「ゲームプログラミング/バランス調整」の版間の差分

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→‎RPGのダメージ計算式: DPS (Damege Per Second) の概念
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せっかくゲーム序盤の難易度を低くして、たとえば低レベルでも進行できるようになっても、ゲーム終盤の難易度を上げてしまうと、ゲーム終盤でレベル上げを
する必要が生じてしまい、序盤の難易度設計が無駄になってしまいます。
 
どうしても後半の難易度を難しくするなら、それはゲームクリア後シナリオなどに回しましょう。クリア後シナリオ以外で難しいと、苦手なプレイヤ-はそのゲームのストーリーのクライマックスを体験できなくなってしま宇野で、そのゲームの面白さが大幅に減ってしまいます。
 
 
また、シミュレーションRPGなどの場合で、経験値の入手回数が限定されている場合などでは、もし序盤の難易度が簡単なのに終盤の難易度は高いと、ゲーム終盤でレベル不足になるなどして、クリア不能(詰み)になる可能性があります。
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(必要なテストプレイの回数) ∝ (ゲーム中の重大な選択肢の数) × (難易度の高さ)
でしょうか。
 
=== DPS (Damege Per Second) の概念 ===
最近のRPGゲームには攻撃コマンド選択時に「二段斬り」などのスキル選択ができます。
 
スキルを設計するとき、昔の初心者のやりがちなミスとして、最近は減ってきましたが、スキルの結果の見かけの数値にゴマかされて、実はスキルが強くなってない特技を設計してしまうミスが時々ありました。
 
たとえば典型的なのは特技『ためる』です。これは、次回ターン時のダメージを数倍に倍増し、次回ターンの1回だけ、ダメージを倍増させる特技です。
 
この『ためる』は必ず、次回ターン時のダメージが2倍を超えないと(たとえば2.5倍にならないと)、無意味です。
 
なぜなら、『ためる』コマンドを選択したターンは、攻撃をしてないからです。
 
 
つまり、スキルを使わずに普通に2ターン通常攻撃した場合、ダメージ量は単純計算で
:1+1=2
より、2ターンぶんのダメージです。
 
いっぽう、『ためる』コマンドを使えば、それがもし2倍しかダメージが倍増しない場合、
:0+2=2
で、結果は同じ通常攻撃2発ぶんのダメージのままです。
 
 
計算すれば子供でも分かる理屈ですが、しかしファミコン時代には市販の商業ゲームですら、こういうミスがありました。たとえばファイナルファンタジー3の職業『空手家』のスキル『ためる』です。
 
最近は啓蒙が進んで、このようなミスは減りましたが、しかし時々みかけるので、気をつけましょう。
 
 
このようなミスを犯さないために必要な概念としては、'''DPS''' ('''D'''amege '''P'''er '''S'''econd) の概念です。これは1秒あたりのダメージ量、という意味です。
 
もともと欧米のアクションゲームについての理論研究に由来する用語なので、単位が 秒 (second)になっていますが、RPGに応用する場合には単位をターンに変えるなどして工夫しましょう。
 
 
このDPSの概念を使って、上述の『ためる』コマンドの設計ミスを説明すれば、つまり、1ターンあたりのダメージ量(DPS)が上昇していないのが問題点です。
 
 
では、私たちが改善策を考えましょう。数学的に考えれば中学レベルで充分で、
: 0 + x > 2
を満たす変数xを設計するだけの問題です。
 
なので、たとえば、『ためる』後の攻撃ダメージ量を「2.5倍」とか「3倍」とかの数値に設計すればいいのです。
 
 
 
では、次に応用問題を考えましょう。
 
「『ためる』を2回続けると、さらにダメージ量がアップ」などのシステムを導入するときも、必ずDPSが増えるようにしましょう。
 
たとえば、この場合、ダメージを与えるのに最低3ターンが必要なので、不等式を考えれば、
 
変数xについての
:0 + 0 + x > 3
を満たさないといけません。
 
 
つまり、『ためる』2回後のダメージ量は、最低でも「3.5倍」のように3を超える数値、あるいは整数に限定すれば、たとえば「4倍」とか「5倍」とかになっている必要があります。
 
== 各論 ==