「傾き」、固定費を「y切片」としたグラフ を描きます。そして、売上 = 費用 となる、傾きが45度の線 を引きます。その交点こそが、「この会社において、売ったお金と同じだけの費用が出て行く点」すなわち「損益分岐点」です。
損益分岐点を求めるだけならば、この2つの関数の交点を求めればOKです。さらに10千円の利益を得たい場合は、損益分岐点の売上高から右に、傾きが0.3(“傾き1”から“傾き0.7”を引いた値)ずつ増えていくとして、横軸がいくら増えれば縦軸が10千円増えるか?を求め、損益分岐点の売上高に足します。この場合、答はエになります。

【例題2】AN/PM/AE共通 平成13年度秋期午前問43
表は、ある企業の損益計算書である。損益分岐点は何百万円か。(単位 百万円)
項 目内 訳金額
売上高 700
売上原価変動費 100300
固定費 200
売上総利益 400
販売費・一般管理費変動費 40340
固定費 300
税引前利益 60
  • ア 250
  • イ 490
  • ウ 500
  • エ 625


これも公式で解けますが、公式を忘れた方は、さきほどの“変動費率”の値を、グラフから求めてみましょう。y切片は、すべての固定費を足した額でOKです。まずは(x = 0, y = 500)に点を打ちます。そして「売上高700なら、(うち640を使って)60の利益」なので、(x = 700, y = 640)にも点を打ち、2点を結ぶ線を引きます。なお、傾きは(140/700 = 0.2)です。あとは、 と、 の交点を求めればOKです。

原価計算

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先入先出法の考え方

モノを売るためには、モノや原材料を仕入れてこないといけません。その仕入れ値は一体いくらかを計算するのが、原価計算です。

【例題】初級シスアド平成14年度春期午前問68
ある商品の前月繰越と受払いが表のとおりであるとき,先入先出法によって算出した10月度の売上原価は何円か。
10月1日前月繰越100個繰越単価200円/個
10月5日仕入50個仕入単価215円/個
10月15日売上70個  
10月20日仕入100個仕入単価223円/個
10月25日売上60個  
  • ア 26,450
  • イ 27,250
  • ウ 27,586
  • エ 28,130

先入先出(さきいれさきだし)とは、先に仕入れた(古い時期に仕入れた)商品から先に売っていく、という意味です。先入先出法での売上原価の計算は、こう考えて下さい。 (図 先入先出法の図)
なお、図中のアットマークは、単価を表します。この130個の売上原価(仕入れ値)は、200円×100個+215円×30個で、26,450円と計算されます。

リース・レンタル

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リース料の計算問題
【例題】初級シスアド平成14年度春期午前問67
購入価格100万円のパソコンLAN一式を,5年リースで利用したい。リース料率を2%としたときのリース料総額は何万円か。ここで,リース料率とは,購入価格に対する月額リース料の割合である。
  • ア 112
  • イ 114
  • ウ 120
  • エ 124
【考え方】
5年間(=60ヶ月)、100万円の2%を払いつづけるので、正解はウです。


経営工学

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QC七つ道具、新QC七つ道具

QC七つ道具」と「新QC七つ道具」に含まれる図表が、試験によく出ます。その中でも午前問題では主に、パレート図とPERT図、 管理図が出題され、午後試験ではPERT図がよく出題され、パレート図は「ABC分析」と呼ばれる分析手法と絡めて出題されます。
何らかの問題を解決したい(ネットワーク障害を素早く復旧させたい、など)時、限られた予算やマンパワーの範囲で、ツボを押さえたトラブル対応をしなければなりません。そこで用いられる手法が、パレート図とそれに基づくABC分析です。 パレート図は、問題の要因の出現比率が高い順(つまり、ありがちな順)に並んだ棒グラフと、各棒グラフの累積%の折れ線グラフを組み合わせた図です。そしてABC分析とは、たとえば今回は、

