労働基準法第26条
条文
編集(休業手当)
解説
編集参照条文
編集- 労働基準法第114条(付加金の支払)
判例
編集- 解雇無効確認等請求(最高裁判決 昭和37年07月20日)民法第536条2項,労働基準法第24条1項
- 使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することの可否およびその限度。
- 使用者の責に帰すべき事由によつて解雇された労働者が解雇期間内に他の職について利益を得た場合、使用者が、労働者に解雇期間中の賃金を支払うにあたり、右利得金額を賃金額から控除することはできるが、その限度は、平均賃金の4割の範囲内にとどめるべきである。
- 労働基準法第26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業に関して、平均賃金の6割以上の支払いを課しており、使用者に支払いを免除される限度は4割とした。
- 京急横浜自動車懲戒解雇(東京高等裁判所判決 昭和44年12月24日)労働基準法第20条
- 申請人らは本件解雇の後である昭和40年11月以降同41年10月までの間に、別会社で稼働し、賃金を得ていた事実が認められる。ところで、右賃金はその額および稼働日数に照らせば、副業的な稼働による利得ではなく、或いは解雇がなくとも当然取得し得るなど特段の事情に基いて利得したものともみられないから、右各申請人らは、民法第536条第2項但書により、その利得額を会社に償還すべきである。しかし、会社は労働基準法第26条に定めるとおり、平均賃金の6割以上を右各申請人に支払う義務があるから、右各申請人の前掲解雇後に利得した賃金は、会社で支払うべき平均賃金の四割を超えない限度で、平均賃金からそれぞれ控除するのが相当である。
- 上野学園事務職員解雇(東京高等裁判所判決 昭和55年03月26日)労働基準法第24条
- 労働基準法26条は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60六以上の手当を支払わなければならないと規定しているが、ここにいう休業とは個々の労働者の労務の履行不能の場合もこれに含まれるものと考えられるので、同条の規定は、労働者が民法第536条第2項にいう債権者である使用者の責に帰すべき事由によつて就労できなかつた場合、即ち不当解雇の場合にもその適用があるものと解すべきである。そして、労働基準法26条は民法の原則を排除したものではなく、労働者が債務を免れたことによつて使用者に対し償還すべき利益がある場合には、使用者が賃金全額を一応支払つたうえ右利益の償還を受けるという手続の繁を省き、その決済手段を簡易化するため、右償還すべき利益の額をあらかじめ賃金額から控除し得ることを前提としたうえ、労働者の生活保障の見地から、労働者の有する賃金債権のうち、平均賃金額の6割を超える部分についてのみ右利益控除の対象とすることを許容し、右平均賃金額の六割に達するまでの部分については利益控除の対象とすることを禁止したもの、と解するのが相当である。
- したがつて、控訴人が被控訴人に支払うべき解雇期間中の賃金額から右期間内に被控訴人が他に就職して得た収入額を控除することは、全く許されないわけではなく、右賃金額のうち平均賃金額の六割に達するまでの部分については控除対象とすることが禁止されているが、これを超える部分から右収入額を控除することは許されるものと解すべきである。もつとも、労働基準法26条の果たすべき前述のような利益調整機能と労働者の生活保障機能の権衡上、賃金から控除し得る償還利益は、その利益の発生した期間が賃金の計算の基礎となる期間と時期的に対応するものであることを要し、ある期間の賃金から、それとは時期を異にする期間内に得た利益を控除することは、同条が控除を許容する範囲から逸脱し、許されないものというべきである。
- 雇用関係存在確認等(最高裁判決 昭和62年04月02日)民法第536条2項,労働基準法第12条1項,労働基準法第12条4項,労働基準法第24条1項
- 使用者がその責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合の労働基準法12条4項所定の賃金と労働者が解雇期間中他の職に就いて得た利益額の控除
- 使用者が、その責めに帰すべき事由による解雇期間中の賃金を労働者に支払う場合、労働基準法第12条4項所定の賃金については、その全額を対象として、右賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に労働者が他の職に就いて得た利益の額を控除することができる。
- 賃金(最高裁判決 昭和62年07月17日)民法第536条2項
- 労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」と民法536条2項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」
- 労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、民法536条2項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含む。
- 部分ストライキのため会社が命じた休業が労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものとはいえないとされた事例
- 定期航空運輸事業を営む会社に職業安定法44条違反の疑いがあつたことから、労働組合がその改善を要求して部分ストライキを行つた場合であつても、同社がストライキに先立ち、労働組合の要求を一部受け入れ、一応首肯しうる改善案を発表したのに対し、労働組合がもつぱら自らの判断によつて当初からの要求の貫徹を目指してストライキを決行したなど判示の事情があるときは、右ストライキにより労働組合所属のストライキ不参加労働者の労働が社会観念上無価値となつたため同社が右不参加労働者に対して命じた休業は、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」によるものということができない。
- 労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」と民法536条2項の「債権者ノ責ニ帰スヘキ事由」
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