刑法第258条
条文
編集(公用文書等毀棄)
- 第258条
- 公務所の用に供する文書又は電磁的記録を毀棄した者は、3月以上7年以下の拘禁刑に処する。
改正経緯
編集2022年、以下のとおり改正(施行日2025年6月1日)。
- (改正前)懲役
- (改正後)拘禁刑
解説
編集参照条文
編集刑法第261条(器物損壊等)
判例
編集- 封印破毀、公文書毀棄(最高裁判例 昭和28年07月24日)刑法第96条,刑法第54条1項
- 刑法第258条にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる事例
- 収税官吏が所得税法反則事件につきその必要ありと認めて差し押えた帳簿書類は、公文書毀棄罪にいわゆる公務所の用に供する文書にあたる。
- 封印破毀罪と公文書毀棄罪とは牽連犯となるか
- 封印破毀罪と公文書毀棄罪とはいわゆる牽連犯にあたらない。
- 刑法第258条にいわゆる「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる事例
- 公文書毀棄(最高裁判例 昭和32年01月29日)刑訴法第203条,刑訴規則58条
- 未完成の弁解録取書は刑法第258条の「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたるか
- 司法警察員が刑訴第203条に基き被疑者に対し被疑事実の要旨および弁護人を選任し得る旨を告げ、被疑者がこれに対する供述をしたので、その旨を記載した弁解録取書原本を執筆し、これを読み聞かせ誤の有無を問うたところ被疑者が黙秘したため、司法警察員がその旨の文言の一部を末尾に記載した場合においては、いまだ被疑者および司法警察員の署名押印がなくても右弁解録取書は、刑法第258条にいわゆる公務所の用に供する文書というべきである。
- 公文書毀棄罪の成立する一事例
- 右の文書を被疑者がほしいままに両手で丸めしわくちやにした上床に投げ棄てる行為は同条の毀棄にあたるものと解するを相当とする。
- 未完成の弁解録取書は刑法第258条の「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたるか
- 器物毀棄、公務執行妨害、脅迫(最高裁判例 昭和38年12月24日)
- 刑法第258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」の意義
- 刑法第258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」とは、公務所において現に使用し又は使用に供する目的で保管している文書を総称しその文書が証明の用に供せられるべき性質を有することを要するものではない。
- 公文書毀棄罪にあたるとされた事例
- 日本国有鉄道の駅職員が列車の遅延、運転中止を告げ、これを詫びる旨白墨で記載して駅待合室に提示した急告板を勝手に取りはずし、その記載文言を抹消する行為は、公文書毀棄罪を構成する。
- 刑法第258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」の意義
- 暴行、器物毀棄、公務執行妨害、公文書毀棄(最高裁判例 昭和52年07月14日)
- 公務員の作成中の文書と刑法258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
- 公務員が公務所の作用として職務権限に基づいて作成中の文書は、それが文書としての意味、内容を備えるに至つた以上、刑法258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
- 公文書毀棄(最高裁判例 昭和57年06月24日)刑訴法第198条,刑訴法第223条
- 違法な取調のもとで作成中の供述録取書と刑法258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」
- 違法な取調のもとに作成されつつあつた供述録取書であつても、既に文書としての意味、内容を備えるに至つているものであるときは、刑法258条にいう「公務所ノ用ニ供スル文書」にあたる。
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