法学民事法民法コンメンタール民法第4編 親族 (コンメンタール民法)

条文 編集

(重婚の禁止)

第732条
配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない。

解説 編集

重婚の禁止を定めた規定であり、本条に反してなされた婚姻は取り消しうる。ここでいう重婚の対象は、法律上の婚姻であって、いわゆる重婚的内縁は問題とならない。戦後の民法改正においても、明治民法の規定(明治民法第766条)がそのまま受け継がれている。

法律婚は戸籍制度に裏打ちされているので、既に配偶者のあるものが、別の相手との婚姻届を提出するだけでは、外見的であっても婚姻が成立することはなく、ありうるとすれば、戸籍事務の過誤や、前婚が虚偽の離婚届け等により解消されその間隙に婚姻届が受理された場合(前婚の離婚は無効なので依然として婚姻状態にある)など、きわめて、稀なケースである。

当事者の一方が日本以外の法に服する国際結婚については国際私法において解決すべき事案であって、法の適用に関する通則法第24条による。国際結婚に関して婚姻の成立は当事者双方が適法であることを、満たしていなければならない要件(双方的要件)であり、婚姻の成立には双方の本国法で当事者の一方の本国法が重婚を禁止している場合は、相手方の本国法上、重婚が許されていても、重婚は認められない。したがって、外国法に服する一方の当事者が、その本国法において、別の相手方と婚姻しているという法律関係が認められる場合、重婚となる。

関連条文 編集

判例 編集

  • 婚姻取消 (最高裁判決 昭和57年09月28日)民法第744条民法第749条
    重婚における後婚の離婚による解消と後婚の取消の訴えの許否
    重婚において、後婚が離婚によつて解消された場合には、特段の事情のない限り、後婚の取消を請求することは許されない。

参考 編集

明治民法において、本条には以下の規定があった。

  1. 戸主ノ親族ニシテ其家ニ在ル者及ヒ其配偶者ハ之ヲ家族トス
  2. 戸主ノ変更アリタル場合ニ於テハ旧戸主及ヒ其家族ハ新戸主ノ家族トス
    • 「家ニ在ル」;同一の戸籍にある

前条:
民法第731条
(婚姻適齢)
民法
第4編 親族

第2章 婚姻

第1節 婚姻の成立
次条:
民法第733条
(再婚禁止期間)
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