手形法第39条
条文
編集【受戻証券性・一部支払】
- 第39条
- 為替手形ノ支払人ハ支払ヲ為スニ当リ所持人ニ対シ手形ニ受取ヲ証スル記載ヲ為シテ之ヲ交付スベキコトヲ請求スルコトヲ得
- 所持人ハ一部支払ヲ拒ムコトヲ得ズ
- 一部支払ノ場合ニ於テハ支払人ハ其ノ支払アリタル旨ノ手形上ノ記載及受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得
解説
編集- 為替手形の支払人は、支払をするに当たり所持人に対して手形に受取を証する記載をして、これを交付することを請求することができる。
- 所持人は、一部支払を拒むことができない。
- 一部支払の場合においては、支払人は、その支払があった旨の手形上の記載及び受取証書の交付を請求することができる。
参照条文
編集判例
編集- 約束手形返還請求(最高裁判決 昭和41年04月22日)手形法第38条
- 手形を所持しないでされた手形金請求が認容された事例
- 振出人甲、受取人兼裏書人乙、被裏書人丙という約束手形について甲、乙および丙間において書替の合意がされ、甲において乙を受取人とする新手形を振り出し、従前の手形は丙から甲に返還されたが、右新手形が乙の手許で破棄されたため、丙において手形上の権利を取得できなかつた場合には、従前の手形がすでに甲によつて破棄されて滅失していたときであつても、丙は甲に対し従前の手形に基づく手形金の請求をすることができ、甲は除権判決のないことを理由に右手形金請求を拒むことはできないと解すべきである。
- 手形上の権利行使に手形の所持が必要とされるのは、手形債務者に対して債権者を確知せしめ、且つ、手形を受戻すことによつて債務者をして二重払の危険を避止せしめるのに役立つ点にその趣旨が存する。従つて、手形が何らかの理由によつて既に債務者の占有に帰している場合には、右の点の配慮を不要とするものと認められるから、債権者における手形の所持は右債務者に対する権利行使の要件とならず、また債務者は引換給付の抗弁をなし得ない。
- 転付預金債権支払請求(最高裁判決 昭和50年09月25日)民法第468条,民法第511条,民訴法第601条,手形法第50条,手形法第77条
- 金融機関が手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて転付された預金債権を相殺した場合と手形の返還先
- 金融機関が預金者から第三者に転付された預金債権を右預金者に対する手形貸付債権又は手形買戻請求権をもつて相殺した結果預金債権が転付前に遡つて消滅した場合には、金融機関は、手形貸付けについて振り出された手形又は買戻の対象となつた手形を右預金者に返還すべきであり、預金債権の転付を受けた第三者に返還すべきではない。
|
|