商法第557条
条文
編集(代理商に関する規定の準用)
改正経緯
編集2018年改正で現代語化。
解説
編集第27条(代理商の留置権)及び第31条(代理商の留置権)を準用。
ドイツ商法典384条⑵、397条に対応する。
- ドイツ商法典第384条(問屋の義務)
- ⑴ 問屋は引き受けた取引を通常の商人の注意をもって実行する義務を負う。これに当たり,問屋は委託者の利益を擁護しなければならず,かつ,その指図を遵守しなければならない。
- ⑵ 問屋は委託者に対し,必要な通知を行わなければならず,とりわけ取次ぎの実行につき遅滞なく通知しなければならない。問屋は委託者に対し取引について説明する義務及び取引の実行により取得したものを引き渡す義務を負う。
- ⑶ 問屋は,取次実行の通知と同時に自己が取引を締結した相手方である第三者の名前を明らかにしないときは,取引の履行に関し委託者に対し責任を負う。
- ドイツ商法典第397条(問屋の質権)
- ①問屋は物品に使用した経費,手数料,物品について支出した前払金及び貸付金,並びに物品に関して振り出した手形又は他の方法で生じた債務に基づき,委託者の取次物品又は物品の買入又は売却に同意した第三者の取次物品に対し質権を有する。
- ②委託者の物品に対しては問屋は取次行為の継続計算から生ずるあらゆる債権に基づき質権を有する。
- ③ただし,第1文及び第2文に基づく質権は,問屋が占有する取次物品,又は,船荷証券,貨物引換証若しくは倉庫証券によって処分し得る取次物品についてのみ存する。
- ドイツ商法典第398条(自己の取次物品からの弁済)
- 問屋は,取次物品の所有者であるときであっても,第397条に掲げる債権に関して,質権に適用される規定に従い当該物品から弁済を受けることができる。
ドイツ商法典では問屋にドイツ民法にいう「法定質権」が認められ、優先弁済効もある。これに対して日本の商法典では商事留置権の留置的効力のみが認められて、破産手続きにおいて別除権として優先弁済効が認められる(破産法第66条)。
日本の商事留置権では牽連関係が曖昧であるが、ドイツの質権の規定でははっきりと定義されている。
参照条文
編集判例
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