民法第1024条
条文
編集- 第1024条
- 遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。
解説
編集- 相続開始前に、遺言者が遺言書の全部又は一部を破棄した場合、及び遺贈の目的物を遺言者が故意に目的物を破棄した場合の取り扱いについて定める。明治民法第1126条を継承。
- 遺言者による、遺言書の全部又は一部の破棄は、遺言が撤回されたものと擬制される。
- 遺言者が故意(狭義の故意ではなく、過失を含んだ遺言者に責任が認められる場合)により遺贈の目的物を破棄した場合も、遺言が撤回されたものと擬制される。そもそもこの場合、相続財産にも含まれないので、遺留分計算の基礎からも除かれる。反対解釈をすると、遺言者の責任によらず目的物が破壊された場合、当該目的物は、例えば損害賠償請求権等の形で相続財産に含まれ、遺留分計算の基礎にも含まれる。
参照条文
編集参考
編集明治民法において、本条には以下の規定があった。現行第921条に相続人の単純承認の擬制として継承された。
- 左ニ掲ケタル場合ニ於テハ相続人ハ単純承認ヲ為シタルモノト看做ス
- 相続人カ相続財産ノ全部又ハ一部ヲ処分シタルトキ但保存行為及ヒ第六百二条ニ定メタル期間ヲ超エサル賃貸ヲ為スハ此限ニ在ラス
- 相続人カ第千十七条第一項ノ期間内ニ限定承認又ハ放棄ヲ為ササリシトキ
- 相続人カ限定承認又ハ放棄ヲ為シタル後ト雖モ相続財産ノ全部若クハ一部ヲ隠匿シ、私ニ之ヲ消費シ又ハ悪意ヲ以テ之ヲ財産目録中ニ記載セサリシトキ但其相続人カ放棄ヲ為シタルニ因リテ相続人ト為リタル者カ承認ヲ為シタル後ハ此限ニ在ラス
- 明治民法第1126条
- 遺言者カ故意ニ遺言書ヲ毀滅シタルトキハ其毀滅シタル部分ニ付テハ遺言ヲ取消シタルモノト看做ス遺言者カ故意ニ遺贈ノ目的物ヲ毀滅シタルトキ亦同シ
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