法学環境法自然公園法コンメンタール自然公園法

条文

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(風景地保護協定の締結等)

第43条

  1. 環境大臣若しくは地方公共団体又は第四十九条第一項の規定により指定された公園管理団体で第五十条第一号に掲げる業務のうち風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理に関するものを行うものは、国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があると認めるときは、当該公園の区域(海域を除く。)内の土地又は木竹所有者又は使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者(以下「土地の所有者等」と総称する。)と次に掲げる事項を定めた協定(以下「風景地保護協定」という。)を締結して、当該土地の区域内の自然の風景地の管理を行うことができる。
    一 風景地保護協定の目的となる土地の区域(以下「風景地保護協定区域」という。)
    二 風景地保護協定区域内の自然の風景地の管理の方法に関する事項
    三 風景地保護協定区域内の自然の風景地の保護に関連して必要とされる施設の整備が必要な場合にあつては、当該施設の整備に関する事項
    四 風景地保護協定の有効期間
    五 風景地保護協定に違反した場合の措置
  2. 風景地保護協定については、風景地保護協定区域内の土地の所有者等の全員の合意がなければならない。
  3. 風景地保護協定の内容は、次に掲げる基準に適合するものでなければならない。
    一 自然の風景地の保護を図るために有効かつ適切なものであること。
    二 土地及び木竹の利用を不当に制限するものでないこと。
    三 第一項各号に掲げる事項について環境省で定める基準に適合するものであること。
  4. 地方公共団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣に、国定公園にあつては都道府県知事に協議し、同意を得なければならない。ただし、国定公園について都道府県が当該都道府県の区域内の土地について風景地保護協定を締結する場合は、この限りでない。
  5. 第一項の公園管理団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認可を受けなければならない。


解説

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本条から第2章の「第六節 風景地保護協定」に入る。

風景地保護協定は、2002年の自然公園法改正で創設された制度である[1]

国立公園においては、2004年3月、阿蘇くじゅう国立公園において公園管理団体等により「下荻の草風景地保護協定」が締結されたのが第一号である[1]

第1項は、

風景地保護協定に基づく自然の風景地の管理に関する者が
国立公園又は国定公園内の自然の風景地の保護のため必要があると認めるとき
土地の所有者等と風景地保護協定を締結する

ことに関する規定がある。土地の所有者等とは、「当該公園の区域(海域を除く。)内の土地又は木竹の所有者又は使用及び収益を目的とする権利(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。)を有する者」のことをいう。風景地保護協定に定める事項は、本項各号に規定される。風景地保護協定の目的となる土地の区域は「風景地保護協定区域」と呼ばれ、第2項で、風景地保護協定区域内の土地の所有者等の全員の合意がなければならないと定められている。

第3項は、風景地保護協定の内容についての基準を定めている。この基準は、自然公園法施行規則第15条の10にも関連する規定がある。本項第2号で、土地及び木竹の利用を不当に制限するものでないこと、ということを定めて、土地の所有者等の権利確保が図られている。施行規則第15条の10では、風景地保護協定の有効期間は5年以上20年以下でなければならないとされ(第5号)、また、他の公益等との調整の面からは、風景地保護協定に違反した場合の措置は違反した者に対して不当に重い負担を課するものであってはならないことを明記し(第6号)、公共用物の管理に特段の支障が生じないものでなければならないとされている(第8号)。

第4項は、地方公共団体が風景地保護協定を締結しようとするときに、環境大臣等の同意を得なければならないことに関する規定である。

第5項は、公園管理団体が風景地保護協定を締結しようとするときは、あらかじめ、国立公園にあつては環境大臣の、国定公園にあつては都道府県知事の認可を受けなければならないことを定めている。

脚注

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  1. ^ 1.0 1.1 EICネット環境用語集:「風景地保護協定」

参照条文

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自然公園法施行規則

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(風景地保護協定の基準)

第十五条の十

法第四十三条第三項第三号に規定する環境省令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一  風景地保護協定区域は、その境界が明確に定められていなければならない。
二  風景地保護協定区域は、現に耕作の目的又は耕作若しくは養畜の業務のための採草若しくは家畜の放牧の目的(以下「耕作の目的等」という。)に供されておらず、かつ、引き続き耕作の目的等に供されないと見込まれる農用地以外の農用地を含んではならない。
三  風景地保護協定区域内の自然の風景地の管理の方法に関する事項は、枯損した木竹又は危険な木竹の伐採、木竹の本数の調整、整枝、火入れ、草刈り、植栽、病害虫の防除、植生の保全又は復元、歩道等施設の維持又は補修その他これらに類する事項で、自然の風景地の保護に関連して必要とされるものでなければならない。
四  風景地保護協定区域内の自然の風景地の保護に関連して必要とされる施設の整備に関する事項は、植生の保全又は復元のための施設、巣箱、管理用通路、さくその他これらに類する施設の整備に関する事項で、自然の風景地の適正な保護に資するものでなければならない。
五  風景地保護協定の有効期間は、五年以上二十年以下でなければならない。
六  風景地保護協定に違反した場合の措置は、違反した者に対して不当に重い負担を課するものであつてはならない。
七  風景地保護協定は、関係法令及び関係法令に基づく計画と整合性のとれたものでなければならない。
八  風景地保護協定は、河川法又は海岸法 その他これらの関係法令の規定に基づく公共用物の管理に特段の支障が生じないものでなければならない。

前条:
自然公園法第42条
(報告徴収)
自然公園法
第2章 国立公園及び国定公園
第六節 風景地保護協定
次条:
自然公園法第44条
(風景地保護協定の縦覧等)
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