民法第537条
条文編集
- 第537条
- 契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約したときは、その第三者は、債務者に対して直接にその給付を請求する権利を有する。
- 前項の契約は、その成立の時に第三者が現に存在しない場合又は第三者が特定していない場合であっても、そのためにその効力を妨げられない。
- 第1項の場合において、第三者の権利は、その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時に発生する。
改正経緯編集
2017年改正により、第2項を新設。旧第2項を第3項とし条項の文言を修正。
解説編集
「契約により当事者の一方が第三者に対してある給付をすることを約」する契約を「第三者のためにする契約」という。
本来契約の当事者でない第三者に、給付(債務の履行)を債務者に対して請求する権利が発生することになるが、その権利の発生時点は、「その第三者が債務者に対して同項の契約の利益を享受する意思を表示した時」(受益の意思表示)と規定されている。
典型として、受取人を指定する生命保険が挙げられる。この場合、被保険者(保険契約者)が要約者、保険会社が諾約者、生命保険金の受取人が受益者という関係に立ち、被保険者が死亡するなどして、保険の条件が成就、受取人が受け取りの意思を示せば、受取人が債権者、保険会社は債務者となる。
参照条文編集
判例編集
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