  • Aランク : 0~70%
  • Bランク :  ~90%
  • Cランク :  ~100%

などと範囲を決め、Aランクの範囲に入ったトラブルから優先的に対応すると決めた場合、折れ線グラフの70%ラインより「断線」と「ハブの故障」の二点に対応すべきだ、と読み取れます。  管理図は、工程に異常が無いかを知るため、特性値の変化を折れ線グラフで表した上で異常な値を示してないか判断するものです。
散布図は、x軸とy軸のグラフに点をプロットしていくものです。レーダチャートは、各項目間でバランスが取れているかを判断するのに便利です。特性要因図は、特性(結果)と、その要因との関係を整理するのに使われる図で「魚の骨」とも呼ばれます。

【コラム】「ロングテール」
Web2.0という言葉と共によく用いられる「ロングテール」は、このパレート図で言う「風水害」など、言い換えれば「その他もろもろ」の部分を指す言葉です。インターネット、特にWebの普及により、これまで切り捨てられてきた細かなビジネスを幅広い世界から受注しやすくなりました。
PERT図(アローダイアグラム)

作業の日程計画に使われる記法です。この経路の作業のうち、遅れが許されないノッピキならない経路のことを「クリティカルパス」と呼びます。

OR(オペレーションズリサーチ)

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線形計画法(リニアプログラミング)

経営計画などで使われる手法です。目的(売上や利益)を最大にするための最適な方法を数学的に求めるため、一次不等式で表した制限条件をグラフで描き、組み合わせて求める手法です。

ゲーム理論

ここでいうゲームとは「駆け引き」のことです。たとえば麻雀をやる時、リーチをかけるべきかどうかの判断は、当り牌がくる確率と点数計算からだけでは決まりません。他人が点数の高い手を作りつつあると判断した場合、オリてもらおうとハッタリ半分でリーチをかける場合もあります(もっと言えば、チョンボ覚悟で嘘のリーチをかける場合もありえます)。このような場合の、駆け引きを含んで戦略を考えるのが、ゲーム理論の基本的な考え方です。天才的な数学者で経済学者でもあったフォン・ノイマン(「ノイマン型コンピュータ」の名でも知られています)が提唱した理論です。

統計問題

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初級シスアド試験の午前試験出題されるテーマは、データの「平均」「モード」「メジアン」「レンジ」の値を求める問題と、正規分布と標準偏差の意味を問わせる問題です。

「平均」「モード」「メジアン」「レンジ」について

ある学校で、百点満点のテストを、8名の生徒に行いました。その結果、8名の点数が、

5055606570707080

であったとします。
平均は、全員の点を足してその人数で割れば良いので、この例では520÷8=65です。
モードは最頻値(さいひんち)とも訳され、その名の通り最も頻繁に現れる値のことです。この例では70です。
メジアンは中央値とも訳されます。データを順に並べて中間にくる値がメジアンですが、ここでいう「データを順に並べる」とは、8人分のデータを

5055606570707080

のように並べるという意味です。決してやってはいけないのは、棒グラフの横軸だけ見て、

70
5055606580

だと勘違いしないことです(過去に、棒グラフからメジアンを求めさせる出題がありました)。

次に中央の値を求めますが、もしデータが奇数個の場合、たとえば以下のように5個の場合、

61
40405260

だと、左から3番目の52がメジアンになります。今回のようにデータが偶数個(8人分)の場合は、中間の左右の値(65と70)の平均値をとります。この例では67.5です。
最後にレンジとは、最大値と最小値との、差のことです。この例では、80-50=30です。

正規分布について

正規分布のグラフとは、たとえば学力テストを行った際、点数とその人数で集計した際に描かれる、理想的なグラフが正規分布だとお考え下さい。なお正規分布のグラフでは、先に触れた「平均」と「モード」と「メジアン」が、全て同じ値になります。

【コラム】「偏差値」とは?
取った得点が平均点だった場合を、偏差値50とします。取った得点と平均点との差が、標準偏差1個分プラス側であった場合、偏差値の値をプラス10します。逆に、標準偏差1個分マイナス側であった場合は、偏差値をマイナス10します。今回のA高校での偏差値60は65点得点のことであり、偏差値80とは75点得点のことです。

