民法第747条
条文
編集- 第747条
- 詐欺又は強迫によって婚姻をした者は、その婚姻の取消しを家庭裁判所に請求することができる。
- 前項の規定による取消権は、当事者が、詐欺を発見し、若しくは強迫を免れた後3箇月を経過し、又は追認をしたときは、消滅する。
解説
編集- 婚姻の取消手続きを定めた規定の一である。戦後の民法改正においても、明治民法の規定(旧・民法第785条)がそのまま受け継がれている。
- 客観的な婚姻障害と異なり、当事者の意思にかかる事項であるので、取消し請求権者は当事者のみであり、当事者の親族や検察官を含まない。また、詐欺の発見もしくは強迫状態から脱却した後3ヶ月を経過又は追認したときは、取消権は消滅する。
- 詐欺・強迫により形成された意思は「婚姻をする意思」であり、単に「婚姻を届け出る意思」ではない。詐欺・強迫により「婚姻をする意思」が形成されていない場合はそもそも無効である。
- 例えば、相手が保有する財産を横領することが目的で、夫婦としての生活の意思のない者が、詐欺により婚姻の届を出した場合(いわゆる「結婚詐欺」の一例)、騙された側は、詐欺により「婚姻をする意思」が形成されているが、騙した側には、そもそも「婚姻をする意思」はないので、この婚姻は「取消しうる」のではなく、「無効」であると言え、本条の期間や請求権者の制限を受けない。
- また、「強迫」により「婚姻をする意思」が形成されたならば、そもそも、真意によるものでないことが当事者に自覚できているのであるから、無効原因となりうる[1]。
本条を準用する制度
編集参照条文
編集- 民法第764条(婚姻の規定の準用)
脚注
編集- ^ 羽村省太郎 (1971年). “結婚の無効 : 強度の強迫による結婚無効の一事例の紹介”. 岡山理科大学紀要,7,29-39. 岡山理科大学. 2021年10月13日閲覧。
参考
編集明治民法において、本条には以下の規定があった。
- 戸主ハ其家族ニ対シテ扶養ノ義務ヲ負フ
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