1. 法学刑事法刑法コンメンタール刑法
  2. 法学コンメンタールコンメンタール刑法

条文 編集

(保護責任者遺棄等)

第218条
老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、3月以上5年以下の拘禁刑に処する。

改正経緯 編集

2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。

(改正前)懲役
(改正後)拘禁刑

解説 編集

参照条文 編集

判例 編集

  1. 業務上過失傷害、道路交通取締法第違反、要保護者遺棄(最高裁判決 昭和34年7月24日)
    自動車操縦者の被害者救護義務違反と要保護者遺棄罪の成否
    自動車の操縦中過失に因り通行人に約3ケ月の入院加療を要する歩行不能の重傷を負わしめながら道路交通取締法、同法施行令に定める被害者の救護措置を講ずることなく、被害者を自動車に乗せて事故現場を離れ、折柄降雪中の薄暗い車道上まで運び、医者を呼んで来てやる旨申し欺いて被害者を自動車から下ろし、同人を同所に放置したまま自動車を操縦して同所を立ち去つたときは、道路交通取締法違反(被害者救護義務違反 道路交通取締法第24条,道路交通取締法第施行令67条)罪のほか要保護者遺棄罪が成立する。
    • 被害者救護義務違反
      車馬等の交通に因り人の殺傷があつた場合には、当該車馬等の操縦者は、直ちに被害者の救護その他必要な措置を講ずる義務があり、これらの措置を終り且つ警察官の指示を受けてからでなければ車馬等の操縦を継続し又は現場を立去ることを許されない
      →「事故現場を離れ」;違反が確定
    • 保護責任者遺棄
      自動車の操縦中過失に因り通行人に自動車を接触させて同人を路上に顛倒せしめ、約三箇月の入院加療を要する顔面打撲擦傷及び左下腿開放性骨折の重傷を負わせ歩行不能に至らしめたときは、かかる自動車操縦者は法令により「病者ヲ保護ス可キ責任アル者」に該当する
  2. 保護者遺棄致死(最高裁判決 昭和43年11月7日)刑法第219条,刑法第217条
    泥酔者は刑法第218条第1項の「病者」にあたるか
    高度の酩酊により身体の自由を失い、他人の扶助を要する状態にある者は、刑法第218条第1項の「病者」にあたる。(被告人と情交関係にある被害者が駅前で酔いつぶれているのを見つけ、同人宅に連れ帰える途中、酔をさまさせるため全裸にして田圃中に放置したため、凍死させたという事案)
  3. 業務上堕胎、保護者遺棄致死、死体遺棄(最高裁判決 昭和63年1月19日)刑法第45条,刑法第214条,刑法第219条
    堕胎により出生させた未熟児を放置した医師につき保護者遺棄致死罪が成立するとされた事例
    妊婦の依頼を受け、妊娠第26週に入つた胎児の堕胎を行つた産婦人科医師が、右堕胎により出生した未熟児に適切な医療を受けさせれば生育する可能性のあることを認識し、かつ、そのための措置をとることが迅速容易にできたにもかかわらず、同児を自己の医院内に放置して約54時間後に死亡するに至らせたときは、業務上堕胎罪に併せて保護者遺棄致死罪が成立する。

前条:
刑法第217条
(遺棄)
刑法
第2編 罪
第30章 遺棄の罪
次条:
刑法第219条
(遺棄等致死傷)
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