「薬理学/生理活性物質と消化器作用薬」の版間の差分

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;過敏性腸症候群
過敏性腸症候群(IBS)とは、心理的な要因によって、腸の調子が悪くなり下痢または便秘を起こす症状であるが、通常は下痢になる場合が多い<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P167</ref>。
 
治療薬として、'''ポリカルボフィルカルシム'''が下痢型、便秘型のいずれにも使われる。ポリカルボフィルカルシムはアクリルポリマーであり、水分を吸収して膨潤する<ref>『パートナー薬理学』、P338</ref><ref>『はじめの一歩の薬理学』、P167</ref>。
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下痢型IBSの場合、'''ラモセトロン'''も有効である。ラモセトロンはヒスタミンの5-HT遮断薬であり、もともとラモセトロンは制吐薬として承認されていたが<ref>『パートナー薬理学』、P338</ref>、下痢を抑える作用もある。
 
また、生理学的には、5-HT受容体は過敏性腸症候群に関わっている<ref>『標準薬理学』、P541</ref>と考えられている。
 
便秘型IBSにはリナクロチドが使われる<ref>『パートナー薬理学』、P338</ref>。
 
 
=== 潰瘍性大腸炎 ===
'''サラゾスルファピリジン'''はアゾ基を持つ<ref>『NEW薬理学』、P495</ref>サルファ薬である。
 
サラゾスルファピリジンが潰瘍性大腸炎の治療に用いられてきた。
 
本薬はプロドラッグであり<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P169</ref>、腸内でアゾ結合が開烈するのでサルファピリジンと5-アミノサリチル酸に分かれる。
 
このうち、5-アミノサリチル酸に薬効がある<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P169</ref>と考えられている<ref>『NEW薬理学』、P495</ref>。むしろ、サルファピリジンは副作用の原因となるとも考えられている<ref>『標準薬理学』、P547</ref>。
 
つまりサルファピリジンは不要なので、5-アミノサリチル酸そのものを製剤化したのが'''メサラジン'''である<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P169</ref><ref>『NEW薬理学』、P495</ref>。
 
 
この他、潰瘍性大腸炎の治療には、副腎皮質ステロイド、免疫抑制剤が使われる<ref>『はじめの一歩の薬理学』、P168 , 表8</ref><ref>『標準薬理学』、P547 ,P548</ref>。
 
潰瘍性大腸炎の治療に有効な免疫抑制剤としては、シクロスポリンやアザチオプリンのほか、抗TNF-αモノクローナル抗体の'''インフリキシマブ'''およびアダリムマブ<ref>『標準薬理学』、P548</ref><ref>『パートナー薬理学』、P339</ref>が有効。
 
なおインフリキシマブはクローン病にも有効である。
 
== 脚注 ==