情報システムの活用

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生産管理システム
カンバン方式、JIT(Just In Time)方式
カンバン方式とJITは同じ意味ととらえて下さい。多品種少量生産に対応でき、かつ生産ラインを効率化するために開発された、トヨタ自動車の「カンバン方式」が有名です。これは納入業者が、必要部材とその数量・期限を示した「カンバン」を確認し、期限の時間ピッタリに納入しないとペナルティを課されるというものです。
MRP(Material Requirements Planning)
資材所要量計画と訳されています。工場での製造に必要な資材の、所要量の算出・発注・在庫を管理するためのシステムです。具体的には、製品がどの部品が何個で構成されているかをデータベース化しておき、現在の部品在庫数量を加味した上で、製造予定数量をもとに発注数を算出するシステムです。
CAD(Computer Assisted Design)
モノ作りにおける設計段階の、コンピュータ化です。たとえば建築CADだと、過去には建築家がドラフターを用いて手書きで作成していた各種図面を、今日では画面上でマウスを転がしながら作成するようになりました。他にも電子設計用のCADや機械設計用のCADなどがあります。


関連法規

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情報通信に関する法規

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電気通信事業法(第一種電気通信事業者と第二種電気通信事業者の違い)

この、第一種と第二種の違いは、回線設備を自前で保有しているかどうかの違いです。たとえばNTTやKDDIなどは自前の回線で商売しているので第一種です。そしてその回線を借りて商売するのが第二種です。自前の回線を持たない多くのプロバイダ(インターネットサービスプロバイダ)は、第二種電気通信事業者に分類されることになります。

知的財産権に関する法規

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著作権法

著作権法についての出題例を見てみましょう。

【例題】初級シスアド平成14年度春期午前問77
著作権法によって保護の対象となり得るものはどれか。
  • ア プログラム中のアイデア
  • イ プログラムに含まれているノウハウ
  • ウ プログラムのアルゴリズム
  • エ プログラムの表現自体
【正解】
答はエです。特にアルゴリズムとプログラム言語は著作権の対象にはならないことを覚えておいて下さい。


【例題】初級シスアド平成13年度秋期午前問77
ソフトウェアの著作権に関する記述のうち,適切なものはどれか。
  • ア 共同開発したソフトウェアの著作権は,契約の有無にかかわらず,開発者間で均等に分割保有しなければならない。
  • イ 従業員が職務上開発したソフトウェアの著作権は,契約等で特に定めない限り,その従業員の所属する会社にある。
  • ウ ソフトウェアハウスに開発を委託したソフトウェアの著作権は,契約の有無にかかわらず,常にソフトウェアハウスにある。
  • エ 著作権登録申請によって,著作者人格権を含めて著作権を譲渡できる。


【正解】ア

アは、契約に規定されていれば、柔軟に対応できます。 イは、パッケージソフトの著作権表示を見てもおわかりの通り、正解です。 ウも、契約に規定されていれば、柔軟に対応できます。 エの、著作者人格権は譲渡できません。なお「著作者人格権を主張しない」という契約は可能です。

工業所有権(実用新案権、特許権、意匠権、商標権)

著作権は著作物が出来た時点で自然発生しますが、この4つの権利は特許庁に申請して認められた段階で、初めて有効になるものです。試験にもよく出ますので、ゴロ合わせ「実は得意でしょう?」で覚えておいて下さい。

労働に関する法規

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労働者派遣法

IT業界には、いわゆる「派遣さん」が多いです。労働者(派遣さん)は、あくまでも「派遣会社」に雇われた人です。派遣さんは、派遣先の人から指示を受け、その指示に従って働きます。なお、「請負契約関係」とは、仕事をなし遂げることを約束した上で、その仕事が出来上がったらお金が払われるという契約のことです。

