「量子力学」の版間の差分

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→‎不確定性原理: いくつもある「不確定性」の議論 関数の波動性にもとづく数学的なフーリエ解析的な「不確定性」とは別に、波動とは無関係に測定そのものの原理的限界としての「不確
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さて、この記事(wikibooks『量子力学』)では今後、位置と運動量が同時に定められないことを前提として認めてしまい、ある物理的状態を表わすために必要な物理量がどんなものであるかを考える。
 
 
== いくつもある「不確定性」の議論 ==
関数の波動性にもとづく数学的なフーリエ解析的な「不確定性」とは別に、波動とは無関係に測定そのものの原理的限界としての「不確定性」を考える場合がある。
 
なお、啓蒙書や、古い物理学書では、これら別々の「不確定性」が、混同されている場合があるので、読者は注意が必要である。
 
さらに、電子の二重スリットの回折実験の結果を、「不確定性」の現象と解釈する流儀もある。
 
 
仮に、物理学の量子力学で言われる「不確定性」を、おおまかに以下のように分類したとしよう。
:パターンA: 波動的な関数にともなう、数学におけるフーリエ解析的な「不確定性」
:パターンB: 波動とは無関係に、測定器が測定対象を擾乱(じょうらん)してしまう、という原理的限界を考えての「不確定性」。
:パターンC: 電子の二重スリットの干渉実験の結果を「不確定性」の現象と解釈する流儀。
 
 
パターンBの「不確定性」とは、波動とは無関係に、微細な物質を測定する際には、測定器が測定対象にぶつかるなどして、測定対象を動かしてしまう・・・という発想である。極端な事を言えば、「仮に電子に波のような性質が無かったとしても、電子は微細であるので、測定の際には、測定器が電子に近づいたり、ぶつかったりするなどのように、測定器が測定対象を擾乱(じょうらん)してしまう現象が怒ってしまうので、電子の位置が動いてしまう。そのため、電子の正確な位置を測れない。」・・・という発想である。
 
こういう意味で、量子力学の「不確定性」を解釈している物理学書もある。
 
[[ファイル:double-slit.PNG|thumb|right|350px|電子の二重スリットの干渉実験]]
[[ファイル:Doubleslitexperiment_results_Tanamura_1.gif|thumb|right|250px|二重スリット実験の結果]]
 
パターンCの「電子の二重スリットの干渉実験の結果を「不確定性」の現象と解釈する流儀」とは、例えば「二重スリットのうち、どちらのスリットを電子が通ったのか?」という疑問は、そういう疑問は粒子的な疑問であるとして、波動を扱う量子論では無意味な疑問である、とする発想である。
 
高校物理で習うような(通常の)光についての二重スリットをもちいた干渉実験において、光はスリットの穴の2つのうち、「二重スリット実験で干渉を起こす光は、どちらのスリットを通ったか?」なんて考えない。それと同様に、量子力学においても、電子はどちらのスリットを通ったかは考える必要は無い・・・とする発想である。
 
もし、どちらのスリットを通ったかハッキリとさせるために(位置をハッキリさせる事に相当する)、もし片方のスリットの穴の付近に測定器を近づけてしまったら、そもそも純粋な「二重スリット」ではなくなってしまい、そもそもキレイな(歪みない)干渉現象が起きなくなってしまうだろう・・・という発想である。
 
そして、干渉結果がゆがんでしまう事を、それは波長(つまり運動量)が歪んだ事だと解釈し、よって、位置と運動量との「不確定性」だと解釈する、・・・という流儀である。
 
 
さて、一般の読者や大学学部生にとっては、当面は、この数種類もある「不確定性」の区別にこだわる必要はないだろう。なぜなら分野ごとに、どちらの意味の「不確定性」を重視しているかは異なる。なので学生は、それぞれの分野に合わせるが良い。
 
説明のため、おおまかにパターンAとパターンBとパターンCの3種類だけに分類したが、実は物理学の議論では、もっと多くのパターンが混在しており、いまだに論争中である。
 
例えば、パターンAとパターンBとパターンCを合わせて、ひとつの「不確定性」の用語で説明する、別のパターンもある。
 
これとは別に、さらに、例えば、パターンAの不確定性とパターンBの不確定性とを区別すべきだ、という主張の「不確定性」もある。
 
 
このように「不確定性」の説明については、何種類ものパターンがあり、この何種類もの「不確定性」をどう整理するかは、まだ物理学者が議論中なので、学生は深入りする必要は無い。
 
== シュレーディンガー方程式の導入 ==