高等学校歴史総合/情報通信技術の発達

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 もし、私達がスマートフォンを持っていなかったらどうでしょうか?友人と会う時間を決める時、どこかへの行き方を調べる時、流行を知りたい時、何かを多くの人に伝えたい時、私達は携帯電話を使っています。情報通信技術の発展が、私達の生活や世界をどのように変えてきたのでしょうか。

情報通信技術の発達と社会の変化 編集

 19世紀に電信、ファクシミリ、電話などが発明されてから、情報通信技術は成長しながら変化してきました。20世紀後半になると、技術革新が加速しました。1970年代から、パーソナルコンピュータや携帯電話の開発が進み、1990年代にはインターネットが世界中に急速に広まりました。インターネットによって、遠く離れた場所でも瞬時に情報やデータのやり取りが出来るようになったため、世界的な統合が進みました。2000年代に入ると、スマートフォンの普及や様々な媒体の拡大によって、情報の収集、伝達、発信がさらにしやすくなりました。

 情報通信技術によって、モノを作る経済から、サービスを提供する経済へと変化しました。日本では、第三次産業の重要性が年々高まっており、幅広いサービス産業がその半分以上を占めています。様々なソフトウェアやアプリケーションを利用して、新しい製品やサービス、さらには生活様式が生み出されています。その結果、オンラインショッピングやソーシャルネットワーク(SNS)、映画やテレビ番組、音楽、漫画、アニメ、ゲームなどのコンテンツ産業が発展してきました。18世紀の産業革命と同じように、これらの変化は情報技術(IT)革命と呼ばれています。私達の生活や社会の仕組みに大きな変化をもたらしました。なお、情報通信技術(ICT)とは、情報技術革命を表す言葉として、近年よく使われるようになった言葉です。

情報化社会とその課題 編集

 情報化社会では、国境を越えて人々が情報をやり取り出来るようになり、自由や人権に対する意識、民主主義が高まるという考え方もあります。しかし、政府や大企業などが多くの個人情報を入手出来るようになるので、誰もが監視される社会になるのではという意見もあります。また、情報機器を通じて多くの人が簡単に情報を発信出来るため、フェイクニュースやヘイトスピーチが広がりやすくなり、人々の考え方や行動が変わってしまう可能性があります。情報のデジタル化により、著作権や肖像権などの権利の侵害、個人情報の流出、インターネットを悪用した犯罪なども起こりやすくなっています。災害時には、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用して、素早く、大量に情報を発信・収集出来ます。これは、被災者が必要な情報を得るのに役立ちますが、嘘や誤解を招くような情報が広がる可能性もあります。そして、こうした機器を使って情報を入手したり、会話出来ない人達(情報弱者)が生まれています。

 情報化社会では、大量の情報に振り回されず、自分の考えを持ち続けるために、あらゆる情報を確認する力が必要です。歴史は、過去の「情報」、つまり過去の文献が基本です。過去を知れば、現在を快適に生きられます。