刑法第214条
条文
編集(業務上堕胎及び同致死傷)
- 第214条
- 医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業者が女子の嘱託を受け、又はその承諾を得て堕胎させたときは、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。よって女子を死傷させたときは、6月以上7年以下の拘禁刑に処する。
改正経緯
編集2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
編集参照条文
編集- 母体保護法
- (定義)
- 第2条第2項
- この法律で人工妊娠中絶とは、胎児が、母体外において、生命を保続することのできない時期に、人工的に、胎児及びその附属物を母体外に排出することをいう。
- 第2条第2項
- (医師の認定による人工妊娠中絶)
- 第14条
- 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
- 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
- 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの
- 前項の同意は、配偶者が知れないとき若しくはその意思を表示することができないとき又は妊娠後に配偶者がなくなつたときには本人の同意だけで足りる。
- 都道府県の区域を単位として設立された公益社団法人たる医師会の指定する医師(以下「指定医師」という。)は、次の各号の一に該当する者に対して、本人及び配偶者の同意を得て、人工妊娠中絶を行うことができる。
- 第14条
- (定義)
判例
編集- 業務上堕胎、保護者遺棄致死、死体遺棄(最高裁決定 昭和63年01月19日)刑法第45条,刑法第218条1項,刑法第219条
- 堕胎により出生させた未熟児を放置した医師につき保護者遺棄致死罪が成立するとされた事例
- 妊婦の依頼を受け、妊娠第26週に入つた胎児の堕胎を行つた産婦人科医師が、右堕胎により出生した未熟児に適切な医療を受けさせれば生育する可能性のあることを認識し、かつ、そのための措置をとることが迅速容易にできたにもかかわらず、同児を自己の医院内に放置して約54時間後に死亡するに至らせたときは、業務上堕胎罪に併せて保護者遺棄致死罪が成立する。
- 「堕胎」は胎盤から人為的に分離させることで胎児の死亡は要件となっていない。
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