法学コンメンタール行政手続法

条文

編集

不利益処分をしようとする場合の手続)

第13条
  1. 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。
    一 次のいずれかに該当するとき 聴聞
    イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。
    ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。
    ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。
    ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。
    二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与
  2. 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。
    一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。
    二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。
    三 施設若しくは設備の設置、維持若しくは管理又は物の製造、販売その他の取扱いについて遵守すべき事項が法令において技術的な基準をもって明確にされている場合において、専ら当該基準が充足されていないことを理由として当該基準に従うべきことを命ずる不利益処分であってその不充足の事実が計測、実験その他客観的な認定方法によって確認されたものをしようとするとき。
    四 納付すべき金銭の額を確定し、一定の額の金銭の納付を命じ、又は金銭の給付決定の取消しその他の金銭の給付を制限する不利益処分をしようとするとき。
    五 当該不利益処分の性質上、それによって課される義務の内容が著しく軽微なものであるため名あて人となるべき者の意見をあらかじめ聴くことを要しないものとして政令で定める処分をしようとするとき。

解説

編集

2項1号は「成田新法事件」の最高裁判決を明文化したものである。この事件は工作物使用禁止命令(財産権を制限する不利益処分)の根拠法である弁明・聴聞の手続きの定めのない成田新法が憲法31条の法意に反しないかなどが争われたが、「行政処分の相手方に事前の告知、弁解、防御の機会を与えるかどうかは、行政処分により制限を受ける権利利益の内容、性質、制限の程度、行政処分により達成しようとする公益の内容、程度、緊急性等を総合較量して決定される」として法意に反しないと判断した事案である。

参照条文

編集

判例

編集

前条:
第12条
(処分の基準)
行政手続法
第3章 不利益処分
第1節 通則
次条:
第14条
(不利益処分の理由の提示)


このページ「行政手続法第13条」は、まだ書きかけです。加筆・訂正など、協力いただける皆様の編集を心からお待ちしております。また、ご意見などがありましたら、お気軽にトークページへどうぞ。