刑事訴訟法第406条
条文
編集(上告審として受理できる事件)
- 第406条
- 最高裁判所は、前条の規定により上告をすることができる場合以外の場合であっても、法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件については、その判決確定前に限り、裁判所の規則の定めるところにより、自ら上告審としてその事件を受理することができる。
解説
編集参照条文
編集- 刑事訴訟規則(最高裁規則)
- (跳躍上告)
- 第254条
- 地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審判決に対しては、その判決において法律、命令、規則若しくは処分が憲法に違反するものとした判断又は地方公共団体の条例若しくは規則が法律に違反するものとした判断が不当であることを理由として、最高裁判所に上告をすることができる。
- 検察官は、地方裁判所又は簡易裁判所がした第一審判決に対し、その判決において地方公共団体の条例又は規則が憲法又は法律に適合するものとした判断が不当であることを理由として、最高裁判所に上告をすることができる。
- 第254条
- (跳躍上告と控訴)
- (上告審としての事件受理の申立)
- (申立の方式)
- (原判決の謄本等の交付)
- 第258条の2
- 第257条の申立てがあつたときは、原裁判所に対して法第46条の規定による判決の謄本の交付の請求があつたものとみなす。ただし、申立人が申立ての前に判決の謄本の交付を受けているとき(その交付を受けるに当たり、起訴状に記載された個人特定事項のうち起訴状抄本等に記載がないもの(法第271条の5第1項(法第404条において準用する場合を含む。)の決定により通知することとされたものを除く。)又は訴因変更等請求書面に記載された個人特定事項のうち訴因変更等請求書面抄本等に記載がないもの(法第312条の2第4項(法第404条において準用する場合を含む。)において読み替えて準用する法第271条の5第1項の決定により通知することとされたものを除く。)を被告人に知らせてはならない旨の条件が付され、又は被告人に知らせる時期若しくは方法を指定された場合を含む。)又は法第271条の6第4項若しくは第5項(これらの規定を法第312条の2第4項において準用する場合を含む。)の規定による判決の抄本の交付、法第299条の6第4項若しくは第5項の規定による判決の抄本の交付若しくは法第404条において準用する法第271条の6第4項若しくは第5項(これらの規定を法第404条において準用する法第312条の2第4項において準用する場合を含む。)若しくは法第299条の6第4項若しくは第5項の規定による判決の抄本の交付を受けているときは、この限りでない。
- 前項本文の場合には、原裁判所は、遅滞なく判決の謄本を申立人に交付しなければならない。ただし、弁護人又は被告人その他訴訟関係人(検察官を除く。)から第257条の申立てがあつた場合であつて、次の各号に掲げるときは、当該各号に定める措置をとることをもつて、判決の謄本の交付に代えることができる。
- 第1項ただし書又は前項の場合には、裁判所書記官は、判決の謄本又は抄本を交付した日を記録上明らかにしておかなければならない。
- 第258条の2
- (処置をとるべきことの請求)
- (事件受理の申立理由書)
- (原裁判所の棄却決定)
- (申立書の送付等)
- (事件受理の決定)
- 第261条
- 最高裁判所は、自ら上告審として事件を受理するのを相当と認めるときは、前条の送付を受けた日から14日以内にその旨の決定をしなければならない。この場合において申立の理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。
- 最高裁判所は、前項の決定をしたときは、同項の期間内にこれを検察官に通知しなければならない。
- 第261条
- (事件受理の決定の通知)
- (事件受理の決定の効力等)
- (申立の効力)
- (跳躍上告)
判例
編集- 国家公務員法違反(最高裁判決昭和32年10月9日)裁判所法第4条,刑訴法第411条,刑訴法第357条
- 控訴審の差戻判決は上告審を拘束するか
- 第一次の控訴審が第一審判決の法令解釈に誤りがあるとしてこれを破棄、差し戻し、第二次の第一審及び控訴審が右判断に従つた場合においても、上告審たる最高裁判所は右第一次の控訴審の法律判断に拘束されるものではない。
- 最高裁判所が上告受理の申立を理由ありとして原判決を破棄する場合の法条
- 最高裁判所が刑訴第406条により上告審として事件を受理し、申立を理由ありと認めた場合は、刑訴第411条第1号によつて原判決を破棄すべきものである。
- 想像的併合罪の関係に立つ二罪のうち一罪につき免訴の裁判があつた場合と上級審への移審の効力
- 想像的併合罪の関係に立つ二罪のうち一罪について、第一審判決が主文において免訴を言渡し、被告人から控訴、上告がなされたような場合には、右免訴部分は上級審に移審していないものと解するを妨げない。
- 控訴審の差戻判決は上告審を拘束するか
- 殺人,強姦致死,窃盗被告事件(光市母子殺害事件 最高裁判決平成18年6月20日)
- 主婦を強姦目的で殺害した上姦淫しさらにその場で生後11か月の同女の長女をも殺害するなどした当時18歳の被告人につき第1審判決の無期懲役の科刑を維持した控訴審判決が量刑不当として破棄された事例
- 〈量刑不当を理由として上告を受理し、原判決を破棄した例〉
- 検察官の上告趣意は,判例違反をいう点を含め,実質は量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。しかしながら,所論にかんがみ職権をもって調査すると,原判決は,下記1以下に述べる理由により破棄を免れない。
- 原判決及びその是認する第1審判決が酌量すべき事情として述べるところは,これを個々的にみても,また,これらを総合してみても,いまだ被告人につき死刑を選択しない事由として十分な理由に当たると認めることはできないのであり,原判決が判示する理由だけでは,その量刑判断を維持することは困難であるといわざるを得ない。
- そうすると,原判決は,量刑に当たって考慮すべき事実の評価を誤った結果,死刑の選択を回避するに足りる特に酌量すべき事情の存否について審理を尽くすことなく,被告人を無期懲役に処した第1審判決の量刑を是認したものであって,その刑の量定は甚だしく不当であり,これを破棄しなければ著しく正義に反するものと認められる。
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