刑法第233条
条文
編集(信用毀損及び業務妨害)
- 第233条
- 虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金に処する。
改正経緯
編集2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
編集- 本罪の保護法益は、人の経済的な評価である。
- 「虚偽の風説を流布」
- 虚偽の事項を内容とする噂を,不特定又は多数の者に知れわたるような態様において伝達することをいう(大判大5.12.18)。
- したがって行為者が虚偽と信じて風説を流布しても、それが客観的事実に合致していた場合は本罪は成立しない。
- 「業務を妨害」
- 具体的な個々の現実に執行している業務の執行を妨害する行為のみならず、被害者の当該業務における地位にかんがみ、その遂行すべき業務の経営を阻害するにたる一切の行為をいう(次条判例)
- 「業務」
- 「業務」概念 -
- 「業務」
- 具体的な個々の現実に執行している業務の執行を妨害する行為のみならず、被害者の当該業務における地位にかんがみ、その遂行すべき業務の経営を阻害するにたる一切の行為をいう(次条判例)
参照条文
編集判例
編集- 有線電気通信法違反、同教唆、同幇助、偽計業務妨害、同教唆、同幇助(最高裁判決昭和59年4月27日)
- 有線電気通信妨害罪
- 有線電気通信法第13条(昭和59年法律第87号による改正前は同法第21条)
- 有線電気通信設備を損壊し、これに物品を接触し、その他有線電気通信設備の機能に障害を与えて有線電気通信を妨害した者は、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
- 前項の未遂罪は、罰する。
- 有線電気通信法第13条(昭和59年法律第87号による改正前は同法第21条)
- 有線電気通信法21条違反及び偽計業務妨害の両罪が成立するとされた事例
- A公社の架設する電話回線において、発信側電話機に対する課金装置を作動させるため受信側から発信側に送出される応答信号の送出を阻害する機能を有するマジツクホンと称する電気機器を加入電話回線に取り付け使用して、応答信号の送出を妨害するとともに発信側電話機に対する課金装置の作動を不能にした行為は、有線電気通信妨害罪及び偽計業務妨害罪にあたる。
- 有線電気通信妨害罪
- 有線電機通信法違反、業務妨害、各同教唆(最高裁決定昭和61年2月3日)
- マジツクホンと称する電気機器を電話回線に取り付けた行為と有線電気通信妨害罪及び偽計業務妨害罪の成否並びにその罪数関係
- マジツクホンと称する電気機器を電話回線に取り付け、応答信号の送出を妨げるとともに、発信側電話の度数計器の作動を不能にした行為は、有線電気通信妨害罪及び偽計業務妨害罪に当たり、両罪は観念的競合の関係にある。
- 建造物侵入,業務妨害被告事件(最高裁決定平成19年7月2日)刑法第130条
- 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,一般の利用客を装い相当時間にわたって占拠し続けた行為が,偽計業務妨害罪に当たるとされた事例
- 現金自動預払機利用客のカードの暗証番号等を盗撮するためのビデオカメラを設置した現金自動預払機の隣にある現金自動預払機を,あたかも入出金や振込等を行う一般の利用客のように装い,適当な操作を繰り返しながら,1時間30分間以上にわたって占拠し続けた行為は,偽計業務妨害罪に当たる。
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