将棋/▲7六歩
角道を開ける出だし。
△3四歩と後手も角道を開ける手と、△8四歩と飛車先の歩を突く手が考えられる。
△3四歩
編集- 詳細は「/△3四歩」を参照
▲2六歩と飛車先を突く手が自然である。
△8四歩
編集- 詳細は「/△8四歩」を参照
△3二金
編集- 詳細は「2手目△3二金」を参照
相居飛車になるなら無難だが、先手に振り飛車にされると玉を囲いづらく作戦の幅が狭くなる(そのため2手目△3二金や初手▲7八金は、居飛車党の相手に「振り飛車もできるか」と挑発する意味があるともいわれる)。
2006年の竜王戦で佐藤康光に2手目△3二金を連投された渡辺明は、後に「△3二金には▲5六歩から中飛車にして、ちゃんとやれば先手がよくなる」と述べ[1]、翌年佐藤に再び△3二金を指された際、中飛車を選択した。
一方の佐藤は「挑発ではなく、論理に基づく手」とし[1]、▲2六歩に△4一玉の新手や、▲5六歩に対する△4二銀〜△5二飛の相中飛車の構想を披露した。
△3二飛
編集- 詳細は「2手目△3二飛」を参照
2手目△3二飛戦法。
初手から▲7六歩△3四歩▲2六歩に△3五歩と突く後手石田流が、▲2五歩△3二飛▲6八玉△6二玉?に、▲2二角成△同銀▲6五角で後手苦しいと見られ[2]、それでも後手番で石田流を指す方法として今泉健司が考案した。
▲2六歩に
- △3四歩?は▲2二角成△同銀▲6五角で後手悪いが[2]、
- △4二銀が佐藤康光の新手で、
- ▲2五歩△3四歩▲2四歩?△同歩▲同飛は、△8八角成▲同銀△3三角で後手勝ちのため、
- ▲6八玉△6二玉から囲い合いとなる。
△5四歩
編集- 詳細は「/△5四歩」を参照
▲2六歩△3四歩でゴキゲン中飛車の出だしに合流する。
初手から▲7六歩△3四歩に▲6八玉と上がるゴキゲン中飛車封じを警戒する意味があるが、以下△5四歩に▲2二角成?△同銀▲5三角は、△3三角の久保流で後手も指せるというのが定説になっている[3]。
△5二飛
編集1961年8月の丸田祐三 vs.大山康晴 戦(王位戦)から、2017年8月の斎藤慎太郎 vs.大橋貴洸 戦(第67期王将戦一次予選)などがある。
△4二飛
編集藤井猛 vs.片上大輔 戦(2010年1月、宇都宮市東武百貨店でのお好み対局)脇謙二 vs.片上大輔 戦(2008年3月、順位戦)富岡英作 vs. 中村修 戦(1993-03月、銀河戦)など。
△3二銀
編集二歩千金の著『2手目△3二銀システム』 (マイナビ将棋BOOKS、2024年)で知られる。
- 詳細は「/△3二銀」を参照
△4二銀
編集後手嬉野流での出だし。プロ棋戦では千田翔太が2017年1月の第48期新人王戦で都成竜馬対して指す。戦型は急戦矢倉となる。
△6二銀
編集- 詳細は「/△6二銀」を参照
この銀を上がると手が遅れるため、▲2六歩△3四歩▲2五歩△3二金としても、▲2四歩△同歩▲同飛と飛車先を交換されてしまう。
第76期名人戦七番勝負第6局 佐藤天彦名人 - 羽生善治竜王 「形が悪いからとか、美学に反する、重いといった抽象的な判断で、可能性を捨てることはない。どんな手でも、やってみる価値はある。」 7四の歩を取らせる相掛形の構想である。
第43期棋王戦五番勝負 第5局 渡辺 明棋王 - 永瀬拓矢七段 棒銀の▲2五銀は成立しないが、本譜は▲36銀形を陽動に用いて対策している。 △3三銀形が持久戦に不利ならば△4四歩3三桂形で受け、手つまりを狙うのは後手番特有のニュアンス。
第68回NHK杯2回戦第6局 三枚堂達也 六段 - 渡辺 明 棋王 ▲47銀雁木で対抗する。 それに対し角頭に早く仕掛ける。
9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
香 | 桂 | 金 | 王 | 銀 | 桂 | 香 | 一 | ||
飛 | 銀 | 金 | 角 | 二 | |||||
歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 三 | |
飛 | 四 | ||||||||
五 | |||||||||
歩 | 六 | ||||||||
歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 七 | ||
角 | 八 | ||||||||
香 | 桂 | 銀 | 金 | 玉 | 金 | 銀 | 桂 | 香 | 九 |
9 | 8 | 7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 1 | |
香 | 桂 | 金 | 王 | 桂 | 香 | 一 | |||
飛 | 銀 | 金 | 角 | 二 | |||||
歩 | 歩 | 銀 | 歩 | 歩 | 歩 | 歩 | 三 | ||
歩 | 四 | ||||||||
歩 | 五 | ||||||||
銀 | 歩 | 歩 | 六 | ||||||
歩 | 歩 | 角 | 歩 | 歩 | 歩 | 七 | |||
