放物線(parabola)、楕円(ellipse)、双曲線(hyperbola)をまとめて、2次曲線や円錐曲線という。これらが、2次曲線と呼ばれる理由は、放物線、楕円、双曲線は の2次式 によって で表すことができ、また の2次式 によって と表される曲線は放物線、楕円、双曲線、2直線のいずれかになるからである。

円錐曲線と呼ばれる理由は、円錐面を「全ての母線と交わり、底面に平行な平面で切断」したときの断面が円。「全ての母線と交わり、底面に平行でない平面で切断」したときの断面が楕円。「母線に平行な面で切断」したときの断面が放物線。「母線に平行でない平面で切断」したときの断面が双曲線となるからである。

2次曲線は直線や円についで重要な曲線である。

放物線 編集

平面上に点   と、点   を通らない直線   をとる。このとき、直線   からの距離と点   からの距離が等しい点の軌跡を放物線という。このとき、点   を放物線の焦点、直線   を放物線の準線という。

 


焦点を   準線を   とする放物線の方程式を求める。  がこの放物線の点とすると、点   と直線   の距離は   であり、  である。なので、   である。これを整理して、

 

を得る。


ここで、放物線   において、    を入れ替えれば   である。ここから中学から学んできた放物線の定義と一致することがわかる。

演習問題

放物線   の焦点と準線を求めよ。

解答

焦点   準線  

楕円 編集

平面上に異なる2点   をとる。  との距離と、   との距離の和が一定である点の軌跡を楕円という。このとき、点   を楕円の焦点という。


焦点を   とする。点   が楕円上の点であるとき、   である。  より

 

両辺を2乗して整理すると

 

再度、両辺を2乗して整理すると

 

ここで   と置き換えると

 

両辺を   で割ると

 

が導かれる。


x軸との交点は  y軸との交点は  となる。

 のとき、 は長軸の長さ(長径)、 は短軸の長さ(短径)となり、xy平面上にグラフを書くと横長の楕円になる。また焦点は長径であるx軸上にありその座標は となる。

逆に、 のとき、 は長軸の長さ(長径)、 は短軸の長さ(短径)となり、xy平面上にグラフを書くと縦長の楕円になる。また焦点は長径であるy軸上にありその座標は となる。

2つの焦点が近いほど楕円は円に近づき、2つの焦点が重なったとき   となり、楕円は円になる。

ちなみに、恒星の周りを公転する惑星の軌道は、恒星を焦点とする楕円になる。

双曲線 編集

平面上に異なる2点   をとる。  との距離と、   との距離の差が一定である点の軌跡を双曲線といい、2点   を双曲線の焦点という。


焦点を   とする。点   が双曲線上の点であるとき、   である。  より

 

両辺を2乗して整理すると

 

再度両辺を2乗して整理すると

 

ここで、   とおき、両辺を   で割れば

 

である。

双曲線が で表されるとき、焦点の座標は となる。

逆に、双曲線が で表されるとき、焦点の座標は となる。

媒介変数表示 編集

  で表される点   の集合はある曲線を描く。このような曲線の表示を媒介変数表示という。


媒介変数表示では   の形では表しにくい曲線も簡潔に表すことができる。例えば、 x = t - sin t, y = 1 - cos t である。これはサイクロイドと呼ばれる。

 
サイクロイド


  と媒介変数表示されている曲線を   方向に    方向に   だけだけ平行移動した曲線は   と表せる。

二次曲線の媒介変数表示 編集

  で表される曲線は   を消去すると   となるので放物線である。

  を媒介変数表示すると   となる。このことから、三角関数のことを円関数と呼ぶ場合もある。

楕円 を媒介変数表示すると となる。

双曲線 の媒介変数表示は となる。


双曲線関数(参考)

ネイピア数 を用いて と定義すると が成り立つので、上記の双曲線の式は と書ける。
  と定めると、 シャインコッシュタンチもしくはハイパボリックサインハイパボリックコサインハイパボリックタンジェントと読む)は三角関数と似た公式(相互関係、加法定理、微積分公式など)が幾つも成り立つ。そこで、この3つの関数とその逆数を纏めて双曲線関数と呼ぶことにする。
逆三角関数と並び、双曲線関数とその逆関数は大学入試においてある種の定積分の問題を解く際に役立つことで有名である。その問題はこれらの関数の微積分公式を背景としているため、これらの関数で置換すると簡単に解けるようになっている。
 のグラフは懸垂線(カテナリー)と呼ばれる有名な曲線を描くことで知られている。
三角関数(円関数)と双曲線関数は非常に似た性質を持つが、これは双曲線関数の定義式が三角関数の複素指数関数表示を実数範囲で書き換えたものであり、更には両者とも第一種不完全楕円積分の逆関数で定義される(ヤコビの)楕円関数の特別な場合を指しているからである。


曲線  軸方向に  軸方向に だけ並行移動した曲線は と書き表される。

なお、(複素数 の方程式) の形で表された式を の極形式を用いて解くと二次曲線の媒介変数表示が現れる場合がある。

極座標と極方程式 編集

極座標 編集

これまでの学習では、 軸と 軸を使った座標平面(直交座標という) 使うことで、座標平面上の1点を定めた。 ここで学ぶ極座標では、  の文字で与えられる式を使って曲線を表すことを考える。

ある一点Oと半直線OXを定めると、平面上の点Pは、点Oからの距離rと、 XOPの角 の大きさで一意に定まる。

極座標の定義

原点Oと軸OXを定める。平面上の点Pについて、OP間の距離をr、 XOPの大きさをθで表した座標 極座標という。 このとき、Oを、OXを始線という。 また、 偏角という。

また、直交座標と極座標の関係は次のようになる。

直交座標と極座標の関係

 

これは直感的には複素数平面上の点の絶対値と偏角を定めたときに似ている。

極方程式 編集

 の形で与えられる式を極方程式(きょくほうていしき)という。極方程式はrとθについての関数であるが、これらはxとyへの変換が可能であり、よってxy平面上に曲線をかいてもよいことになる。

さまざまな極方程式

(1)中心O,半径aの円  

(2)中心 ,半径aの円  

(3)極Oを通り、始線とαの角をなす直線  

(4)点 を通り、OAに垂直な直線  

(例)円 を極方程式で表す.  を代入して整理すると  

 は極を表すから  

さまざまな曲線 編集

これまでに、2次曲線、媒介変数表示、極方程式などの曲線とその性質について述べてきた。以下では、これらを利用してさまざまな曲線の式を示す。一般に概形をつかむのは困難なため、コンピュータを使用する。

  • サイクロイド
  • カージオイド
  • アステロイド
  • リマソン
  • バラ曲線
  • レムニスケート
  • リサージュ