[定理 3.2]
(i)
ならば
(i)
ならば
ここに, は高々 次の任意の多項式である.
これを示すことが目標である.一般に,
と因数分解できるから[1],補題3.2 を念頭におけば,定理 3.2 は,
および
の場合に証明すれば十分である[2].
は例67で示した[3].よって,定理は,
の場合だけ示せばよい.ところで補題 3.3 に留意すれば,
の場合だけを論ずればよいことが分かる[4].したがって,
を確めればよいことが分かる.ところが,これらは前章ですでに示されている.
すなわち 式 (2.33) によれば,
より直ちに,
が出る.[5]
また,
に注意すれば,
も明らかである.以上で定理の (i) の部分が示された.
(ii) の部分は次のようにして示される[6].いま証明したことから,
は の解である[7].しかも初期値は,
(3.11b)
を満たす[8].この初期条件に留意しつつ に合成積の微分の公式を次々に適用すると,
および,
となり,上から順に を掛けて加えると,
[9]
を得る.
この証明からも分かる通り, の Laplace 変換が存在しなくても は,
の解となる.たとえば,
において, の Laplace 変換は存在しないが,
が解であることは明らかである[10].
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これは部分分数定理の注にて証明した.
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にて ならば .よって となる があればよい. この節の証明方針を以下に整理すると,定理3.2(i) の の分母 を因数分解したときに因数として を持ち,したがって の部分分数展開を第二分解定理まで実施した結果,項 を持つのであれば,この原像の の次数が微分方程式の解 を構成する項の中で最高次数となり 式(2.17b)よりその次数は .これに作用素 を働かせた結果が になれば,証明全体の中のこの項 に関与する部分を完了させられる. 部分分数展開の結果,項として を持つものについては後述される.
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補題 3.3(ii) およびその系)
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のとき,
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ここでの証明法は二階線形微分方程式の解法と同じ.
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ならば で, の場合.
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で,
と をおくと,
…①
一方,式 (2.1) ,したがって式 (2.11) より、
これらを①に代入して,
より 内は となり,①より の係数を比較して,
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この章の証明に Laplace 変換 が使われていない,というのは,Laplace 変換によって求めた原像 が微分方程式 の解であることを証明するのに Lapalce 変換を使っていない,ということである.ただ,非同次微分方程式の定常解 の については, は与えられた関数であり,「 に対応する Laplace 変換がなくとも は解となる」という部分には Laplace 変換が使われていないことはいえる.初期値の与え方についても最終項を除いて となるように初期値 ,最終項は と後から与えてよい.