法学コンメンタール地方自治法

条文

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【署名運動妨害・違法署名運動の罰則】

第74条の4  
  1. 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、4年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。
    1. 署名権者又は署名運動者に対し、暴行若しくは威力を加え、又はこれをかどわかしたとき。
    2. 交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき。
    3. 署名権者若しくは署名運動者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して署名権者又は署名運動者を威迫したとき。
  2. 条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、毀壊若しくは奪取した者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
  3. 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、選挙権を有する者の委任を受けずに又は選挙権を有する者が身体の故障その他の事由により請求者の署名簿に署名することができないときでないのに、氏名代筆者として請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
  4. 選挙権を有する者が身体の故障又は文盲により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができない場合において、当該選挙権を有する者の委任を受けて請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者が、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をせず又は虚偽の署名をしたときは、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
  5. 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次に掲げる者が、その地位を利用して署名運動をしたときは、2年以下の拘禁刑又は30万円以下の罰金に処する。
    1. 国若しくは地方公共団体の公務員又は特定独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成11年法律第103号)第2条第2項 に規定する特定独立行政法人をいう。)若しくは特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成15年法律第118号)第2条第2項 に規定する特定地方独立行政法人をいう。)の役員若しくは職員
    2. 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員
  6. 条例の制定又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者又は政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた者は、10万円以下の罰金に処する。

改正経緯

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2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役若しくは禁錮/(第4項)禁錮
(改正後)拘禁刑

解説

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関連条文

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判例

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  1. 町長解職請求署名簿の署名に関する決定の取消請求(最高裁判決 昭和28年06月12日)地方自治法第81条,地方自治法第74条の3,地方自治法第74条の2,地方自治法施行規則第12条,地方自治法施行規則第9条
    1. 地方公共団体の長の解職請求者署名名簿の部落会の決議により部落民のした署名および請求代表者またはその代理人が第三者を同伴して集めた署名の効力
      地方公共団体の長の解職請求者名簿に部落民が部落会の決議により署名し、あるいは請求代表者またはその代理人が第三者を同伴して署名を集めたからといつて、それだけでその署名が無効であるとはいえない。
    2. 署名が詐偽または強迫に基くものであるかどうかの市町村選挙管理委員会の認定と裁判所の権限
      署名が詐偽または強迫に基くものであるかどうかについての市町村選挙管理委員会の認定については、裁判所はその当否を判断することができる。
    3. 署名簿の様式に関する軽微な瑕疵と署名簿の効力
      署名簿の様式が地方自治法施行規則第12条、第9条に違反し、有効無効欄、備考欄を欠いていたからといつて、ただそれだけではその署名簿が無効であるとはいえない。

前条:
地方自治法第74条の3
【署名の効力、関係人の出頭証言】
地方自治法
第2編 普通地方公共団体

第5章 直接請求

第1節 条例の制定及び監査の請求
次条:
地方自治法第75条
【監査の請求】
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