民法第459条の2
条文
編集(委託を受けた保証人が弁済期前に弁済等をした場合の求償権)
- 第459条の2
- 保証人が主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、主たる債務の弁済期前に債務の消滅行為をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。この場合において、主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
- 前項の規定による求償は、主たる債務の弁済期以後の法定利息及びその弁済期以後に債務の消滅行為をしたとしても避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
- 第1項の求償権は、主たる債務の弁済期以後でなければ、これを行使することができない。
解説
編集2017年改正により制定。
- 第1項
- 主たる債務の弁済期前に債務消滅行為をしたとき
- 保証人は、場合によって、債権者及び主たる債務者の態様に左右される状況を回避すべく、主たる債務の弁済期が到来する前に弁済等による債務消滅行為をすることができる。
- その保証人は、主たる債務者に対し、主たる債務者がその当時利益を受けた限度において求償権を有する。
- 弁済期前の債務消滅行為に費やした自己の財産について、保証人は、主たる債権者に対して、「利益を受けた限度(≒債務の減少分)」において求償できる。
- 主たる債務者が債務の消滅行為の日以前に相殺の原因を有していたことを主張するときは、保証人は、債権者に対し、その相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
- 主たる債務者が、相殺原因を有している場合は、債権者にその債務の履行を請求し、求償分に充当する。
- 主たる債務の弁済期前に債務消滅行為をしたとき
- 第2項
- 求償の範囲は原則として、「利益を受けた限度(≒債務の減少分)」であるが、求償の提供が弁済期以後になった場合、その経過利息等は含まれる。
- 第3項
- 主たる債務者は、主たる債務の弁済期まで期限の利益を有しているのであるから、弁済期前に債務消滅行為があったとしても、弁済期まで求償に応じる義務はない。
参照条文
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