金 | 銀 | 飛 | 八 | ||||||
香 | 桂 | 玉 | 金 | 桂 | 香 | 九 |
△7二銀
編集神崎健二 vs. 北浜健介 戦(2017年10月、第3期叡王戦段位別予選)、矢内理絵子 vs. 泉正樹 戦(2010年8月12日、第12回京急将棋まつり)など。
△5二金右
編集△4二玉
編集深浦康市が奨励会時代に指している(1989年4月27日 対庄司俊之戦 三段リーグ)。
△5二玉
編集△1四歩
編集- 詳細は「/△1四歩」を参照
阪田三吉が天龍寺の決戦で用いた手。△9四歩より咎めにくいとされる[4]。
その後も2017年1月 ▲菅井竜也 vs.△山本真也戦(第43期棋王戦予選)など数局指されている。
△9四歩
編集- 詳細は「/△9四歩」を参照
阪田三吉が南禅寺の決戦で用いた手。 先崎学も佐藤康光に対して、2001年7月の日本シリーズで用いている。
△7四歩
編集- 詳細は「/△7四歩」を参照
▲5五角?と飛車取りに出られるが、△3四歩▲8二角成△同銀▲8八銀と飛車角交換になったときに、△9五角!の王手が防ぎづらく、▲8六飛または▲7七飛と飛車を打って受けるしかない(▲7七銀??は△同角右成▲同桂△同角成の二枚替え、▲4八玉??、▲6八飛??は△8八角成で銀がタダ)。
△6四歩
編集△6二飛
編集2009年7月 新人王戦、▲菅井竜也 vs.△小泉祐 戦で、後手の小泉が実戦する。戦型は先手石田流対後手右四間に。
△7二飛
編集2009年6月 新人王戦、▲中村亮介 vs.△小泉祐 戦で、後手の小泉が実戦する。後手が勝利。
△9二飛
編集2011年11月 新人王戦、▲上村亘 vs.△小泉祐 戦で、後手の小泉が実戦する。後手が勝利。
△4二金
編集△6二金
編集- 詳細は「/△6二金」を参照
△6二金・△8一飛型は一つの形だが、2手目△6二金は△6二銀と同様、▲2六歩と突かれると飛車先が受からない。
ただし▲2六歩に△6一金と戻した場合、後手は2手掛けて何も指しておらず論外だが、▲2五歩△3四歩にすぐ▲2四歩△同歩▲同飛?と行くのは、△8八角成▲同銀△3三角で、△8三歩型が生きる可能性がある。
渡辺明、郷田真隆は、2手目△6二玉は右玉としてわかるが、△6二金は不自然、意味がわからないと評している。
森内俊之の見解では、2手目△6二銀に比べて明らかに損。
広瀬章人、豊島将之は、2手目△6二玉よりは良い可能性をわずかに示唆した[5]。
永瀬-小泉 2012の実戦例がある。
△6二玉
編集- 詳細は「新米長玉」を参照
ボンクラーズ-米長 2012で米長邦雄が指した手で、新米長玉と呼ばれる。
▲2六歩と突かれると飛車先が受からず損とされるが、コンピュータ将棋の多くは飛車先の交換を重視せず、▲7五歩や▲6八飛と振り飛車にすることが知られている。
序盤でコンピュータの定跡を無効化し、力戦にして厚みを築いて入玉を目指す狙いがある。
△7二金
編集△5二金左
編集△9二香
編集△1二香
編集△2四歩
編集- 詳細は「/△2四歩」を参照
▲2六歩△3四歩で後手角頭歩戦法の出だし。以下▲2五歩△同歩▲同飛には、△8八角成▲同銀△3三桂▲2三飛成に△2二飛の飛車ぶつけが狙い。
△4四歩
編集- 詳細は「パックマン」を参照
パックマン。▲4四同角に△4二飛と回って△4七飛成を狙う。
脚注
編集参考棋譜
編集- 1937年2月5日 南禅寺の決戦 ▲木村義雄八段 対 △阪田三吉
- 1937年3月22日 天龍寺の決戦 ▲花田長太郎八段 対 △阪田三吉
- 2006年12月13・14日 第19期竜王戦七番勝負第6局 ▲渡辺明竜王 対 △佐藤康光棋聖
- 2006年12月20・21日 第19期竜王戦七番勝負第7局 ▲渡辺明竜王 対 △佐藤康光棋聖
- 2007年12月12・13日 第20期竜王戦七番勝負第6局 ▲渡辺明竜王 対 △佐藤康光二冠(棋聖・棋王)
- 2012年1月14日 第1回将棋電王戦 ▲ボンクラーズ 対 △米長邦雄永世棋聖
- 2012年2月9日 第43期新人王戦2回戦持将棋・千日手指し直し局 ▲永瀬拓矢四段 対 △小泉祐奨励会三段
参考文献
編集- 佐藤康光『佐藤康光の石田流破り』日本将棋連盟、2010年。ISBN 978-4-8399-3510-8
- 鈴木宏彦「イメージと読みの将棋観」、『将棋世界』2008年1月号、ページ数不明、日本将棋連盟。
- 森内俊之、渡辺明、谷川浩司、佐藤康光、久保利明、広瀬章人『トップ棋士頭脳勝負 イメージと読みの将棋観』第3巻、日本将棋連盟、2014年。ISBN 978-4-8399-5017-0(一部初出・鈴木宏彦「イメージと読みの将棋観」、『将棋世界』2010年11月号-2012年6月号)
- 渡辺明、郷田真隆、森内俊之、久保利明、広瀬章人、豊島将之『トップ棋士の感覚 〜イメージと読みの将棋観〜』日本将棋連盟、2015年。ISBN 978-4-8399-5571-7(一部初出・鈴木宏彦「イメージと読みの将棋観」、『将棋世界』2012年7月号-2013年6月号)