※数の最大公約数・最小公倍数については理数数学特論及び普通科数学Aの内容であることに留意。
整式 が整式 で割り切れるとき、 を の約数、 を の倍数という。
2つ以上の整式の共通の約数を、それらの公約数、共通の倍数を公倍数といい、公約数のうち次数の最も高いものを最大公約数といい、公倍数のうち次数の最も低いものを最小公倍数という。
(注意)普通、整式の約数、倍数では単なる数の因数を考えない。
-
の最大公約数と最小公倍数を求めよ。
-
-
よって、最大公約数は 、最小公倍数は
2つの整式が、数の因数以外に共通の因数を持たないとき、これらの整式は互いに素であるという。
と は互いに素である。
2つの整式と、その最大公約数、最小公倍数との間の関係について考える。例えば
-
の最大公約数を 、最小公倍数を とすると
-
である。
このとき、 を で割った商をそれぞれ とすると
-
-
となり、 は互いに素である。
-
であるから、 が成り立つ。
最大公約数と最小公倍数
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整式 の最大公約数を 、最小公倍数を とし、 を で割った商をそれぞれ とすると
1
2 は互いに素
3
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2つの円
-
の共有点の座標を求めよ。
2つの方程式から、 を消去して
- ……(1)
(1)を に代入し整理すると
-
ゆえに
-
(1)から
のとき 、 のとき
よって、求める共有点の座標は
-
sin、cos、tanとその逆数csc、sec、cotの逆関数をまとめて逆三角関数という。逆三角関数を表記するとき、元の関数に接頭辞arcをつける。(「arc」は「arcus(弓)」の略。)
三角関数の逆関数をそのまま考えようとすると、一つの入力に対して複数出力されてしまうため、定義域を制限して考える。
逆三角関数の定義域はそれぞれ、
- arcsin:
- arccos:
- arctan:
である。
例) より、定義域に注意すると である。
各関数のグラフは右図のようになる。
逆三角関数の微分
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-
-
-
-
-
arccosも同様。
-
-
-
-
未知関数を含む方程式を関数方程式という。
未知関数の導関数を含む関数方程式を微分方程式といい、「微分方程式を解く」とは微分方程式を満たす全ての関数を求めることである。
(例)
両辺をxについて積分すると、
(Cは任意の定数)
これがこの微分方程式の解である。
のように、第一次導関数までを含む微分方程式を一階微分方程式という。 のように、第二次導関数までを含む微分方程式を二階微分方程式という。一般に、第n次導関数までを含む微分方程式をn階微分方程式という。 のように、導関数の一次結合で表された微分方程式を線形微分方程式という。線形微分方程式のうち、導関数とは関係ない変数の項の値が0であるものを斉次微分方程式という。微分方程式のうち、未知関数が一つの変数で表されるものを常微分方程式という。
- 微分方程式の解法
ここでは、変数分離形と呼ばれる常微分方程式のみ扱う。
微分方程式 を解け。
与式は と書ける。
- ① のとき
- より与式が成立するので、定数関数 はこの微分方程式の解である。
- ② のとき
- は与式を満たさないので
- 形式的に※変形して (変数分離)
- 両辺にインテグラルをつけて
- (C は積分定数)
-
-
- とおくと、
- ( より を満たす。)
- ①、②より、この微分方程式の解は (k は任意の実数)である。
※ で一つの記号であり と に分離する操作は本来認められていないので、「形式的に」という表現を用いた。
- 問題
- 以下の微分方程式を解け。
-
-
-
-
一般に、微分方程式の解は任意定数を含むものとなる。このような解を一般解という。微分方程式に含まれる変数に対し何かしらの条件が与えられると、微分方程式の解に含まれる任意定数の値を定めることができる。このような条件を初期条件といい、定数の定まった解を特殊解という。
微分方程式は、物理学で広く用いられている。大学以上の物理は微分方程式を解く学問であると言っても過言ではないだろう。
例えば、等加速度直線運動は (xは変位、tは時間、aは加速度)という二階線形常微分方程式で表される。
- 両辺を一回積分して を得る。 は時刻tにおける速度なので、積分定数 は運動を始めた時刻での速度(初速度) を表す。
- 両辺をもう一度積分して を得る。xは変位なので、積分定数 は運動を始めた時刻での位置(初期位置) を表す。
これで、積分結果が物理基礎で習った等加速度直線運動の公式に一致することを確かめられた。
高校物理の範囲で登場する公式の微分方程式表示の例を以下に示す。
- (円運動・単振動)
- (電流の定義)
- (ファラデーの電磁誘導の法則)
- (自己誘導)
- (相互誘導)
検定
編集
検定
編集
1点 を通り、ベクトル に垂直な平面 の方程式を考える。
点 が平面 上にあるための必要十分条件は
または
すなわち
-
となることである。
ここで、 とおくと
-
となる。これは、平面 のベクトル方程式である。
ベクトルを成分で表すと、 であるから
上の定理から、平面は の1次方程式 で表されることがわかる。
平面に垂直な直線をその平面の法線といい、平面に垂直なベクトルをその平面の法線ベクトルという。
次の平面の方程式を求めよ。
(i) 点 を通り、 を法線ベクトルとする平面
(ii) 2点 に対して、点 を通り直線 を法線とする平面
(i)
-
-
(ii) であるから
-
-
特別な平面について考えてみよう。
次の方程式はどのような平面を表しているか。
(i)
-
(ii)
-
(i) 与えられた方程式を変形すると
-
よって、点 を通り、ベクトル に垂直な平面を表す。
(ii) 与えられた方程式を変形すると
-
よって、点 を通り、z軸に垂直な平面(xy平面に平行な平面)を表す。
点 と平面 との距離 を求めよう。
点 から平面 へ下ろした垂線の足を とし、 上に1点 をとる。
また、 の法線ベクトル と のなす角を とすると
-
ここで
-
点 は 上にあるから
-
よって
-
点 と平面 の距離を求めよ。
-
定点 を通り、 でないベクトル に平行な直線 の方程式を考える。
点 が直線 上にあるための必要十分条件は、 に対応して
となる実数 が定まることである。
-
であるから、 とおくと
-
となる。これを、直線 のベクトル方程式という。
このベクトル方程式を成分で表すと
-
であるから
よって
……(1)
(1)から を消去すると、次のことがいえる。
直線 に平行なベクトル を直線 の方向ベクトルという。また、(1)を直線 の媒介変数表示という。
点 を通り、ベクトル に平行な直線の方程式を求めよ。
-
整理して
-
2点 を通る直線は、ベクトル に平行であるから、次のことがいえる。
直線の方程式(2)
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2点 を通る直線の方程式は
|
2点 を通る直線の方程式を求めよ。
-
整理して
-
特殊な直線の方程式について考えてみよう。
- ……(1)
で、 であるときについて考える。
例えば、 であるとき
-
となる。これはxy平面に平行な直線 を表している。
また、 であるとき
-
となる。これはx軸に平行な直線 を表している。
次の方程式はどのような直線を表すか。
(i)
-
(ii)
-
(i)
与えられた方程式から、 とおくと となる。
したがって、この直線は点 を通る。
方向ベクトルは、 であるから、yz平面に平行である。
よって、この方程式は点 を通り、 に平行な直線(yz平面に平行な直線)を表す。
(ii)
この直線は2平面 の交線である。
よって、この方程式は点 を通り、z軸に平行な直線を表す。