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行列式編集

行列式は、 行列   に対して、

  で与えられる数である。 ここで、   は、あらゆる整数のあらゆる置換である。 ここで置換とは、ある整数の集合を取ったとき、それらが 互いに重複しないように ある値をある値に対応させたものである。 例えば、整数の組1,2,3をとったとき   は1つの置換である。 置換の数はn個の整数の組を用いたときn!個ある。 例えば、 3個の整数の組では、  ,  ,  ,  ,  ,   の(6=3!)組となる。

1番上の全ての整数が変化しない 置換を単位置換と呼ぶ。単位置換から偶数回だけの 変更を行なって得られる置換を偶置換、奇数回だけの 変更を行なって得られる置換を奇置換と呼ぶ。 例えば、2,3,6番目の置換は、それぞれ 単位置換から1度だけ対応する値を交換して得られるので 奇置換である。(それぞれ2と3、1と2、3と1)を交換して 得られる。 単位置換は0階の交換で得られるので偶置換であり 残った2つはそれぞれ2組の数値の入れ換えをすることで 得られるので、偶置換である。

行列式の定義の式   で、   は、   が偶置換であるとき、+1、奇置換であるとき-1となる。


計算例

例えば、2次行列では、

  では、     となる。 3次の行列式では、     となる。 これは、「Sarrus(サラス)の展開」または「Sarrusの方法」、「たすきがけの法」と呼ぶものであり、斜めに数を掛け合わせていったものに等しいことに注意。 例えば、第1項 は、1行1列のaから、3行3列の までを右下に向かって 順に書けていったものに等しい。また、次のbfgは、1行2列のbから始めて、 右下に向かってかけ算していったものに等しい。2行3列のfのあとは 端を突き抜けて、3行1列の にいたることに注意。 4から6番目の項は、右下に向かってではなく左下に向かって 書けていった値となり同時にかけ算した値に(-1)をかける必要がある。

 以降の行列ではこのような簡単な計算法は 得られない。 項の数は  行列では、  個となり、計算機を使わないでの計算は困難になる。


行列式は   という性質を持っている。


小行列式編集

  に対して、 m行とr列を除いて得られる(n-1)*(n-1)行列の行列式を、 行列Aのm行r列に関する小行列式と呼ぶ。

行列式の展開編集

行列式の計算を簡単に行なうため、 式の展開を導入する。

  に対して、

 、または

  が成り立つ。

ここで、   は、 m行k列に関する行列Aの小行列式である。


導出

例えば、n*nの行列式において mk項を含む値は、 他に、m行または、k列に含まれる項を含んでいてはならない。 (これは、行列式に含まれる値がそれぞれn個の整数の置換であり、 その中でm行またはk列を表わす数は、1度しか含まれていないことによる。) またそれ以外の項は、全体の置換が偶置換であったら前の符合が1になるように、 奇置換であったら前の符合が-1になるように計算されるが、 これはまさしく、m行とk列を除いた(n-1)*(n-1)行列の行列式、 すなわちm行k列に関する行列Aの小行列式 に 他ならない。 同様の考察を行列中の他の項についても繰りかえすと、 行列式の展開の式を得る。

例えば、3行3列の行列式の計算を行なうとき、 行列式の展開を使うと、

 

となり、2次の行列の行列式の計算に帰着する。

余因子行列編集

ある行列A に対して、

  で定義される行列Cを行列Aの余因子行列と呼ぶ。 ここで は、 行列Aの行j列iに関する小行列式である。