高等学校歴史総合/もっと知りたい 国境の過去・現在・未来
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前近代の境界管理
編集現在、世界は様々な国によって成り立っており、それぞれの国が独自の領土を持っています。南極大陸を除く全ての大陸は、土地をめぐる争いがありつつも、それぞれ国境で区切られています。19世紀後半以降、最近の人類史の中でようやく一般的になってきました。当初、地球上には一箇所に留まらない遊牧民など多くの人がいて、国境がどこにあるのか知りませんでした。
近代国家と領土画定
編集1648年、ウェストファリア条約で、ヨーロッパの国々は、自国の主権の範囲について取り決めました。領土の間に明確な線を引かなければならなくなりました(ただし、「飛び地」はありました)。その後、これは世界中で起こりました。また、近代国家として初めて無人島を発見して領有権を主張する競争も行われました。列強同士の勢力争いの結果、そこに住む人々の本来の絆や生活様式を考えずに、人為的に国境線を作ってしまう場合も少なくありません。
現代の日本では、国境は昔からあって気づかないし、変わらないと考えてしまいます。しかし、現実にはそうなっていません。沖縄、樺太、小笠原諸島は、明治維新後に新政府が各国と交渉して日本の領土として認められました。樺太(サハリン島)との境界線は何度も変更されています。
変化する国家の障壁
編集人間の移動だけでなく、商品やお金、情報の流れを管理してきた国境の役割は、国によって、時代によって変化してきました。昔は、国境を越えて情報を共有したり、海外へ渡航したりするのは大変でした。しかし、今はインターネットを通じて世界中に瞬時に情報を送れ、海外旅行もしやすくなりました。また、シェンゲン協定に加盟しているヨーロッパ各国の国民は、お互いに自由に国境を越えられます。自分の国以外の場所で仕事をしたり、学校に行ったりしている人もよく見られます。
国境はなくなるか?
編集交通手段や通信技術の発達によって、今後、ますます人や物、お金、情報などが国境を越えるようになります。しかし、その分、管理を強めようとする動きも出てきています。欧米の一部の国では、テロリストや大量の難民・移民の侵入を防ぐために、国境管理を厳しくしようという動きが出てきています。また、インターネットに規制をかけて、海外の情報が入りにくくする国も出てきています。
しかし、国境によって、大切な人に会えなかったり、仕事に就けなかったり、知りたい情報を手に入れられなかったりしても構わないでしょうか。
国境があるから、傷つけられる人がいるのを忘れてはなりません。「国なんかないと想像してごらん」というのは、ジョン・レノンが歌った曲です。国境はすぐに無くせません。しかし、国境の問題は話し合われ、変わるかもしれません。