なし
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なし
1手目▲9六歩まで

将棋の初手は、将棋/▲7六歩将棋/▲2六歩が主であるが、▲9六歩も指されたことがある。

安恵照剛がそれぞれ加藤一二三(1978年)と米長邦雄(1981年)と羽生善治(1992年)に、林葉直子が佐藤秀司(1991年、新人王戦トーナメント1回戦)に、深浦康市が羽生善治(1996年、王位戦第1局)に、指している。   安恵対加藤戦は、▲7八銀型ひねり飛車に、安恵対米長戦は、先手の矢倉に後手米長は変形の四間飛車に構えた。安恵対羽生戦は、9六歩型で相横歩取りの展開になるが、先手が先に9筋を突いているので、後手の羽生が先に横歩を取っている。

林葉対佐藤戦は、佐藤は△3四歩とし、林葉の▲4六銀型中飛車に飛車先を突かず△5四歩-△5三銀-△3三銀型に構え、林葉は中飛車のまま▲2六歩ー▲2五歩、そして▲6九玉、▲9七角と変形の端角中飛車に構えた。なおこれに勝利した後手佐藤は決勝進出し、新人王戦を制する。

深浦対羽生戦では、先手深浦は角道を開けない端角(9七角)中飛車に。羽生は矢倉早囲いの進め方で中央を熱くし、深浦は5六飛と浮き飛車に構えた。深浦は「羽生さんは強いです。でも、それほどの差はないと思います」と発言。シリーズ途中三浦弘之が羽生を破り棋聖位を奪取している。作戦については「9六歩は、先手ならこう指すつもりでした。7七歩の形は堅いんです。それを生かす指し方はないかということで、7六歩は突かない方針でした」と、深浦は回想している。

山崎隆之も久保利明相手に、2020年の棋聖戦予選の本戦1回戦で指している。初手▲9六歩のあと、後手の久保も△9四歩とし、以下▲7八銀△3四歩▲6六歩と、山崎流のパックマンを仕掛けた。

早い時期の▲7八銀については、△3四歩と突かれると▲7六歩と突けないから先手が悪いと、中原誠の著書「中原の将棋教室」(池田書店)にも書かれている。当然の△3四歩に、▲6六歩でこれを△同角なら▲6八飛△5七角成▲6三飛成もしくは▲7六歩がある。この変化は類似局面が大山康晴の著書「大山名人の将棋教室」(池田書店)に記されている。▲6三飛成以下は△5二金右▲6五竜△6二飛とあるが、本局は▲7八銀が入っているため、▲5五竜に△6七飛成はないからか、久保は△4二銀とし、14手目に△3二飛として、山崎は居玉のまま中飛車にし、この対局は山崎が勝利する。

山崎は2回戦の三浦弘行戦でも初手に将棋/初手#▲7八金と指してこれも勝利し、準決勝に進出している。

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