取引に関する法規

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不正競争防止法

企業間の競争で、やってはならないことを掲げた法律です。情報処理技術者試験では特に、「営業秘密(秘密として管理されている生産方式、販売方法その他の事業活動に有用な技術上または営業上の情報であって、公然と知られていないもの)」についての知識と、まぎらわしいインターネットのドメイン名を悪いことをする目的で取得・保管・使用することも法に触れることを押さえておいて下さい。

ソフトウェア販売に関する法規

過去の出題例を見てみましょう。

【例題】初級シスアド平成14年度秋期午前問78
フリーソフトウェアに関する記述として,適切なものはどれか。
  • ア 金銭的な諸権利と著作権を放棄したソフトウェア
  • イ 定められた無料試用期間の後,継続して利用する場合は,所定の金額を開発者に支払う方式のソフトウェア
  • ウ 複数のコンピュータにインストールすることを許可した市販のソフトウェア
  • エ ライセンスに従って,内容の変更,コピー及び配布が自由にできる無償のソフトウェア


【解説】

  • アは「パブリックドメインソフトウェア」のことです。これはフリーソフトウェアと違い、著作権が放棄されています。なお日本国内では、著作物の放棄が著作権法上できない(著作物には、自動的に著作権が発生する)ので、厳密な意味でのパブリックドメインソフトウェアはアメリカ等で作られたものを意味します。
  • イは「シェアウェア」のことです。窓の杜Vectorなど、ネット上で販売しているソフトウェアのうち、お金をとるものの多くはこの販売形態をとります。
  • ウは「ボリュームライセンス」のことです。同じソフトを100台のPCにインストールしたい場合、ソフトのパッケージ(箱)が100箱届いても困りますので、「100台までならインストールしても良い」旨の契約を結んだ上で購入する場合があります。なお、ボリュームライセンスの場合、実際に台数分のソフトを買うよりは安くなるのが普通です。
  • エは「フリーソフトウェア」の説明です。無料で使えますが、作者は著作権を放棄していないため、そのソフトを改良したい場合には著作権表示が必要です。


安全に関する法規

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製造物責任法(PL法)

PLは、Products Liabilityの略です。製品の欠陥によって損害にあったことを証明した場合、被害者(消費者)は製造会社などに損害賠償を求めることができるという法律です。なお一般的なソフトウェアはPL法の対象である製品とはみなされてはいませんが、マイコン式炊飯ジャーなど、ソフトとハードが密接に絡む製品(エンベデッドシステム)に使われているソフトウェアは、PL法の対象になりえます。

不正アクセス禁止法(不正アクセス行為の禁止等に関する法律)

この法律での処罰の対象になることは、勝手に他人のIDとパスワードを使うこと・セキュリティホールを攻撃してコンピュータに侵入すること・無断で他人のIDとパスワードを教えることなどです。警察庁のハイテク犯罪対策のページがわかりやすくてお勧めです。

その他の関連法規

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刑法
刑法には「電磁的記録○○罪」という名の罪が何個かあります。刑法第7条の2によると、この「電磁的記録」とは、「電子的方式、磁気的方式その他、人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるもの」を言います。過去の出題例を見てみましょう。
【例題】初級シスアド平成14年度春期午前問80
刑法の電磁的記録不正作出罪でいう電磁的記録に含まれないものはどれか。
  • ア ICメモリ
  • イ テレフォンカード
  • ウ バーコード
  • エ 光ディスク

これは「電磁的記録不正作出罪」に限ったことではないのですが、刑法でいう電磁的記録とは、さきほどの定義のものを指します。この4つの中で、人間がパッと見てデータを読み取れるものは、バーコードです。

個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)

平成15年春に施行されました。この法律でいう「個人情報」とは、現在生きている個人に関する情報(識別可能情報)を指し、個人情報取扱事業者(個人情報を扱いながら商売している所)の、個人情報の適切な扱いを規定しています。また、この法律の制定当時、すったもんだの原因でもあった、報道・著述・学術研究・宗教活動・政治活動のたに個人情報を扱う場合の適用除外規定も盛り込まれました。

関連項目

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