月
月(つき)は地球の唯一の自然衛星であり、地球に最も近い天体である。地球からの平均距離は約384,400kmで、太陽に次いで地球から見える最も明るい天体である。
基本データ
編集- 直径:3,474.8 km(地球の約27%)
- 質量:7.342×1022 kg(地球の約1.2%)
- 平均密度:3.344 g/cm3
- 表面重力:1.62 m/s2(地球の約16.6%)
- 公転周期:27.32166日(恒星月)
- 自転周期:公転周期と同じ(同期自転)
- アルベド:0.12(可視光での反射率)
起源
編集現在最も有力とされる月の形成理論は巨大衝突説である。約45億年前、火星サイズの天体(テイア)が原始地球に衝突し、その破片が集積して月が形成されたとされる。この説は以下の観測事実をよく説明する:
- 月の岩石の同位体比が地球のものと類似している
- 月の密度が地球よりも小さく、鉄核が比較的小さい
- アポロ計画で回収された月の岩石の年代が約45億年前である
表面と構造
編集地形
編集月の表面は主に以下の特徴を持つ:
月には大気がほとんど存在せず(表面気圧は10-10Pa程度)、風化作用が極めて少ないため、数十億年前に形成されたクレーターも良好に保存されている。
内部構造
編集月の内部は以下の層構造を持つ:
- 地殻:平均厚さ約50 km、主にカルシウムとアルミニウムに富む斜長岩からなる
- マントル:主にかんらん石と輝石からなる
- 核:半径約350 kmの固体の鉄を主成分とする外核と、半径約240 kmの液体の内核
表面温度
編集月の表面温度は、大気がほとんどないため極端な変動を示す:
- 昼間:約127°C
- 夜間:約-173°C
この温度差は地球の極端な気候よりもはるかに大きい。
月の運動
編集月の位相
編集月は地球の周りを公転する過程で、太陽光の照射角度の変化により様々な位相を見せる:
- 新月→上弦の月→満月→下弦の月→新月
この変化は朔望月(約29.5日)の周期で繰り返される。
秤動
編集月は地球に対して常に同じ面を向けているが、軌道の離心率や軌道傾斜角のため、地球から見える月の表面は微妙に変化する。この現象を秤動(ひょうどう)という。
地球への影響
編集月は地球に以下のような重要な影響を与えている:
- 潮汐:海洋潮汐の主要因
- 自転軸の安定化:地球の自転軸の傾きを安定させ、安定した気候をもたらす
- 地球の自転速度の減速:潮汐摩擦により地球の自転が徐々に遅くなっている
探査の歴史
編集主要な探査ミッション
編集年 | ミッション | 国 | 成果 |
---|---|---|---|
1959 | ルナ2号 | ソ連 | 初の月面衝突 |
1969-1972 | アポロ計画 | アメリカ | 有人月面探査、サンプルリターン |
2008-2009 | かぐや | 日本 | 高精度な月の重力場マッピング |
2020- | アルテミス計画 | アメリカ他 | 新たな有人月面探査計画 |
文化的影響
編集月は古来より人類の文化に大きな影響を与えてきた: