法学民事法民法コンメンタール民法第5編 相続

条文

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(受遺者の死亡による遺贈の失効)

第994条
  1. 遺贈は、遺言者の死亡以前に受遺者が死亡したときは、その効力を生じない。
  2. 停止条件付きの遺贈については、受遺者がその条件の成就前に死亡したときも、前項と同様とする。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。

解説

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遺贈の効力についての規定(明治民法第1096条由来)。
  1. 遺言者の死亡前に受遺者が死亡したときは、遺贈は無効となる。受遺者への遺贈(予定)分が相続は発生しない。
  2. 停止条件付き遺贈について、受遺者が条件成立前に死亡したときも無効となる。ただし、遺言者が、それを見越して、その対応について意思表示した場合は、それに従う。
    • A(遺言者)は、B(受遺者)に「Aの未成年の子Cの養育をBに委託する。Cが成人に達したら、遺産のうち1000万円をBに贈与する」との遺言を残して死亡したが、Cが成人に達する前、Bが死亡した。
      • 第2項により遺言は無効となる。
      • Aが「Cが成人となる前に、Bが死亡した場合、Bが指定する者がこれを継承する」と遺言に残していた場合、有効性は失われない。

参照条文

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参考

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  1. 明治民法において、本条には相続における直系卑属の地位に関する以下の規定があった。趣旨は、民法第887条に継承された。
    被相続人ノ直系卑属ハ左ノ規定ニ従ヒ遺産相続人ト為ル
    1. 親等ノ異ナリタル者ノ間ニ在リテハ其近キ者ヲ先ニス
    2. 親等ノ同シキ者ハ同順位ニ於テ遺産相続人ト為ル
  2. 明治民法第1096条
    1. 遺贈ハ遺言者ノ死亡前ニ受遺者カ死亡シタルトキハ其効力ヲ生セス
    2. 停止条件附遺贈ニ付テハ受遺者カ其条件ノ成就前ニ死亡シタルトキ亦同シ但遺言者カ其遺言ニ別段ノ意思ヲ表示シタルトキハ其意思ニ従フ

前条:
民法第993条
(遺贈義務者による費用の償還請求)
民法
第5編 相続

第7章 遺言

第3節 遺言の効力
次条:
民法第995条
(遺贈の無効又は失効の場合の財産の帰属)
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